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-THE INTERVIEW- #05 別所隆弘(後編)〜花火・飛行機・桜、写真に映る子供の頃の記憶〜

皆さんこんにちは!
4 Silent Birds STAFFの晴知花です📸

風景写真家 別所隆弘さんにお聞きする「THE INTERVIEW」の後編です!
今回遠方にお住まいの別所さんとオンラインでお話しさせていただいたのですが、大変濃密なお話がたくさん聞かせていただきました。

今回じっくりお話しさせていただいたのは初めてでしたが、風景写真とポートレートの異なる面と重なる面をたくさん感じることができたインタビューでした。

普段風景写真を撮らない方や、風景写真をこれから頑張りたいなという皆さんにも是非最後まで読んでいただけたら嬉しいです。
後編もぜひお楽しみください😌


 子供の頃の記憶が撮る動機となって写真を押し出してくれる


晴知花(以下、晴) ── 別所さんは飛行機や花火のお写真などがとても素敵で印象的だと感じます。こういうものを撮ろうと思ったきっかけは何でしたか?

別所隆弘さん(以下、別所) 僕が撮ってる写真は、自分の子供の頃の記憶に紐づいているものが殆どです。
例えば子供の頃、小学校の横に綺麗な桜があって桜を見て心を癒す子供だったんですけどそれもあって僕は桜が好きだし、
花火の場合は、僕に地元滋賀で毎年琵琶湖の上に上がる大きい花火大会がやっていて、第一回から欠かさず見ているんですね。第一回の時「ものすごい大きい花火が琵琶湖に上がるらしい」と街中で噂になったんです。当時あまり家族と仲良くなかったんですけどその年は家族で一緒に見に行って、ビルとビルの間に大きい花火がボカンと上がったんですよ。それに「うわ、こんな綺麗なものがあるんだ!」ってめちゃくちゃ感動して。だから僕、花火大好きなんです。

D800で撮り始めてちょうど1ヶ月くらいの頃に琵琶湖花火が開催されて、そのタイングで「こんないいカメラがあるならいいものを残せるに違いない!」って思って撮ったら大爆死して、これは難しいなと思って技術を磨くことがライフワークになっていったんですよね。僕が写真を撮る動機は
”琵琶湖花火を誰よりも美しく撮りたい”
”小学校の横の桜を誰よりも綺麗に撮りたい”
この二つが命題だったんですよね。
この二つが撮れるようになったら写真やめてもいいやって思っていました。桜に関しては初めて「あ、いいの撮れたな」って思えたのが写真始めて4年後くらいだったかな。琵琶湖花火もそうなるまでに3年くらいかかったかなと思います。
飛行機も同じくで、小学校5年生くらいの頃に叔父さんに千里川の土手に連れていってもらったんですけど、頭上30mくらいのところをあのサイズの鉄の塊が飛んでいくので声出さずにはいられないくらい怖くて!
でも絶対みんな行った方がいいんですよ。一回行ったら大好きになると思います。僕も感動したんです。カメラ買った時に「あ、飛行機撮りたい。あそこで撮りたい」って思いついたんです。でもやっぱり撮っても撮っても飛行機ってうまくいかなくて。
僕は撮れへんってなったらなんとか撮りたいって思うタイプなのでたくさん撮って、今の形になりましたね。

── やっぱり一発で上手くいくことってなかなかないし。納得いくまで何度も撮り続けることは大切ですよね。

別所 当時は本当に難しいなって思いながら撮っていましたね。ただ、僕は撮るときに動機がしっかりあったんですよ。バズるとかの概念もなかったし人に見せるために撮ってなかったから、とにかく僕が見た、良いと思えるものを撮りたいと思って撮ってた写真だったから内側から出てくる動機が強かったと思います。それが僕にとっては「花火・飛行機・桜」この3つですね。

── 何に関しても昔の思い出が今の写真に繋がっているんだなと思うと、別所さんを物語る3つの要素なんだなって感じます。

別所 だから写真をやる時に、その人が撮る必然性や物語って大事だなって思うんです。
みんな綺麗な写真が撮れるようになったけど、その道の代表的な人の写真ってなぜか別格で輝いてくるなと思っていて、それは恐らくその人の奥側にある動機が被写体に対してあるからこそだと思うんですよね。
好きな人が撮ってる好きなものって伝わるものがあるし、自分のバックボーンになって写真をぐっと前に押し出してくれるなと信じてやっています。

2023びわ湖大花火大会

── 確かにバックボーンがあることで作品に人間味が写るなと感じるので、今とても素敵なお話が聞けて嬉しいです。


風景写真を撮る時の別所さんの向き合い方


── 風景を撮るときのこだわりや意識していることはありますか?

別所 できるだけ人がいないところに行くことですね。ここで言う人がいないは所謂人気な撮影スポットを選ばないという意味で、有名な桜スポット、例えば桜のバックに富士山があるような構図って、すごく荘厳な感じがしますけど、撮ってるところは後ろに500人くらいズラーーーっと並んでるんですよ!

── そんなにいるんですか?!

別所 500で済むかってくらいいます!みんなが同じ方向を向いて撮影するんですよね。写真を始めたばっかりの人やお仕事の場合は、もちろん行く意味があると思います。だけどプロの写真家になって自分の作品として撮影に行く時にはそういった場所に行くのはやめとこうって思っています。

花火を遠くから超望遠で撮る理由も同じで、撮影地が花火と近いほど同じような写真になっていくんですよ。遠くなればなるほど、誰もいないし自分の個性が出てくると思います。僕は風景を撮るときにどこを切りとったらいいか、どこにピントを置いたらいいか分からないっていう感覚が欲しいんですよ。京都の三重塔の道のように、どう撮ったらいいかの正解が分かっている風景写真って結構あるんです。そうなると正解に置きにいくような写真になってしまって、もちろん評価はされるけど思考を放棄してしまった気がするんです。だからできるだけ離れていきたいと思ってて、でも引き寄せられるように有名なスポットにも行ってしまうという二律背反の中でいつも動いています。笑

── その方が新鮮な気持ちで絵作りできそうだなって思いました!

別所 でも離れていくと、いいポジションを見つけたとしてもインスピレーションが湧かなくてなかなか正解がない故に見つけられないことの方が多いんですよね。たまーに上手くいくことはあるけど大半はそうですね。
だから風景写真は打率めっちゃ低いんですよ。花火撮影の時は特に。遠いとちょっとでも天候が悪いと花火見えないし、想像していたより木が生い茂っているとせっかく花火が上がっているのに1枚もシャッター切れずに帰ることもあります。毎回山登るたびに「もう二度と行かない!嫌!」って思うのに毎年登ってしまうので、よく「マゾか!」って言われます。なんなんでしょうね笑

── 風景写真を撮影するのはとても時間がかかる大変な印象がありますが、今までで大変だったエピソードなどはありますか?

別所 本当に色々ありますけど一番嫌だったのは、左右どっちも崖で車1台しか通れないような1kmくらいの道にナビで連れて行かれて、でも撮影地までは辿り着けなかったんですよ。回転できずに車1台分しか道幅もないので暗闇の中バックで30分くらいかけて戻ったんです。あんなに座りながら汗をかいたのは初めてでしたね。もう二度と嫌だなって思います。

── 身体被害を受けたどんなことよりも怖すぎるお話ですね…!
そんな怖い思いをする可能性があるのに、風景写真を撮り続けようという原動力はどこから出てくるのでしょうか?

別所 前編でもお話したように、僕はカメラを通じて世界を理解したいんですけど、単純にいろんな場所を見てみたいんです。元々旅が好きでバックパッカーをやっていて海外で見たものは日本で見てきたものと全然違くて、それは国内でも同じなんですよね。東北の山々や九州の海、沖縄で見た星空などは関西では全く見られないものばかりだったし、「こんな世界があったんだ!」っていう知的な喜びがあるんです。
未知なものを見て、知ることで、今まで当たり前にあって関心を持っていなかった地元を体験し直して再発見することが楽しいから風景写真を撮るんだと思います。

── 自分の足で歩いて発見することの喜びは写真を撮るようになって感じるようになったなと私も思うので、とても納得がいきました。
 
── 風景写真の撮影場所を選ぶ際に重要視するポイントは何でしょうか?
 
別所 水は意識します。僕の写真を見返すと水のものが多いんですよ。例えばGoogleマップで水辺があるとまずそこに目星をつけることが多いです。そこからもう1つ考えるのは、僕の場合は光がない方へ行きます。
そうすることで暗い中に花火や飛行機の輝かしい光が出るタイミングに惹かれるんです。
だから全体を水基準で選んで、そこから光のない方を見つけにいきますね。

── そこを目指したらあとは現地で判断するしかないってことですか?

別所 その直前にもう1クッションあって、今の時代、どんなマイナーな場所でも、誰かがスマホで撮ったその場所の写真や昔のブログの写真などが残っていたり何らかの写真はあるんですね。そこに自分が行こうとしている風景が載っていたりするんです。それを見て”ここに自分がいたら何が撮れるだろう”と想像してから現地に行きます。大体想像通りにはならないのでそうなって初めて”現地でなんとかする”ことになります。
思っていたように撮れないことの方が多いし決して撮れ高が高いわけでもないけど、僕の場合はゲームと同じでクリアしちゃったものを後戻りしても楽しくないと思ってて、だから次の課題を見つけて行かないと動機が続かないのです。だからやっていることの難易度が上がっていくのかもしれませんね。

── 素敵な考え方ですね。今のお話を聞いていて今若手の風景を撮っている方に5・6年後に読み返して欲しいなってすごく思いました。
今読んで「そんなことない」って思ってもその頃に思い出してもらえたら嬉しいです。

別所 それいいですね!


リフレクションという言葉に込めた2つの意味


── 別所さんのHPの文章やお写真を拝見していると「反射(リフレクション)」がとっても素敵だなと感じました。
別所さんはこういったリフレクション写真にどのような意味を込めているのでしょうか?

別所 僕の地元の琵琶湖っていつも海のように波打っていて揺れてるんですけど、たまにピタッと止まることがあるんです。そうするとあの広い湖全部に風景が浮かび上がってくるんです。上と下が巨大な鏡世界になって風景がひらけていて本当に美しいんですよ。
あとリフレクションって「自己を見返す」「再思考する」って意味があって、先に話した僕のテーマと重なるところが多いんです。
「反射する」と言う物理的な意味と「過去から自分を思い直す」と言う意味の2つを捉えた言葉ですね。
同じリフレクションでも、ピタッと完全に止まったリフレクションも好きだし、ふらふらっとほんの少し揺らいでいるリフレクションも写した時に歪んでいるのも「再考」「見返す」って言う言葉にピッタリハマるなと思ってとても好きで、いろんな意味でいい言葉なんです。

── 今までお話しいただいたことが全て線で繋がった気がして感動しました!
 

信頼できるカメラストラップだと思う


── 4SB のカメラストラップをお使いいただいたきっかけは何でしたか?

別所 もちろんharu wagnusと友達っていうこともありますよね。笑
彼がカメラストラップを作った時に青色の細いストラップを使わせてもらって、コンデジにつけて愛用してきて、今Z8には黒いストラップをつけさせてもらっています。

●別所さんの愛用ストラップはこちら!

URAL | CAMERA STRAP | ICELAND FOG (Italian leather)

MANUS | CAMERA STRAP | SHADE OF NOIR (Limited model)

 
── 実際使用してみて良かった点や他社製品との違いなど、感じたことを教えてください。

別所 僕らは強度を気にするんですよ。お洒落だけど強度が心配だったり、強度はあるけど使いづらい見た目だったりあるなと思っていて。カメラって生活に馴染むものだからこそ、持った時に自分の生活の中に入ってきた時にいいものを選びたいんです。4 Silent Birdsはそういう点では唯一無二なんです。お洒落と強度が共存しているんです。首の後ろの皮が重なっているのも、一見お洒落だけど尚且つ重量を上で支えてくれていて、ものとして頑強に作ってあるんだなって思うんです。それは他のメーカーにはないことだなって思うんです。

仮に他でやっていたとしても、haru wagnusという高額な機材を実際に使っている写真家が作っているというのが大きいと思います。だって機材落として泣くのは自分なのにその人が自分で作って愛用しているストラップなら、それはもう信用できますよね。ものすごい大きいポイントだと僕は思っています。

── その通りですね。自分の機材を安心して任せられるストラップをつけたいですよね。
 
── 今後こんなデザインのストラップが欲しいなどのご要望をお聞かせいただけますか?

別所 風景写真家って、ストラップは風の影響を受けやすいこともあって三脚に乗せた時は外したくなるんですね。今でも4 Silent Birdsは比較的取り外しやすいんですが取れないようにしっかり皮が刺さっているのでとはいえ少し手間ではあるなと感じることもあるので、強度は失わずにもっと取り外しやすいシステムができたなら、風景写真家とももっとフレンドリーになるのかなって思います。
きっとハルさんならいい感じにしてくれると思うので楽しみです!笑

── 前回、国分真央さんも同じことを仰っていました。笑 今後の参考にさせていただきます!


今の自分をさらに超えていけるように…


── 別所さんの今後の展望をお聞かせください。

別所 実は最前線を引こうかなと思っていたんです。けど、今回Z8のプロモーションをさせていただく中でNikonの方の想いを聞いて、カメラを始めた頃のことを思い出したんです。だから最前線に戻ろうと決めました。
戻ると決めたからには、50歳までは今の自分をさらに超えていくように走り続けられたらいいなと思っています!

── 最後に告知等ございましたらよろしくお願いいたします!

別所 今はまだないですね!もしかしたら今後お知らせできることがあるかもしれないので、SNS等チェックしてもらえたら嬉しいですね!!

⚫️別所隆弘さんのSNSはこちら!
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note

別所隆弘さんHP


別所隆弘さんから皆さんへメッセージ

別所隆弘さん、貴重なお話をたくさん有難うございました!
自信に経験に基づいた深みのある作品としての写真への向き合い方、風景写真家さんならではの視点のお話、全てがとても有意義でした。


これからの最前線でのご活躍もとっても楽しみです!


写真やカメラアクセサリーへのこだわりなど
皆さんがお話を聞いてみたいと思うフォトグラファーさんなどのお名前を
よかったらぜひコメント欄にて教えてください😌📝

それではまた次回、お会いしましょう!


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