【漫画】全てのクリエイターへ捧げる『Re:CREATORS』は逆召喚が圧倒的に面白い(1巻)その1~導入~
こんにちは、ごみくずです。
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無為なコメントを避ける為にコメントのみ有料としているので、安心して読んでいただければ幸甚です。
今回ご紹介する作品は、今から5年前にアニメ作品として放送された、
物語世界の登場人物が現代の日本に現界する、「逆異世界召喚物」です。
当時話題になっていたのでご存じの方もいるかもしれません。
なお、今回レビューを書くにあたり、気持ちが強すぎて、書き過ぎたり削ったりと、随分時間がかかってしまい、結局10,000文字を超えてしまったので三分割しました(笑)。
なお、3つに分けて編集しているうちに文字数は減るかもしれません(笑)。
それでは見ていきましょう。
第十六回目は『Re:CREATORS』(1巻)の導入部分
【個人的な評価】
※5段階評価で普通が3。数字が少ない程低評価。
なお、エログロ評価は低い方が安心安全です。
評価★5
エロ★1
グロ★2 (グロというより戦闘シーンがあります)
【主だった作者】※敬称略
原作・キャラクター原案:広江礼威(ブラックラグーンで有名ですね。読み始めました)
監督:あおきえい(Fate/Zero の監督さん。他絵コンテ等多数。なおFateは未視聴)
シリーズ構成は上記二人が担当。
漫画版作画:イラストレーターの加瀬大輝
先述の通り、この作品は同名アニメ作品の漫画版です。
アニメは完全オリジナルであり、既に先行して完結しておりましたので、アニメを観た方は内容を知っていると思いますし、ネットを調べれば既にネタバレ情報が散見される為、本編を見ずともあらすじと結末は知っている方もいるかもしれません。
漫画版も既に6巻で完結しております。…ただこの作品、中盤のひと段落ついたところで打ち切りとなってしまいました。理由をネットで調べたところ、漫画版が目標の売上に満たず中盤で打ち切りとなった、と作者の広江礼威さんが申しておりました。コミカライズ版も面白いので残念でなりません。
なお、アニメについては2017年に放映され、アニプレックスという株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメント100%子会社が力を入れてプロモーションしていたので、何となく知っている人もいるかもしれません。
今年は放映から5周年という事で、作者の広江礼威さんと周辺やファンが盛り上がっているのを見かけます。この機会に、当noteでも取り上げようかと思います。
率直に言うと、最上級に面白いです。
アニメ版を観てない方はこの機会に是非ご覧になっていただきたいです。
アニメ版はこちらから見る事が出来ます。Amazonなどでもありますので探してみてください。
では、漫画版の中身に入ります。
物語は「投身自殺した少女」から始まる
いつもと変わらない日常の中、ある一人の少女が、早朝の駅のホームから電車に飛び込みます。
彼女の死は関係者以外には「日常の中で時折遭遇する、電車の人身事故」として一時的に認識され、そして忘れられ、またいつもの日常に戻っていきます。
自分自身を「狂言回し」と語る彼は『水篠颯太』(16)。
所謂二次元オタクの高校生で、個性と言えばたまに絵を描く位。それ以外は何が得意という事もないありふれた高校生であり、特別な宿命も使命感もリーダーシップも、驚くような才能も無く、この世界の未来を変えてくれるような期待感もありません。物語の主人公という雰囲気を纏わない、我らと同じような非力な少年です。
投身自殺の少女と颯太。
物語を見ている我々と同様の、現実的な等身大の人物が、日常の中に埋没しながら、淡々と過ぎる日々に流されないように生きている。
そういう、「ごく当たり前の現実的な人物たち」から物語は始まりますが…
物語開始早々に、アニメの世界へ転送。
ああ、これは良くある冴えないヲタク君が異世界に召喚され俺強ええ!を押し付けてくる物語かな?
なら読まなくていいかな?と思っていると…
なんと、物語世界の美女を伴って現界。自分の部屋へ戻ってきます。
彼女は、ラノベ原作アニメ『精霊機想曲フォーゲルシュバリエ』のヒロイン『セレジア・ユピティリア』(19)。原作のラノベからでは無くアニメ版からの現界です。
アニメはバスのラッピングになる程広告費用がかけられる人気作であり、作品の世界観は剣と魔法とロボットが混在した世界「アースメリア」を舞台としたファンタジーで、「精霊機」という起動兵器を操り、サーベルと「波動詠唱」という仏教的な魔法で攻撃します。
読者の対象年齢は中学生以上でしょうか。
彼女は実直で意志が強く、真実を自分の目で見てその善悪を判断する自立した女性であり、それでいて快活で世話焼きな気持ちのいい性格で、そして美しいという、当に主人公そのものですが、出身の物語世界では『カロン』という主人公がおり、セレジアはアズメリオン王国の崩壊を目論むアヴァロン・ブリゲードから王国を守る「王立騎士団」の一員としてカロンと共に所属し戦う彼のパートナー、という立ち位置でした。
そのカロンとは互いに淡い恋心を抱いたようです(男女の関係があったのかどうかは、アニメ版の先々で汲み取れる場面がありますのでご期待ください)。
しかし、なぜ、何のためにセレジアは現界したのか。
誰がどの様に現界させたのでしょうか。
どうやら『軍服の姫君』が現界に関与しているようです。
『軍服の姫君』
第一次世界大戦頃のロシア軍騎兵の帽子とロングコート。
腕に纏った甲冑。
コサックの装備を想起させるサーベルと銃。
彼女を取り巻き高速回転する無数のサーベルが斬新で、彼女のデザイン性に衝撃を受け思わず唸りました。
そして、とにかく強い。
無数のサーベルが彼女を守っていたかと思えば、そのサーベルが飛び道具となって相手に襲い掛かる。
これは『ガンダム』シリーズでいう所の「ファンネル」なのか…?しかし、かっこいい。語彙力が奪われる程のカッコよさ。
そんな彼女は何者なのでしょうか?
現時点では『軍服の姫君』と仮称されていますが
物語世界から来たのか、現世の人物なのか?はたまた他のどこかから来たのか。二次元オタクでアニメに詳しい颯太をしても『軍服の姫君』が何の作品出身の人物なのか分からない。とにかく謎の多い人物です。
セレジアの現界はこの『軍服の姫君』の力であり意志でした。
そして彼女はこの現実世界を「享楽の神々どもの恐るべき世界」と表現し、セレジアに自分と同道するよう誘いますが、セレジアはその誘いを直感的に嫌悪し拒否。敵対の意志を見せます。
『軍服の姫君』の誘いと、その真の目的は何でしょうか。
『軍服の姫君』の目的とは
「物語世界を変革」させ、我々の住む「現実世界に制裁を与える」のが目的のようです。
「元いた世界を創造主(つまり作家)に働きかける事によって改変する」事を、今後現界する人物たちにも提案する『軍服の姫君』。
現界した人物の世界観によっては経っても無い願いであり、耳心地が良い提案ではあります。
しかし彼女の瞳と笑みをして、どうやら強い恨みを持っているというのは感じます。そして、言う程簡単に世界が変えられるのかも疑問です。「歴史改変」と同様、存在さえ無くなるかもしれない。
その、怪しい笑みと、大事な箇所が抜け落ちた耳心地のいい言葉と、所々こぼれる恨みの言葉から、やはり我々は不安を感じざるを得ません。当然自立した女性のセレジアも同様です。
『軍服の姫君』の言う目的が成就された結果、世界はどう変わり、どう結論付けられるのか。現時点では分かりませんが、この恨みの深そうな表情から、最悪な結末も予想できます。
セレジア最高過ぎるでしょう!!!
セレジアが『軍服の姫君』の誘いを断る際の台詞
「こんな笑い方をする人間で、信頼できる奴を見たことがないから」
個人的にはこのセレジアの即答に心を射抜かれました。
この時、何故セレジアは違和感を感じ取り、『軍服の姫君』の耳心地の良い誘いを即答できたのか。
その答えはやはり元いた物語世界での経験が大きいのではないかと思います。
物語から察するに、敵対勢力の「アヴァロン・ブリゲード」は秘密結社や過激派宗教的な反国家勢力、もしくは敵対国であると推測できます。
理由は「アヴァロン・ブリゲード」が「王国の崩壊を目論む組織」であり、セレジアの発言から組織内に魔導士の存在が確認でき、セレジア達はその組織と「精霊機」という起動兵器で戦闘を行っている点からですが、構成員は主に人類であり、ゴブリンのような人類以外の勢力とは考えづらいです。
そうなると、当然王国内の仲間や高級官僚の中にも敵対勢力が潜伏している可能性もありますので、当に人を見抜く判断基準は、自分自身の感じ方や過去の体験等が頼りになります。
また、セレジアは「王立騎士団」の一員であり、自ら危険に身を投じてでも守りたいものがある、忠誠心と志高い、自立した女性です。
持ち前の明るさと面倒見の良さを根底に持ちながら、毎日人々とのやり取りや戦闘という命のやり取りの中で、初めての事に戸惑い、自分の実力不足から壁に突き当たりそして躓きながらも、その度に自問自答し、或いはカロンの助言を受けながら「気づき」を得、自分なりの「解」を出しながら生きてきました。
この後、颯太らとのやり取りの中で、セレジアは仏教最古の仏典の一つ『スッタニパータ』の中の「犀の角の様にただ独り歩め」と同様の気づきを得た事で成長できた経験を颯太に語り、励まします。
この言葉は「サイの頭部にそそり立つ太い一本角のように、独りで自らの歩みを進めなさい」という意味です。
私は私にしかなれないから、今の自分が未熟だとしても、私が実際に見て、実際に経験し、そして判断する。そういう考え方をしています。
なお、このセレジアの紹介は次回に回そうと思ったのですが、セレジアが好き過ぎるせいか熱く語ってしまいました。。ここで語って良い情報かは分かりません。結構ネタバレも混ざっています。
しかしこの物語の中で、明確に『軍服の姫君』と袂を分かつ最初の一人であり、不利な状況でも自分を曲げない。
物語はファンタジーのラノベですが、19歳の彼女の生き方や苦悩、そして成長が、読者の悩みや劣等感に寄り添い、勇気をくれる点が、この作品の人気の秘訣かもしれません。
セレジアは、恐らく私の体験した物語世界の女性の中で歴代一魅力的だったかもしれません。そのくらい好きな登場人物です。
この辺りは改めて書き綴るとして、次に進みたいと思います。
短くしたのに5,000文字超えてしまうので(笑)
『颯太』に反応する『軍服の姫君』…なぜ?
セレジアが現界する直前、尊大で挑発的な表情の『軍服の姫君』がふと素に戻ったような表情をします。
確かに、颯太君を見ています。
颯太は絵を描くオタク高校生で、まだまだ代表作もありません。
そして颯太は『軍服の姫君』を知りません。
謎に満ちた『軍服の姫君』は超常現象を起こせるのですから、高確率で「被造物」とみて良いのですが、その颯太君と何か接点があるのか。
颯太は『軍服の姫君』にとって、見かけた瞬間その攻撃性を不意に解いてしまう程、驚愕する存在なのか。
アニメ版では『軍服の姫君』が独り言としてその反応に触れますが、漫画版では表情で察する場面であり、セレジアもその小さな異変を感じ取ります。
際限ない妄想が一点集中されて具現化されたような『軍服の姫君』と、何も特筆する所のない極めて現実世界の非力なオタク高校生の『颯太』。
二人の意外な接点と予想しなかった結末も見所ですので、見続けてこの伏線を回収していただきたい。もうこれにつきます。
以上、1巻第1回目は、導入部分についてお送りしました。
いかがでしたでしょうか。この記事がきっかけとなり、アニメ版や漫画版に触れ、この作品を愛していただける方が増える事を強く望みます。
【漫画版】
【アニメ版】
次回は1巻の登場人物について触れていきたいと思います。
今回もここまでお付き合いいただき、誠にありがとうございました。
結局5,000文字を超えてしまいました(笑)。
こんな長さなのにここまで読んでいただいてうれしいです。
また更新しますので、次もお読みいただけますと幸甚です。
それでは良い一日を。
なお、コメントだけ有料にさせていただきます。
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