1月の短編「大小の影」
「そこじゃないよ。もう一個向こう」
「え、なんで?」
「そこは端っこの板がグラグラしてるから」
歩く速度も変えないまま、まーちゃんは先へ。
「ホントだ」
グラグラの板の端に、本来は金具がはまっていたであろう穴が二つ空いている。
「よく来るのな」
顔を上げるとまーちゃんはすでに奥から二番目のベンチに腰掛けていた。敷地の角の街灯がその姿を細長く砂場まで映し出す。
「土日はね。子供たちを遊ばせるのにちょうどいいでしょ、ココ」
「確かにな」
「なんせ児童公園だから」
懐かしい響き。