【漫画】野球を知らない作家の野球漫画『歯ぎしり球団』
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今回ご紹介する作品は、学生時代に購読した吉田戦車の野球漫画です。
野球漫画なのにまともに野球をしていません。
それでは見ていきましょう。
第十五回目は『歯ぎしり球団』から
【個人的な評価】
※5段階評価で普通が3。数字が少ない程低評価。
なお、エログロ評価は低い方が安心安全です。
評価★5
エロ★1
グロ★1
1997年11月29日第一刷の古い漫画で、発行は株式会社スコラでした。
吉田戦車さんはデビューしたての頃は、スコラ社関連の雑誌で漫画を描いていました。『戦え!軍人くん』もスコラ社の発行する漫画雑誌で連載されていました。『スコラ』といえば、ある年代の方々としては「えっちなグラビア雑誌」という印象が強いと思われます。
「すこすこスコラ!!!」などと言っていたと思います。
吉田戦車さんのデビューは1983年と聞いて驚きましたが、初期はえっちな表現のある漫画を描いていました。
恐らくスコラのようなエロ本関連の掲載だったからかな?と簡単に憶測できます。
しかし何故、Amazonページを2つリンクさせているか。
理由は『歯ぎしり球団』には最低でも「スコラ版」と「太田出版版」の2つがある為です。
というのも、株式会社スコラは2001年に特別清算(つまり倒産)していたのでした。
その後、株式会社スコラマガジンが後を継ぎ、2021年に辰巳出版に権利等々を承継し解散。
しかし、新しい『歯ぎしり球団』は太田出版なので、途中で権利を売却したのかも知れません。
本当は2バージョン以上あるかもしれませんが、それにしてもなんだか歴史を感じます。
なお、私が持っているのはスコラ版ですが、現在簡単に入手できるのは太田出版版です。
そして、其々、冊子の紙質やカラー有り無しが違っています。
では中身に入ります。
『ぼくの名前は後藤手術』だけで抱腹絶倒
もうこれだけで★5です。
手術は野球を始めて10数年、一度もストライクが入った事が無いのに、チームオーナーである外科医院の父の力で草野球チームのエースをしています。
肩も運動神経も悪くないのに、ストライクだけ絶対に入らない。
だったらもう野手にしてあげなよ…
と思うのですが、何故か誰もその提案をしません。
どうかしてます。
そしてチームメイトは、そんな手術が好きです。
ほのぼのしています。
チームメイトはカナリヤを筆頭に変態だらけで、監督は地下幽閉の鉄仮面、と端々が面白いです。
そして、フライが上がると揚げ物のフライを想い出して腹がなってしまい、集中力が喪失し捕球出来ず大量点を取られ敗退する、という展開も。
「この発想は野球に遺恨が無いと描けないな」という作品でした。
そして、スコラ版については、ページにより紙質が変わったりと実験的です。
しかし突然世界観が変わり、歯ぎしり中学で野球部を立ち上げたいトンちゃんカメやん達生徒と、野球嫌いの校長が呼んだ時折人外のいるようなチームとの対戦が続き、手術は最終話付近まで出てこなくなります。
野球を表面上は揶揄し、内心は恐怖している?
スコラ版の作者の前書き後書きを読むと、小さいころは野球が得意でなく周囲と疎外感を感じていたようで、その為ルールも良く分からない、という主旨の事が書いてありました。
恐らく作者の少年期は1970年代なので、王長嶋が球界を代表する花形選手として存在する時代であり、クラスの中心人物は野球が得意な活発な少年たちで、かなり肩身の狭い思いをしていたのかもしれません。
野球を少しでも愛していたら、ここまで罰当たりな域まで野球を違うものとして崩した上で昇華出来ない為、その野球への卑屈さや恐怖が発想の根源なのではないか?と思いました。
ただ最終的には何かの縁で赤ヘル軍団のファンとなり、参加は余りしていないようですが草野球チームにも入っている、という事でした。
そして2022年の今、作者は野球とどう付き合っているのか、というのは興味があります。
今回もここまでお付き合いいただき、誠にありがとうございました。
また更新しますので、次もお読みいただけますと幸甚です。
それでは良い一日を。
なお、コメントだけ有料にさせていただきます。
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