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『ごちうさ』と『バグダッド・カフェ』
『バグダッド・カフェ』を観ました。
「ご注文はうさぎですか?展 Café Lumière」のパンフレットでKoi先生から直接言及された作品だったので気になっていたんですが、ようやく観ることができました。
ラスヴェガス近郊の砂漠にたたずむ、さびれたモーテル"バグダッド・カフェ"。そこに現れたのは旅行中に夫と別れたばかりのドイツ人女性ジャスミンだった。家庭も仕事もうまくいかず、常に"怒り"モードの女主人ブレンダは、言葉も通じない珍客にストレスをつのらせるばかり。だが、いつしかジャスミンの存在は、この店をオアシスのようにうるおし始めるのだった……。
旅行中に夫と別れたジャスミンと家庭のうまくいっていないブレンダ。
『バグダッド・カフェ』は悲しみから始まる物語ですが、ジャスミンがカフェに来たことによって少しずつ彼女たちを取り巻く環境は変化していきます。
『ごちうさ』もまた、悲しみから始まる物語です。
ごちうさはチノとココアのラビットハウスでの出会いから始まりますが、チノは物語開始時点で母親を亡くしています。
ココアもまた、幼少期に遊びに来たことのあるという、いわばそれだけの場所である木組みの街に、大好きな姉や母のもとを離れてたったひとりでやってきます。
ココアの存在は千夜やシャロとの偶然の出会いや同じラビットハウスの店員リゼ、チノの友達であるメグとマヤと、チノたちの周囲の人間関係に大きな影響を及ぼします。
両作品に共通する象徴的なアイテムが「手品セット」。
特にジャスミンの手品はカフェをどんどんにぎやかなものにしていきました。
対してごちうさにおける手品セットはもともとラビットハウスにあったものが5巻のブロカント(マーケット)で出品されています。
『バグダッド・カフェ』に話を戻しますが、砂漠にひとり置いていかれたジャスミンと終始カリカリし続けるブレンダと、前半はちょっと重ための展開が続きます。
そんなふたりですが、部屋の掃除に始まり周囲と打ち解けていくジャスミンに心を溶かされていくブレンダがすごく印象的でした。
この周囲に打ち解けて心を溶かすという構図はココアとチノにも同じことが言えますね。
私はごちうさをある種の事前情報、あるいは副読本としてこの映画を観ていましたが、なんというか「答え合わせ」といった趣きがあります。
カフェで過ごす時間が、人生の悲しみを埋めてくれる。
日常、ひいては人生を描く良い映画でした。
あとこういった映画は普通に生活しててもまず観ることがないと思うので新鮮さもあってよかったです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
それでは今回はこのあたりで。