KIOXIAのUSBメモリーを検証してみた
国内ブランドバリューモデルを検証した時にKIOXIAのUSBメモリーも検証しました。KIOXIAのメモリーは、コスパも良く、性能も比較した中で一番良かったので、他の上位モデルが気になってました。
気になっていたミドル、ハイエンドモデル
今回、KIOXIAミドルモデルとハイエンドモデルを用意して、検証したいと思います。また、以前に紹介したバリューモデルも加えて、それぞれのモデル特長も見ていきたいと思います。
今回用意したミドルモデルとハイエンドモデルについては、ランキングでも上位だったモデルとの比較も行いたいと思います。
KIOXIAでチョイスしたモデルについて
これまでの記事の中で、32GB~64GBがベストバイと書いてきましたが、今回、このポリシーに反したモデルを用意しています。チョイスした2機種のご紹介です。
KIOXIA TransMemory U365 64GB
KIOXIAでは、ハイエンドモデルとして紹介されていますが、ここでは、ミドルモデルとして紹介します。
メーカー公表スペックは、シーケンシャル読出速度約150MB/sと高速です。
KIOXIA TransMemory U366 128GB
小さくコンパクトなメタルボディを纏ったUSBメモリーです。ここで128GBをポリシーに反してチョイスした理由は、128GBだけ他の容量モデルと異なるメーカー公表スペックだったからです。
このモデルの公表スペック値は、シーケンシャル読出速度約200MB/sです。
ちなみに異なる容量モデルは、約100MB/sになります。
KIOXIA TransMemory U301 64GB
こちらは、国産ブランド比較でご紹介したものです。USB 3.2対応モデルとしては、バリューモデルかと思います。このモデルのみメーカー公表スペックは、非公表となっています。
KIOXIAメモリーの特長をみてみる
ベンチマークテスト (Cristal Disk Mark)
3モデルのベンチマークテスト結果です。U301から見ると、上位モデルになると、シーケンシャル読出速度の性能を重視しているように見え、本当に高性能なのかどうか判断が難しいです。
U301は、バリューモデルでありながら、シーケンシャル速度については、読み書きで不満が出ないような速度域を狙っているように見えます。
U365, U366については、明らかにランダム速度を犠牲にして、シーケンシャル読出速度に性能を全振りしているように見えます。(特にU365)
リード・ライトテスト (H2testw)
次にH2testwでの書込、読出テストです。
最初にCristal Disk Markで読出性能に全振していると思われていたU365ですが、やはり、このテストでその傾向がしっかり現れています。同じ容量でも書込時間と読出時間に約11倍強の時間差があります。
U366については、書込速度も確保しているため、約4倍強とUSBメモリーでは、標準的な差になっていると思います。
3モデルの性能分布
Ubuntuの疑似ランダムテストも含めて、3モデルの性能傾向を見ると、シーケンシャル読出速度について、モデルグレード順に並びます。
(U366 >> U365 >> U301)
シーケンシャル書込速度を見ると、下剋上が発生し、下位モデルの方が良い結果を出しているケースもあります。
(U366 >> U301 >> U365)
疑似ランダム速度になると、全く異なる結果を見せ、下位モデルが上位モデルを上回る結果を出しています。
(書込 : U366 >> U301 >> U365 , 読出 : U301 >> U366 >> U365)
ランキング上位モデルとの比較
ランキング上位2モデルと比較してKIOXIAのメモリーは、どうなのかというところを見てみたいと思います。2モデルは、以下になります。
Transcend JetFlash 790 32GB
ミドルモデルであり、個人的には、パフォーマンスが良いと思う機種です。
2023年12月度ランキング2位の製品です。
ADATA UV350 64GB
ハイエンドモデル代表です。特に際立った性能では、ありませんが、性能バランスが良いと思います。2023年12月度ランキング3位の製品です。
ランキング上位モデルとの全体比較
比較してみるとシーケンシャル読出速度に関しては、ダントツでKIOXIAの上位2モデルが良いです。シーケンシャル書込速度は、U366は、ハイエンドモデルとして、ランキング上位モデルに対して、良好なスコアを出している反面、U365は、劣った結果となっています。
ランダム速度に関しては、KIOXIA 2モデルは、ベンチマークテストでは、甲乙つけがたい結果なのですが、疑似テストでは、リード、ライト共に数値上、倍近い速度差があり、上位2モデルに全く対抗できない結果です。
KIOXIA U365 vs Transcend JetFlash 790
ミドルモデル同士で比較した結果です。本来ならば、Transcendは、U366と比較すべきかもしれませんが、同じグレードで比較します。
Cristal Disk Markの結果を見ると、KIOXIA U365の方がぱっと見た感じでは、良い数値を出しており、性能的に優位に見えます。書込速度は、Transcendの方が良く、シーケンシャル速度では、約4倍の差があります。
もうひとつ気になる点は、シーケンシャル速度(SEQ1MQ8T1)のリード・ライト速度に10倍以上の速度差があることです。(Transcendは、約3.25倍)
ここまで極端な例は、ありませんでしたので、ポイントとして挙げておきます。
ベンチマークテストから読出速度は、KIOXIA U365。書込速度は、Transcendという結果を鑑みて、リード・ライトテスト結果を見てみます。
両者とも数値の落ち込みは、ありますが、H2testwのテスト結果を鑑みると速度低下範囲内かと思います。ただ、KIOXIA U365で気になるのは、リード・ライトの速度差がこちらでも10倍以上開いていること。
書込速度は、期待できないのかもしれません。
Ubuntuでの疑似ランダムテストも行いました。気になっていたKIOXIAの弱点というべき書込速度の遅さが見えました。
また、これまでのテストでは、読出速度の優位性を保っていましたが、このテストでは、読出速度でもTranscendに負けてしまっています。
KIOXIA TransMemory U365
・ 読出速度(ブート) : 11.30MB/s
・ 書込速度(インストール) : 8.33MB/s
Transcend JetFlash 790
・ 読出速度(ブート) : 190.48MB/s
・ 書込速度(インストール) : 24.94MB/s
KIOXIA U366 vs ADATA UV350
ハイエンドモデルの比較検証結果です。カタログスペックでは、圧倒的にKIOXIA U366が高性能に見えますが。
Cristal Disk Markの結果を見てみます。読出速度に関しては、KIOXIA U366が圧倒的に速いのですが、書込速度は、ADATA UV350が有利になります。
シーケンシャル速度(SEQ1MQ8T1)のリード・ライト速度差は、U365程ではないですが、6.59倍と比較的高い数値です。(UV350は、2.53倍)
KIOXIAのUSBメモリー上位機種は、読出速度に性能を振っているなという印象を受けました。
読出速度は、KIOXIA U366、書込速度は、ADATA UV350というベンチマークテスト結果でしたが、リード・ライトテストでは、どう変化したのかを見てみることにします。
両者共に数値の落ち込みがありますが、ADATA UV350の書込速度の低下が大きく、この結果では、KIOXIA U366が読出、書込共に優位だということになりました。
速度差についても、KIOXIA 4.3倍、ADATA 3.8倍と気にならない程度の速度差になっています。もしかしたら、KIOXIA U366は、バランスが良いのかもと思わせてくれます。
Ubuntuでの疑似ランダムテストを行い、実力を見極めたいところです。
書込速度は、ほぼ同一でしたが、読出速度では、圧倒的な差ができてしまいました。ベンチマークテストのランダム速度を参考にすれば、この数値は、納得できますが、ちょっと残念な結果でした。
KIOXIA TransMemory U366
・ 読出速度(ブート) : 14.68MB/s
・ 書込速度(インストール) : 22.78MB/s
ADATA UV350
・ 読出速度(ブート) : 186.05MB/s
・ 書込速度(インストール) : 20.99MB/s
KIOXIAの上位モデルは、明確にファイル類の読出や書込に性能を振った製品かと思います。
KIOXIAは、USBメモリーの他にも、SSDやSDカードも製品ラインアップがあります。書込速度等を重視したければ、SSD。より大容量を求めるならば、SDカードといった具合です。
USBメモリーとしての使い方、製品別の特色を考慮すると、こういう割り切りも有なのかなと感じました。