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あなたの虜


わたしはわたしが嫌いだった。


そのときに比べると

今は、今のわたしが好きだったりする。


好きな服や、はじめての髪型

唇に艶やかな色をのせるのも

全部自分のためでいいんだって。


お気に入りの自分でいるために。


でもほんの少し

あなたの目にも熱を持たせたい。


誰かが言ってた。

「君の隣にいるとあたたかくなる」

と。


きっとその言葉に深い意味はなくて

ただそのゆっくりと流れる時間が

丁度良かったんだろう。


優しい音色を奏でられる自分を好きになった。

優しい音色しか奏でられない自分が嫌だった。


甘い香りを纏うくせに

甘い空気の中にはいたくなかった。

でもあなたを見つめるときくらいは、

甘い風を吹かせてもいいかななんて思えた。


つぼみはつぼみだし、

それが咲くのかそのまま枯れるのかなんて

今のわたしにはまだわからないけれど、

咲かせてみてもいいのかもしれない。


心を受けとめてくれる、愛しいあなたへ。


わたしがわたしを好きでいるための

わたしへのラブレター。



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