◆歪んで見えた景色は・・・
それは、この世の本来の姿だった。
どんなに見た目を美しく彩って見せても、社会というのは陽の光の当たらぬ陰を含んでいる。
これからも、“維持”することが適わず消えていくもの、崩れていくもの、忘れ去られていくものが次々と散見されるようになる。
これまで当たり前だったことがそうではなくなっていく、そういう意味の変化において感じるストレスは、人々の視界に映る景色を歪ませる。
私には、闇に堕ちた者たちが全国のあちこちで奇行に走っているように見える。
38,000円分も無銭飲食をした上に暴行に及ぶ者、スプレー缶を手に次々と目に付く車に吹きかける者、職質に応じず警察官に暴行を加える者、娘の髪を掴んだまま腕を蹴る傷害容疑で逮捕される自衛官、建築現場から電動工具を盗んで逮捕された者、交際相手の自宅に侵入し包丁を手に待ち構えていた者、不動産会社の建屋にスプレーで落書きした者・・・。
鬼滅の刃無限列車編で精神の核を壊そうとする鬼がいたけれども、精神を破壊しようとする者が明確に存在しているかのような描かれ方をしていることには少し疑問。
実際に、社会とは目に見えないところで多くのことが日々動き変化している。気が付くと今みたいにどこかの国で起きている戦争による波紋が広がっていて、物価高騰や急激な円安が実生活にどれほど影響しているかを感じている。
これまで当たり前のように生活してきた人たちが精神を保てなくなりつつあるように見えるのは、実際に社会のあらゆる影響がリアルに精神へのダメージをもたらしていることの表れだろう。
“鬼になっても生きながらえたいか・・・、それともこのまま病に伏して死を待つか・・・。”
鬼滅の刃の珠代のセリフ。これに近い選択を常に迫られるようになるかもしれない。
精神の核さえ維持できればなんとか生きていける。でも、これまでの生活に一切関係なく、ある日精神の核が破壊されてしまえば誰だってその瞬間から奇行に走る可能性がある。
国防も大事だけれども、国内の治安維持がおざなりになってしまうと、何のための国防かもわからなくなっていきそうな予感。
ここ数か月で起きている窃盗や空き巣・強盗事件を見ていると、“持っているところ”が狙われている。冗談抜きで、これまで高級品で生活を塗り固めてきた者たちがターゲットにされやすくなっていることが顕著。こういうのをみていると、“高級”の価値も疑わなくてはならなくなる。狙われるリスクを取ってでも高級車を運転したいのかと言われればそんなはずはないだろうに。
良い生活をしたいとかいう漠然とした願望は、もう抱かないほうがいい。他人と比較して自分が社会的に劣っているとかいうことを感じて嫉妬心に苛まれてしまえば、本当は日本全体が貧困へ向かっているというのに、そのことすらも理解できずに奇行に走ることになる。
精神を保つための手段を模索しよう。一律にこうすればいいといった方法論はない。どんなに人間としての能力に長けていても、精神が脆弱だと最大限に発揮されない。優秀さがすべてみたいな偏った評価がいまでも当然かのように言われがちだけれども、そこは常に疑ってかからないといけない。
大衆は常に間違っている。まずは疑ってかかれ。昔は嘘ではなく社会通念として浸透していた常識も、いまとなっては限りなくウソに近いレベルで社会の実態と何一つ整合性のないものはたくさん溢れている。