心の中の記憶9 香港ニューラッキーハウス 子どもと海外を旅する
若い頃、バックパッカーだった。
10年ぶりにメキシコを訪ねたとき、現地の友達がことばを選びながら、あなたは昔、ヒッピーだったよねと笑っていた。
自分なりの身を守る術だったけれど、バックパックを背負いながら美しく旅をする方法もあったはず。若い私を慰めてあげたい。
結婚して、下の子が3歳を過ぎ、家族で初の海外旅行に行った。手始めに、香港マカオ。
香港の裕華国貨 佐敦総店前にあるNew lucky houseに、バックパックを持って家族4人で宿泊した。
薄暗く湿気が多く、窓ひとつなかった宿をチェックアウト後、そのまま、ビルの出入り口で警察官にとめられた。10人ほどの現地の人たちと、警察が何人か、小学1年生の娘と3才の息子を連れた私たち家族。
緊張感漂う空気の中で、身分証の提示を求められ、息子まで細かく記録をとられた。念の為、おそるおそる尋ねてみたところ、返事「Murder」。
そんな雑居ビルの出来事を思い出したニュースだった。
あの日以来、安宿に泊まることをやめた。
かわいい子どもたちが殺人の容疑者なんてあんまりだ。真逆にふれた私は、無相応な贅沢を決め、ホテルのクラブフロアや空港でのラウンジに味をしめ、昔、思い描いていたスタイルとはかけ離れた旅行が定番になった。
今年の夏は、ミニマム家族旅を実現したい。私を取り戻す大きな一歩。
今日、キャビンゼロ 36リットルが3個届いた。私より背格好が大きくなった子ども二人と私のもの。
キャビンゼロ、最大25年保証付き。
73歳40歳37歳、未来に保証が付いてきた。
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