走力は「走る能力」だけじゃないんだよ
走力は何も走る能力を指しているわけではない。
もちろん「走る能力」が高くないことには高いパフォーマンスを発揮できないわけだけど、たとえば「前に追いつくべきか?それともこのままのペースか?」を考えないといけないし、そのどちらが今の自分にとって最善かを選択しないといけないし、「前回のレース(練習)では似たような状況だったから…」と過去の経験を参考にしなければいけません。
こういった能力を書き出すと次の通りです。
・想像力
・判断力
・理解力
・記憶力
・応用力
・語彙力
・読解力
これらを走っている中でフル稼働させ、自分自身が持ち合わせているパフォーマンスを体調や環境に合わせて最大限に発揮することで目標としている結果を出すことができる可能性が大きくなります。
まさに総力戦!
(僕はソウリョク戦と呼んでいる)
説明をすると次のような感じです。
レース中でも練習中でも走行中に「このままのペースで走っていいのか?」などを想像し、その想像したうちの一つを早い段階で判断しなければ手遅れになって後手後手になってしまう場合もあります。その判断を下すためには「今の自分に残った体力はどれぐらいか」もしくは「どれぐらい疲れているか」を理解しておかなければいけないし、レース前や練習前にコースを確認したり天気予報を確認しているはずなので「(ロードを走行中であれば)この後のコースは…」「この後の天候は…」という情報を記憶しておくことも必要です。また、過去のレース結果や練習結果を参考に「どうすることが最善なのだろう」と体調や環境などの条件に合わせて臨機応変に対応(応用)することも大切です。
過去のレースや練習の結果等は頭の中に記憶するだけではなく、ノートなどに記しておくことで頭の中を整理することができるので、過去の経験を後から読み直したとしても誰でも理解できるような言葉(語彙力)を使って書き残しておくことが大切だし、その書き残しておいたものから鮮明に思い出す読解力(想像力)も大切になります。
どれもレースや練習など走行中にあれこれと考えているはずなので、これらの能力は必須能力として鍛えておかなければいけません。
これは走行中のペースコントロールだけに必要なものではなく、その日(その瞬間)の体調や疲労度合いを常に把握(理解)しておくことで練習を実施(継続)するべきか休養(中止)にするべきかの判断(想像)もできるので、その体調や疲労度合いに合わせて練習ができることからオーバートレーニング症候群に陥ることを未然に防ぐことも可能です。
これは自分自身で練習をしているときにより必要な能力ですが、チームに所属していたり誰かに指示を仰いでいる場合には自分自身の体調を伝えるためには語彙力が必要になりますし、その伝えたことに対しての返答から何をするべきかを理解・判断しないといけません。メールでのやり取りをしているのであれば読解力が必要です。
(指導者・グループリーダーは伝えてきた意見に対し、どういう状況なのかと想像をして理解をする必要があり、その状況に対しての行動を的確に伝える語彙力が必要になります…がこれは人として備えておいたほうが良い能力かな)
以上のことから、想像力・判断力・理解力・記憶力・応用力・語彙力・読解力の7つの力が必要だというわけです。
しかし、これらの能力は簡単に鍛えることができませんし、これらの能力が高くない人には特徴があるので、それを改善(意識)していくようにしましょう。
※箇条書きです。説明はしません。
・視野が狭い
・周囲に対して無関心(自己中心的思考)
・意図を汲み取らない
・言葉足らず
・自分のやり方やスタイルに固執している
・分かったふり
・人の話、助言に対して聞く耳を持たない
・自分なりの解釈
・説明を受けている中で違うことを考えている
・やる気、向上心が感じられない
・過信している
・基本的能力がない
これを読むと「自分は大丈夫」と思う人がいるかもしれませんが、すでにそれが過信となっているので注意しましょう。
改善するためのヒントは次の通りです。
・素直になる
・興味を持つ
・アウトプットをして意識の共有をする
・重要なポイントを要約する練習をする
・先入観を持たない
・話は最後までしっかりと聞く
これらの改善するためのヒントを活かすための場が「UNITE!!」です。
僕はコーチをやり始めた8年ほど前から上記のことを説明してきましたし、その説明に合わせて練習をする以前にこれらを実践することでパフォーマンスを向上させてきた方々がいます。
パフォーマンスを向上させるために必要なのは練習なのか。それとも持ち合わせたパフォーマンスを発揮できるようにするための能力が必要なのか。
一つだけ言えることは「練習強度や練習量に対して最高のパフォーマンスを発揮しているのは7つの能力を持ち合わせた人達のみ」で、膨大な練習量によってパフォーマンスを獲得(維持)した人達もいますが、そういった人達はどこかのタイミングで身体を痛めたり、心が折れたりして高いパフォーマンスを取り戻すまでに練習に費やした時間よりも多くの時間を要しています。
果たして「走る能力」を鍛えるだけでいいのでしょうか。
いつも最後までお読みいただき、ありがとうございます。 サポートしていただいた資金は書籍化(電子書籍含む)へ向けた活動資金に充てたいと思います。今後も僕の想いをつらつらと文章へしていきますので、これからも応援をよろしくお願いいたします。