駿府育ちの新撰組推しマスターによるぐだぐだ超五稜郭顛末記 ~運命のサインはM51?~ 序章
その日、運命と出会った。
11歳の春、ぼんやりと見ていたテレビで見かけたその名前に、雷電で背骨を撃たれたような衝撃を受けた。他人の名前を聞いてこのような感覚を覚えたのは後にも先にもこの一度きりだった。あぁ、私はこの人をずっと探していたのだな、と若干イタイことを自然に考えてしまうくらいには、その出会いは運命だった。
そこからずっと、ちょっとブランクとかはあったりはしたけど、私の心の中にはあの人たちが生きている。私を照らす光として、いつも私の心の中にいる。そんななかだったのだ。大学で出会った友達に「棗さん、ちょっとこれどう?」と誘われたのは。
そう、『Fate / Grand Order』、FGOの沼へである……!
何もちょうどそのタイミングで私の運命・新撰組の一員である斎藤一の無料交換キャンペーンが行われていたとのこと。私が『刀剣乱舞』の孫六兼元実装で騒いでいたところを捕縛されたらしい。仕方ねぇだろ新撰組刀の実装何年振りだと思ってんだよしかもCV杉田智和だぞ銀さんだぞそりゃあ騒ぐでしょーが!!
まぁ誘われたならば仕方ない。早速アプリをインストールする。どうやら斎藤一を手に入れるには「冬木」とやらを終わらせなくてはならないらしい。ひとまず冬木までやってみようじゃないか。そんな気軽な考えの元、私はカルデアの門を叩いた。
結論から言おう。冬木がめっちゃ面白かった。
マシュちゃぁぁぁぁん! オルガマリー所長ォォォォ! レフ教授ゥゥゥゥ! 待って教授のCV杉田かよォォォォ! そしてフードの青い人ォォォォ! などと叫びながら徹夜で冬木走り切りましたよ。流石長年愛されるコンテンツ、やっぱべらぼうに面白い。そんなこんなでカルデアに足を踏み入れて数時間で人類最後のマスターとなり、冬木から帰還してすぐに斎藤一もといはじめちゃんをお迎えした。カルデアの状況的には不謹慎だろうが、このマスターめっちゃノリノリである。ドクターにマシュ、マジですまねぇ。
そして肝心の我が運命・新撰組が三番隊隊長のはじめちゃんなんですがね。
なんなんですかあのマスターちゃんを沼に落としまくるへらへら時々まじめな男は。秒で沼落ちしましたよ。
実のところ、私の新撰組の最推しは斎藤一ではなくて土方歳三である。イメージ的には少し前の映画『燃えよ剣』の岡田准一演じる土方歳三とか大河ドラマ『新撰組!』の山本耕史の土方歳三のような、冬の朝の張りつめた空気のような土方歳三である。あるいは『刀剣乱舞』の和泉守兼定みたいな雰囲気の土方歳三である(個人的には初の兼さんのキャラ付けは試衛館時代の土方さん寄りなんじゃないかと思う。うちの本丸には極の兼さんはいないから極の性格は分からないけれど)。しかも今まで読んだ新撰組小説だと斎藤一はいかにも必殺仕事人といった雰囲気であり、正直に申し上げますとあんまり私のタイプではないかなぁ、という感じだった(斎藤さんすみません)。
しかし型月のはじめちゃんは私のなかの従来の斎藤一像を覆す斎藤一だった。なんというかへらへらしていてふにゃあとしていて、無敵の剣士というよりかはむしろ近所の幼馴染のお兄ちゃんという感じで、しかしやる時はしっかり殺る。私のなかの従来の斎藤一が「影に溶け込む」という感じだとしたらはじめちゃんは「日常に溶け込む」感じだろうか。しかもマスターへの距離がちょうどいい。変に馴れ馴れしすぎず敬いすぎず、「いざとなったら好きにしていいよ、僕も好きにするからさ、だから気楽にいこうぜ」という態度がコミュニケーションレベル値マイナスの私にとってはちょうどいい距離感だったのだ。しかもマスターに向かって「逃げたきゃ逃げていい」発言である。おたくの組織逃げたら切腹じゃなかったっけ? しかしそれでも「逃げたきゃ逃げていい」発言は両肩に世界の運命が乗っているマスターにとっても救いだと思うし私にとっても救いだった。あと「死んだら負け」という考え方も個人的には推せるポイントである。好きなんです、『不良少年とキリスト』。好きなんです、「人間は生きることが、全部である。死ねば、なくなる」みたいな考え方。
そんなこんなではじめちゃんと共に人理修正の旅に出ていた矢先に聞いたのが新ぐだイベの開催である。ぐだイベといえば新撰組である。はじめちゃんたちの主戦場である。マスター業始めてひと月足らずでぐだイベに遭遇するとは私はたぶんめちゃくちゃ運が良かったのだと思う。
そして来たるカルデアライトステーションにて、お察しの通り私はものすごい悲鳴を上げることとなった。
五稜郭! 永倉新八実装! そりゃあ悲鳴も上げるでしょうが!!!!!!
五稜郭っつったら土方さんだし永倉新八っつったら永倉新八である。つまり新撰組である。私の運命である。川中島の戦いと新撰組がメインなのである。しかも予告で出てきた今川義元も新規実装の武田晴信も私の出身地・駿府(静岡県静岡市)にはゆかりがある。駿府を拠点とした今川義元は今でも静岡駅に像が立っていたりその名前が弓道などの大会名に使われていたりと(家康ほどでないにせよ)静岡市民に親しまれる存在である。一方の晴信(信玄)はというと、義元と晴信の姉の婚姻やその後の甲相駿三国同盟で義元と手を組んでいたりそののち駿府を侵攻して義元の息子・氏真を追い出して駿府を占領しちゃったり(この時点で甲相駿三国同盟は破棄されます)となにかと駿府とご縁のある方であり、なんなら今でも静岡駅のお土産売り場では桔梗信玄餅が売っている(しかも静岡市の人気お土産ランキングではうなぎパイ、こっこに次ぐ第三位である)。その上実は私の先祖は義元・氏真・晴信に仕えていたらしい。ここまでくるとちょっと怖いまである。なんじゃこの棗さんの運命てんこ盛りセットは。
そういうわけで駿府育ち新撰組推しのマスターは我が運命・はじめちゃん(当時確かLv.50くらい)を引き連れて魔甲斐へと旅立つこととなった。その様子(というか叫び)は次の記事に回したい。
最後に付記としてこれだけ付け加えておこう。
武田晴信と永倉新八来ました。しかも初回11連で。
もうここまでくると運命バカにできないな、と思った。
(続)