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ドラマ「街並み照らすヤツら」 感想 改訂版

概要だけを書き出すと、おかしな犯罪商店街だ。



最初はケーキ屋に覆面の強盗が入った。
そして数日して今度は酒屋に同じ強盗が入った。
また暫くしたら今度は時計屋…
そして、それぞれの店に保険金が充分に入った。

それからも商店街では強盗が続く。

勿論管轄の警察は動き、監視カメラを確認したり実況見分をして強盗の様子を再現させる。

そして意外と澤本恵梨香刑事は気が付く…
気が付くのに…実は好きな人が出来てしまった。


何日かして倉庫で火災まで起こる。

そして一緒にその現場に行っていた主人公、竹野正義と友人荒木が捕まる。
日下部の取り調べのシーンがまた良い。
お互いに同じ事を言うのか?
試すシーンなど、実はそんなに早く捕まるとは思わないふたりなので言い訳が違うとまずかったりする…

だが白鳥という男がその犯罪の自首をしてふたりは無罪となる。

所が今度はビリヤード店の荒木が違う強盗に襲われ負傷をする。商店街の会長も強盗に襲われる。
荒木達街の連中が知らない強盗達だ。

新たな強盗は本気で暴行をするので動揺をかくせない商店街の人々。

今までは手抜きでなぁなぁのみんなで計画をしてやっていた偽装強盗だったからだ。

街の人々はみんなで
カフェの店に大金があると街中に言いふらし
まんまと本物の強盗を捕まえた。

その強盗は出頭したのだが、いったいどこまで自供したのだろう?マサキの事も言ったんだっけ?
ちなみにマサキはシュンの友人で偽装強盗のメンバーのひとりだ。
やがてマサキも捕まる…
が、一旦釈放される。

マサキがホッとした束の間、喜んで帰ると
今度は商店街の人々にマサキは捕まる。
「こいつが警察で何か喋ったら俺たちみんな捕まるぞ」と話し合う店の人々。
普段はニコニコと愉しげな商店街の人々が
「自分だけは捕まりたくない」
という気持ちで嫌な会議をする。


↑マサキの友人シュン(1番左の青年増田陵介)は
強盗をした晩に一目惚れをした正義の奥さんの事以外は
割とどうでも良い態度


マサキ「みんな同じ犯罪をした仲間だよね?」と言いたげ

 今まで、正義の計画的…なようで、その場で乗り切る毎日だった
がとうとう管轄の刑事日下部に正義は相談をする。

日下部刑事も商店街の異常な程の犯罪続きで、警察内の立場が悪くなっていた。

実は日下部刑事もその部下の澤本刑事もだいたいの事は既に分かっていたのだ。

そして、わかっていたが証拠も不充分。
澤本刑事は主犯格に恋をしている。
皆の犯罪を知っているのは商店街会長大村と会長の息子光一も同じだった。
ホームレスにしか見えないトミヤマに街の人々を探らせていなからだ。

だが日下部はトミヤマをぱっと見て
「あんたどこから来たの?刑事?」
と訪ねた。トミヤマは真相を言わずに去った。
(商店街、祭りの日)

やがて日下部は警察内で蔑ろにされ外された。
そこに正義が相談にきたのだ。

日下部は正義の相談に乗る。
日下部「マサキを逃がし、それを警察に追わせよう」

と、いう事にしようとしたら…
トミヤマがマサキを捕まえ警察に突き出してしまった。

それを偶然みつけた日下部は突然切れてトミヤマに暴力行為をする。

「仲良しごっこはもうよせよ」
とトミヤマは言うがそれは、日下部が商店街の連中と犯罪の共犯になろうとしたからなのだ。

今までトミヤマも警察の一員として必至に働いていた。(らしい)
だが今はお互いに何だかわけの分からない人間たちの手助けをしている。

↑私はこのシーンが、好きなんですよ。
トミヤマはいったい過去にどういう事があったのか凄く気になる。高田亮さん、トミヤマさん主役の脚本を書いてくれませんか…
警察内でどんな事があり踏み付けにされ
世の中の片隅であんなに虚ろな目をしていたのか…

トミヤマ(森下能幸)
街のベンチでぼんやりと座っていたら
絶対に会長側のスパイには見えない。
凄い配役センス


 荒木のブレすぎな態度も良かった。
しかし子ども頃に正義のケーキの事で変な噂を言っていたそうだ。
子供の頃の正義「アラーキーがここの店のケーキに蟬が入ってるっていうんだ。前はカナブンが入っていたって言っていたんだ。ブンケーだって」
怒る正義に、生きていた頃の父親が
「悪い友達と一緒にいる時に悪い友達と仲良くしたいから言うんだよ。悪気は無いよ。許してあげよう」と言った……《荒木ぃ!お前子供の頃からあっちについたりこっちについたりヘラヘラと何なんだ!お前は!!》と私だけ怒るエピソードでした。

裁判が終り正義と白鳥がそれぞれ廊下ですれ違う。
正義に白鳥が裁判の結果を聞く。
正義「実刑3年です。」
白鳥「俺はもっとかな…」
※そりゃそうだ。いくら理由が正義と同じでも、そして友達から頼まれたとしても火付けをやった人間なのだから。
白鳥「正義、今回の件で学んだ事ある?」
正義「あ、はい。あると思います」
白鳥「それは…錯覚だよ」
そう言いながら白鳥は笑い立ち去る。
※私が最も重要だと思ったセリフはここだった。
好きなのはトミヤマのうらぶれたセリフなのだが
白鳥の言うこのセリフをドラマだけに留まらせず考えたい。

ひとりスネて自分のビリヤード店のイスに寝そべる荒木に日下部は
「みんなして私は知らない私は知らないだもんな。全部お前のせいにして」
と荒木を慰めたが荒木はスネていただけだった。


実は裁判中に「偽装強盗のリーダーは荒木だよね」
と正義に言われた時に咄嗟に商店街会長の息子が荒木に言った会話を録音していて
それを裁判中にいきなり流したのだ。
それは第9話の最後のシーンで、
第10話では荒木がいきなり拗ねきっている。
その間をドラマではカットしたようだ。

えっ?ふたりはどういう会話をしていたっけ?
そのシーンをもう一度見ないと分からない。



荒木はいつも街のリーダーになりたかったのに
街の連中は正義をリーダーにして荒木が何かを言うたびに苛立ちを荒木にぶつけていた。
そしてそれぞれが捕まりたくないという気持ちで
ギリギリの精神状態だった。
どう口裏を合わすか?という会議がドラマの後半でされていた。

商店街が寂れているのに…
商店街会長が家賃の値上をしなければ

保険料金を高くしなければ

白鳥が正義に違法行為を教えなければ

会長の息子が街を新しく作り変える計画をしなければ
こんな事にはならなかった。


最後に彼らはどうなったか?
正義は実刑三年。
街の人々は執行猶予付き有罪、保険会社にはお金を返金をするという事で示談。
そして今後街並みは?…

街の全てを見ていてドラマのナレーションをしていたのはお地蔵様でした。

さてケーキ屋「恋の実」とその奥さん
街の店はどうなったのでしょう。
シュンは…本当にどうなってるの?という終わり方だったんですけどね…

日テレで「セクシー田中さん」の問題があり、後番組「タータン」が急遽中止になり
代替ドラマ「街並み照らすヤツら」が出来た。
だがその出来は人間達の悲喜こもごもを
絶妙な匙加減でやっていて、ドラマ的には中途半端でもなんでもなかった。
代打で出た森本慎太郎さんと森川葵さんとっても良い仕事だっただろうと思う。

 私も飽きないドラマでした。
特にトミヤマと日下部が良かった。


 

 酒店の気の良いおっちゃん深川龍一がダークに
変わった時の皆川さんの演技や
浜野謙太さんの
演技も本当に良かったです。


追記∶今日7月1日の呟きで書きましたが、

良い人は良い事だけをするというわけでは無く

悪人は悪い事だけをやって生きているわけでもない。

それをこのドラマはやっていた。

商店会会長は、自分の子供光一をとても可愛がっていた。

光一は子供の頃は父親と楽しそうにしていた。

だが、光一が子供の頃から街の人々は会長の悪口を

息子に聞かせるように言っていたらしい。

代々地主の家だし傲慢な態度もあっただろう…

そんな父親の悪口を光一は聞きながら育った。


光一「俺はこの街の連中が大嫌いだ」

街の人々は鬱憤晴らしに会長の悪口を言いながらも上客なので会長本人にはまったく逆らわず良い事を言っていた。

「なんで子供の俺に親父の悪口を言って不満だらけだったのにクーデターを起こさなかったんだ!!」
それが光一の本音だ。

一方街の人々は、経済的に毎日の生活がやっとで
ずっとそれを維持するのに明け暮れていた。
しかし人間というものは弱い。
 その弱さが犯罪に手を染める事になる。
《みんながやるなら怖くない》
たけしの言葉はそんな人間の、本当はどうにでもなってしまう危うさを的確に言っている。
(正確には"赤信号、皆で渡れば怖くない”ですか)

人間の弱さ、愚かさ、温かさ、
全てを入れて人間ドラマとしては出来が良い。
そして人間は分からない。
分からない部分は想像する。
だからといって罰を加えるわけでは無い。
神じゃないのだから…

ケーキ屋の親子は商店街の中では比較的ヒーローの素質を持っていた。
だが主人公も結局は許される事なく
実刑犯になったので
誤魔化しが無く良かった。

勿論街の人々も赦された訳では無く法的に裁かれている。
何となく?ハッピーエンドに見えても
これまで以上に彼らは金銭的な負債を抱えてこれからの生活の解決も無く大変な事になっている。

追記の追記∶正義はケーキ屋職人なのだが、オリジナルな造形にこだわり妻から言えば「キモい」程の
普通とは違う新しいケーキを常に作っていた。
そして最後に正義が作ったケーキの姿は
新しい街の設計案だった…
びっくりしました。
あと、一番のハッピーエンドと言えるのは葵ひとりなんだろうと思いましたよ。
旦那がどんな人間か今までちゃんとは知らなかった。
それが今回の出来事で分かったのだから。
(それは白鳥の言っていた「錯覚」なのかもしれないが)
妻はあまりにも苦しい暮らしでキャバ嬢にもなった。
そして夫に対して「頼りない男」としか見えなくなっていて愛が冷めかかっていた。
しかもそこにシュンという存在が現れて見事に妻は心が揺れ動く。
お地蔵様はそんな夫婦を見守っていた。
これからもである。


※加筆修正致しました



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