存在の不思議
夜の9時ころ、もうすっかり暗闇となった庭で何かがゴソゴソと動いていた。
近づくと、家庭菜園のナスの株元あたりに、白い幼虫と黒い虫が動いていた。白い幼虫はコガネムシの幼虫と思しきフォルムで、ガーデナーならば即「ピンセット!そしてオルトラン!」と退治一択の困ったちゃん。ただ、少し観察を続けてみると、黒い虫が白い幼虫を抱えて土の中に引きずりこんでいく。黒い虫はドロバチかジガバチだったようで、見ているうちに白い幼虫と一緒に土の中に潜り込んでいった。
どうしようかと考えあぐねているうちに、ドロバチは再び土の中から出てきて飛び立っていった。
巣を作っていたのだろう。
ドロバチの仲間は、ドロで巣を作り、中に卵と麻痺させた食料(幼虫や青虫類)を入れるという。卵からかえったドロバチの幼虫は、その場に与えられている食料(麻痺した青虫類)を食べて大きくなり、飛び立っていくらしい。
ガーデナーにとって、大事な植物の葉を食い荒らす青虫を捕獲してくれるドロバチはありがたい存在。
暗い夜にもせっせと働く親ドロバチの姿がなんとも健気で、地中に作られているであろうその巣は壊さずにそのままにしている。
虫って本当に不思議。
あんなに小さな脳で、しっかり自分の役割と仕事を理解している。
親や他の同類たちから教えられることなどないというのに。
マニュアルがあるわけでもないのに、ちゃんと自分のやるべきことを遂行する。
オトシブミのゆりかごを見た時も感動したけれど、虫たちの技術力とその継承力(DNAのなせる業?)に何か果てしないロマン?!を感じる。
実は昆虫学者とか向いてるのかもしれない。
あ、でも、ムカデやらスズメバチやらイラガの幼虫なんかに遭遇したら、「ひゃ~!」って逃げてしまうからダメか。