麻雀百人一首 休憩中 『がけっぷちの四暗刻』
「さ」の段も終わり。
牌交換しまーす。
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■休憩中雑談(ちょっと長文)
『がけっぷちの四暗刻』
~器の小さな物語~
とりわけ自慢でも、武勇伝でもなんでもないのだが、若気の至りで無謀な麻雀を1回打った。
「テッポウで打ったことある?」
「テッポウ」とは文無し(お金なし)で博打を打つことだ。
だが最近のフリー雀荘は前もって準備金などが必要なところがほとんどから、今ではなかなか難しいかな。
それに万が一払えないとなると、信用があれば店からアウトする、新規なら出禁になる、または怖い人出てきてシバかれる?(笑)等いろいろ大変な世の中だ。
博打の負け金が払えない奴は、殺されても文句言えないとは昔からよく言ったものだ。
※アウト=店から足らない分借金すること。
大学生時代に一度だけ、テッポウで打ちに行ったことがある。
厳密にいうと全くの文無しではなかったが、財布には2500円くらいしかなかったと思う。
勉強もおろそかにし、遊び過ぎたせいで貯金は0だ。まぁほぼ文無しに近かろう。
今思うと、アホすぎるな。
世の中には、本当にテッポウで渡り歩いているような腕利き雀ゴロもいるだろうが、学生の半端な腕でよくそんなことをしたものだと思う。
劇画のような生き方に憧れていたのだろうか。
学生時代、どうにも大学が面白くなかった。
とりわけ絶対に行きたいという専攻でもなかった。
大学名がそこそこ知られていて、あと少し勉強頑張れば合格できるぞ!というだけでなんとか入学した大学だった。
まぁ入学すれば何か見つかるかなと思いながら・・・。
そんなことだから、やっぱり授業もあまり気が入らない。
よくある話だ。だんだんと授業をサボりがちになり、学校近くの学生御用達の雀荘で、友達とセット麻雀ばかり打って過ごすようになった。
大学生と言うのは恐ろしい。高校生と比べて、何もかもが急に自己責任になる。
真面目にやるのも、不真面目にやるのも自分次第。
教師だっていちいち成績がどうとか口酸っぱく言わない。
もちろん学生は勉強をするのが当たり前だが、しなくても別に社会的には罰せられるわけではない。成績が悪くてクビにされるわけでもない。
もし学費を自分で働いて出してでもいれば、少しは真面目に通ったかもしれないが、学費や仕送りは親が金を出すという超甘い環境が大半だ。
当然、勉強できることに喜び、親に感謝し、頑張る人間はどんどん人生のステージを上げていくし、環境に甘えて堕ちる人間はトコトン堕ちていく。
言うまでもなく、自分は後者の類であった。
その当時は友達と一緒にセット麻雀ばかりしていたのだが、一緒にいた連中が自分と同じく不真面目に過ごしていたわけではないと気付いたのはだいぶ後のことだ。
まぁ、単純に言えばこういうことだ。
・友達は授業にきちんと出て、授業の無い時間帯に雀荘にいる。
・自分は授業もロクに出ず雀荘に入りびたり状態。
当時は友達と呼べる仲間がたくさんいたため、麻雀メンツには困らなかった。
授業を終えてきた友達、その日に授業が無い友達、これから授業やバイトがある友達など、入れ替わり立ち代わり常に誰かが店にいるため、卓自体が割れることはない。むしろメンツが1~2人余るような状態だった。
要は、この無限スパイラルの「中心」に自分がハマってしまったという物語だ。
そうなるとどういうことになるか。
どんどん感覚が麻痺して、この状況に慣れてしまう。
「こいつらも俺と同じで、麻雀で青春を過ごすんだ。」
こんな意味不明な考えに安心して何も疑わない。(微妙に友達が入れ替わっているのにも気づかない。)
ゲームの流ればっかり見ることに長けて、完全に人の流れ(人生の流れ)が見えていない状態だ。
でも当時は、この仲間たちと「肩を並べて歩いている」のだと信じていた。実際は全く違っていたというのに。
友達とじわじわ差が開いていることを全く感じていなかった。
結局気付いてみれば、朝から晩までずっと店にいたのは自分一人だけだったというわけなのだ。
もはや麻薬である。
麻雀の麻は麻薬の麻!(笑)
そして日中だけにとどまらず、さらに麻雀の時間は増えてくる。
行きつけの雀荘は学生向けの店だから、夜遅くには閉店する。
ところが、夕方最終の授業や部活動を終えて、明日は午後から学校だという「夜ヒマな奴ら」が必ず雀荘に現れる。
そんな仲間と晩から居酒屋で麻雀やパチンコ談義、そのまま誰かの家へなだれ込み、手積みで飲みながら徹夜麻雀をすることも度々あった。
そして翌朝、自分は午前中の授業をサボり家へ帰って爆睡だ。
しかしながらその晩一緒に遊んだ友達は、もちろん昼まで寝るが、午後からは真面目に学校へ行き授業を受けている。。。という感じだ。
ここがポイントだ!
「ヒマな奴ら」
この言葉をそのまま鵜呑みにしていたのがそもそも間違いだったのだ。
普通に学生生活を送っていれば、毎度毎度そんな深夜帯に自分も「ヒマな奴ら」ではなかったはず。
皆、ヒマな時間帯に遊んでいただけで、ヒマな奴らではなかったのだ。
ところがそんなことは微塵も考えず、「みんな昼も夜も、常にヒマなんだな~ みんな一緒だな~」と勝手に解釈していた。
とんでもない勘違いである!
実はヒマな奴が自分だけだっという・・・。
まこと愚かの極み!!!
しかしいつまでたっても目が覚めない。そのスパイラルから抜け出せない。
いよいよエスカレートし、もう朝も昼も夜も深夜も関係なくなってくる。
仲間が見つからないときはフリーの雀荘とかで、48時間連続で打つなんてこともやるようになった。
そしてついに!
「ヒマの中心で牌をツモる」
通称「ヒマ中」のクランクインだ。(笑)
もちろん主役の座は戴きだ。
こうして「日本中を泣かせた!」どころか「白發中を鳴かせた!」レベルの人生大コケ映画が完成してしまったのだ。パオーン( ノД`)
そんなこんなで、このクソ映画のストーリーのエンディングはこれである。
「大学3年生の時に留年」 _l ̄l○
※うちの大学は単位が規定数に達しない場合、4年生に進級できないルールだった。
一方、友達はといえば、、、
当然のごとく全員進級。
4年生となり、早々に就職決まっている者もいた。
こうなればもう圧倒的、完全なる負け組だ。
あれだけたくさんいた麻雀仲間も、店へはあまり姿を見せなくなり、ゼミや就職活動、大学院へ進むため研究室に出入りしたり等、皆忙しくしていた。
つい1~2年前まで一緒に楽しく麻雀を打っていた仲間は、知らぬ間に違うステージへ行ってしまっていたのだ。
独りで店の雀卓に座り、ぼーっと誰か来るのを待っているような日もあった。
もはや廃人である。
なおかつ、学費を出してくれている親にも申し訳ないやらなんやらで、当時ちょっと頭がおかしくなっていた。そういえば胃潰瘍にもなりかけたな。
まぁ完全に自分の責任なのだが。
で、どうしようかな。。。
ぼーっと卓に座っていたところで、もう誰一人来ない。。
今年入学したと思われる後輩たちが楽しそうに仲間内でわいわい打っている・・・。
いいなぁ・・・
あんな時代もあったねと・・・
いやいや、いかん!
このままでは、笑って話せる日は来ない!
そろそろ現実を見なければ。。
留年届を出すのか、退学届を出すのかの期限も迫っている。
しかし完全に八方ふさがりだ。。
半分うつ病になりかけながらとりあえず考えた。
もう大学辞める?
3年も行ったのに?
親は行きたければ学費は出してくれると言っている。
なんて申し訳ないのだ!情けない!
でもまた留年したらどうするんだ?
そんな気持ちで甘えていいのか?
4年行ってまた留年?
そして退学?
いや、さすがにそれはアホすぎる。
親不孝すぎて、死んでいいレベルだ。
もう就職するか!?
いや、留年して中退した奴をどこが雇ってくれるのだ。。
いったい何をやってるんだ俺は?!
むぅぅぅ。。
どうすればいいのだ・・・・・
・・・・そうか!!(゚Д゚)
この事態を招いたのは麻雀だ。
この先どうするかを麻雀で決めてやろう!
麻雀が答えを導いてくれるはずだ!!
→ 完全に頭がイっている
そうなると一体誰と打つのがいいのだ?
たまに行くフリー雀荘??
無理言って友達を集める??
なんか違う。。。
人生を左右する麻雀なのだぞ・・・
そうか! これだ!
テッポウで打って、自分の運を計るのだ。
いつものフリー雀荘だとダメだ。
最悪どうせアウトしてくれるだろう。
全く知らない怪しい店で打つのだ!
そして、、
「3半荘だけ打とう」
と心に誓う。
1年間1半荘と考えて、大学3年間で身に付けた麻雀の実力に全てを賭けるんだ!
もうここで死ねと裁きが下るのか、それともまだ生かされるのか・・・・
→ 完全に頭がイっている
・・・で、何となく適当に探して行きついた店の前。
一応財布の中を確認したら、手持ち2500円か。。。ゲーム代700円て書いてあるし最悪耐えられるのかな!?
※この辺が超絶セコい!(笑)大物感ゼロ!ミジンコ並みの器である。しかもそれはセット打ちの1時間の貸卓代だったと後で知る(笑)
「よし決めた! 」
「逝こう!輝かしい未来を求めて!」
※逝こう?w
■最終プラスで終われたら・・・!
親に頭下げて、なんとしても大学を卒業させてもらう!授業もしっかり頑張って単位を取り戻すのだ。麻雀は続けるかもしれないが大学卒業までは控えよう。もう少し将来も真面目に考えよう。
■最終マイナスになったら・・・?
怖い人出てきてシバかれるかもしれない。親まで呼ばれて、金も借りて、最悪の修羅場だろう!ひたすら土下座しまくって、その後は大学やめて就職だ!麻雀はもう一生やらん!
という、自分勝手すぎるアホな決断をしてイザ突撃凸
そして、飛び込んだ雀荘は、個人経営の薄暗ーい店。マスターは温厚そうな人だった。
見渡したところ、マスターひとりしかいねぇ・・・。
レートはピン(1000点100円)
チップ20枚持ち(1枚/500円)
幸いなことに1局ごとの清算じゃなくて、誰かが抜ける終了時にトータルで精算するというヌルいスタイルだった。当時は常連の多い個人麻雀店だと、そんなハウスルールも結構あったのだ。今もあるのかな??
マスター
「いらっしゃい。初めてかい?」
「今常連さん呼ぶからちょっと待っといてな。」と電話。
で30分ほどして来たのが、なんかガタイの良いイカツい顔のおっさんと、目つきの鋭い細身のニーチャンである。
「ジャイアンとスネ夫か!」
と心の中で静かにツッコんでしまった。
当時自分は20代だったから、おっさんといえどももしかしたら30代だったかもしれない。もううっすらとしか記憶にないが。
「では始めようか!」
・・・・・・・・・・・・。
「あれ?マスターは?」
カウンターに座っている・・・。
「ん? 3人打ちやでこの店。」
「えーーーーーー!?」Σ(゚口゚;)//
何という初歩的な確認ミス!
3人打ちのピンレートだと!?
いや、ちょっとまて、それは・・・!
社会人になった今の自分にとってはそんなに気にならないレートだが、貧乏学生の3人打ちピンは結構きつい!
しかも得体の知れないジャイアンとスネ夫(笑)
うーむ・・・どうしよう・・・。
困っていたら、マスターが、
「4人打ちでやる?べつにワシ入ってもええけど?」
だが、ジャイアンが、
「4人かー。あまり好きじゃないなー」
ぬうううう・・・ジャイアン・・・
どうしよう・・・どうしよう・・・
・・・えーい 知るか!(# ゚Д゚)
「3人打ちで結構!やりましょう!」
と言ってしまった。
もう後には引けん!
思い返せば我ながらこの時の集中力は半端なかった。
3人打ちだ。オリてばかりでは勝てない。だが無謀に突っ張ってデカい手に放銃すると即死だ。
かといって手持ちは2500円。後は無い!
なんか麻雀漫画みたいだな~、俺かっこいいな~、なんて思いつつプルプル震えながら打っていた。
で試合はというと・・・
■1回戦
なんとトップ獲ったぁぁぁ!!
+55(チップ+3枚)
今思うと、ここでやめてもよかったのだ。
けど、電話までして常連さん呼びつけたのに、1回で勝ち逃げで帰りますとはさすがに怖くて言えなかった。
■2回戦
2着!
-35(チップ-4枚)
トータル
+20(チップ-1枚)
むむ・・
何とも言えないヒリつき感。
まだ勝っている。
まだやれるはずだ俺は・・・!
■3回戦
3着!
-65(チップ-3枚)
トータル
-45(チップ -4枚)
なんて尻すぼみなんでしょう!
まさに今の自分! _l ̄l○
人生オワタ\(^o^)/
あーあ。
もうどうにでもなれや。
さようなら。\(^o^)/
・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
はぁ・・・( ノД`)
・・・とうつむいていると、ジャイアンが、
「あれ?学生さんもう終わるんか?」
「まだ3回しかやっとらんで?」
・・・・・??
・・・・・・・???
はっ!? ( ゚Д゚)
そうか・・・!!
勝手に3回で終了と決めつけてた!!
「・・・・・やりますよ!!!」
どうせここでやめても一緒じゃ。
何が3半荘だけやるじゃーー!!
俺はアホかーーー!
おらおらおら!!
留年生なめんなよー!!!
ヽ(`Д´#)ノ ムキー!!
もう何かどうでもよくなってきた。
最期の麻雀かもしれないし、とりあえず楽しむか。
後で死ねばいいや。
→ 完全に頭がイっている
■4回戦
2着!
+10(チップ+1枚)
トータル
-35(チップ-3枚)
くそう、、まだ浮かない。。
見た目に反してジャイアンが繊細で上手い!
役牌ドラ2とかで流される!!
■5回戦
2着!
-5(チップ -1枚)
トータル
-40(チップ-4枚)
くっそー!
やっぱりダメなのか・・・。
ここまでかー!?
■6回戦
・・・・・・・・・・・・・・!
・・・・・・・・・・・・・・・・!!
四暗刻 テンパイだ!!
まだ5巡目・・・
これは上がりたい!!!
だがしかし!!!
ジャイアンが役牌ポン!!!
おいやめろ!!!
役牌ドラ2やめろ!!!
この時だけは本気でシバきたくなった(笑)
しかしながら、、、
神キタ━━━(。A。)━━━!!!
つももももおおおおぉぉぉ!!!
思いっきり牌を叩きつけてしまった。
マナー悪!!
ジャイアンをハコ下にしてトップ終了!
+80(チップ+10枚)
※祝儀含む
トータル
+40(チップ+6枚)
と、ここで一旦冷静になり、電話がかかってきたふりをして店の外へ出る。
で3分程して、店へ戻り、
「す、すみません、ちょっと家から緊急の用事で帰らないといけなくなりまして・・・・」
「勝ち逃げ本当すみません!また来ますので!一旦終わりにしてもらっていいですか?」
と言って、逃げるように帰ってやったというオチ。
超セコい勝ち逃げである(笑)
器の小さすぎる物語である!!
でもなんかうれしかった。
「勝ったぁぁぁぁぁ!!!」
「勝てばなんでもありなんじゃー!」
( ゚∀゚)アハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \
笑いながらスキップして帰った。
周りから見たらただの変態である。
そしてその後は当初決めた通り、親に頭下げて大学続行のお願いをし、真面目に授業に出席、麻雀はしばらく控え、遅れた単位を捲り返してめでたく5年で卒業できましたとさ。
親には大変感謝している。
四暗刻にも感謝している。
こんなことがあり、今でも一番好きな役満は
四暗刻
なのだ。
今になって思うと、世界の狭い学生時代のことだし金額面でも大した事件ではない。ショボい話だ。
だが当時は、とんでもない大博打と思って必死だったんだろう。
しかしそうした経験によって、修羅場をくぐりぬける力と集中力が多少なりしも身に付いたのではないかと自分では思っている。
この結果が正解だったかどうかは判らない。
勝負に負けて悲惨な経験をし、大学を退学して就職でもしていたら、それが反骨精神となりバリバリ働いて出世していた? かもしれないが、まぁそれはもうどうでもよいことだ。
今の人生を大切に生きていこう。
ありがとう 四暗刻。
皆様は、
「特別思い入れのあるアガリ役はありますか?」
※この物語は事実を元に書いていますけど、点数とチップがうろ覚えなのでおおよその数字になっとります。6回戦のゲームの流れはほぼこんな感じでございました。
長々とお付き合いいただきありがとうございました。