「夜が明けたら、いちばんに君に会いに行く」感想(ネタバレあり)
現段階で2回観ての自分なりの感想を残しておく。
予告の段階では胸キュンシーン多めのザ・恋愛映画に仕上がっているのかなと思ってたんだけど、実際に見てみると恋愛要素や青春のキラキラ感よりも悩みや不安に揺れ動く心の機微やふたりの距離感や心情の変化が丁寧に描写されていて、あの年代特有ともいえる対人面とかアイデンティティとかの苦悩に寄り添って背中を押してくれるような、ハートフルかつエモーショナルな映画だなと思った。夜きみを観たあとはわたしの世界も鮮やかになったように思える。
絵画がキーとなる映画なだけあって色彩や光の表現がすごく綺麗で、その映像美に引き込まれた。主演のふたりが持つ透明感を打ち消すことなくむしろ引き立てるように鮮やかな色彩が用いられていて感動した。随所で用いられる赤と青はもちろん印象的だったんだけど、個人的にはバス停や滑り台の黄色も結構印象に残ったかも。
茜がマスクを忘れて息苦しくなるシーンや文化祭のシーン、茜の家族とのシーンでは観ているこちらまで苦しくなるほどの表現力に圧倒されたし、最後の家族とのシーンでは良い意味で涙が出た。青磁に「悲劇のヒロイン」と言われるシーンや屋上で青磁と対峙するシーンでは、マスクをしていても茜の怒りや葛藤などの複雑な感情がすごく伝わってきて茜に感情移入しながら観た。
瑠姫くんのファンとしては、スクリーンに青磁が映し出された瞬間に鳥肌が立ったしエンドロールで瑠姫くんの歌い出しが流れた瞬間に涙して白岩瑠姫(JO1)の文字で号泣した。
これまで散々いろんなインタビューを読んでは長文お気持ちツイートしてきたのでここでは語りませんが、瑠姫くんの初出演かつ初主演映画が夜きみで本当によかったし、瑠姫くんが出演しなければきっと映画を観ることも原作を読むこともなかったと思うので素敵な作品に出会わせてくれた瑠姫くんに心から感謝。やっぱり瑠姫くんを応援できて幸せです。
以下、青磁の好きだったシーン。
茜が吐きそうになってるところで異変に気付いた青磁の声色が一気に変わるところに優しさを感じた。自転車が倒れるのもお構いなしに駆け寄って後ろから袋をあてがう青磁めちゃくちゃかっこよかったんだけど後ろからあてがうの白岩瑠姫さんのアドリブだったんですか?!なんということ…
放送室、すでに予告で出ていた「少しお借りしてもよろしいですか?」も良かったけど最後の「あざっした!」もすごく良かった。
ラインダンスの変顔がかわいすぎる。ダンスを踊っている青磁はめちゃくちゃ白岩瑠姫さんでかわいかった。
サッカーのシーンでは瑠姫くんの身体能力の高さが遺憾無く発揮されててかっこよかった。ゴールを決めてクラスメイトたちと喜ぶ青磁がとてもかわいかった。
階段を駆け上がったり梯子を登ったりするシーンも身のこなしが軽やかで瑠姫くんの身体能力の高さを感じた。
キャンバスを作るシーンや色を作るシーンなどがあまりにも自然でかっこよくて、家に画材を持ち帰って寝る間も惜しんで練習した成果が如実に現れていて感動した。
観覧車に乗るときに茜に先に乗るよう手で示して茜が乗ってるときに揺れないように両手で押さえててくれる青磁に白岩瑠姫さんのジェントルさが現れてて好きだったんだけどこれも白岩瑠姫さんのアドリブだったそうで…
茜を送り届けた先で「おねえちゃんのかれし?かっこいい!はなまる〜!」って言われて嬉しさや照れを隠しきれずニヤニヤする青磁がとてもかわいかった。これ撮影初日だったんですね。
茜が昔のことを思い出したと分かったときの青磁の反応がかわいかった。いつもの大照れ瑠姫くんとは違う照れの反応で青磁だ…!になった。
屋上から手を差し伸べる茜を見上げる青磁の表情と顔がすごく良かったし初めて茜が屋上に行ったときに青磁が手を差し伸べてくれたシーンと対になる感じが堪らなかった。お互いが相手に取っての光であり、暗闇の中で手を差し伸べてくれるヒーローなんだな…
ペンキを塗られる青磁の首元を思わず凝視しちゃったのはわたしだけじゃないはず。首筋の色気…
(思い出し次第追記していきます)(記憶力…)
以下の感想は原作のネタバレを含むので注意。
原作で「夜明けに会いたい人は、心から愛している人」というような一節を読んだ茜が青磁にその言葉を伝えて、ラストに繋がるシーンでその伏線が回収される流れに感動して号泣したのであの流れがなくて映画だけ観た人はタイトルの意味を理解できるのかな、と疑問に思った。青磁が茜と曲を共有するところで「夜明けに会いたい人」というタイトルが出てきて、そのタイトルとタイトルを伝えた後の青磁の笑みに原作を読んでいた側からするとおおっ!と思ったけど原作を読んでないとサラッと観てしまいそうな気がする。
あと、ふせったーでも書いたけど茜のために青磁がビニール傘に晴れを描いてくれてその流れで茜が青磁への気持ちに気付くシーンがすごく好きだったので、あの流れを瑠姫くんの青磁とりんくまちゃんの茜で観たかったなという気持ちはある。映画だとどこで気持ちに気付いたかというのはあんまりハッキリしてないもののリップグロスを塗るシーンやバス車内でのハートマークのシーンでそれを示唆するような表現がよかった。
原作ではやり返されそうになった茜を庇ってくれた青磁に対して「助けてくれてありがとう」だった小学生の茜のセリフが映画だと庇った描写はなく茜のセリフも「思ったことはちゃんと言えよ、行動しろよ」になってて、より青磁にとってのヒーロー感が強調されてるのかなと思った。原作ではペンを盗られたのは青磁とは描写されてなかったけど映画では青磁が盗られたことになってて、それも青磁にとって茜がヒーローであることを強調したかったのかなと思ったりする。
原作ラストで茜がマスクを外せたときの青磁の対応にキュンとしたしマスクを外すに至る茜の心情に心がキュッとなったから映画では割と序盤でいつのまにか青磁の前では外せるようになってて驚いた。青磁の前でしかマスクを外せないと語った茜のマスクに指と筆で絵を描く演出はよかったな。そういえば茜がマスクをつけ始めたタイミングも原作と映画では異なってた。
夕焼けのシーンで「茜色の隣にあるのが青磁色」って説明するのは確か原作ではなかった気がするけどあの説明がふたりの縮まった距離感を示しているようでいいな〜と思った。
青磁の髪色が銀髪な理由や絵を描き始めたきっかけなど、青磁の過去に関するところは映画ではあまり深く触れられなかったので映画を観た人はぜひ原作も読んでみてほしい。きっと感じ方がまた変わってくるはず。
原作とかなり変わっている部分もあって正直初見だと戸惑いが大きかったけど、一本の映画にまとめるためには必要なことだったんだろうなと思うし映画は映画でとても素敵なストーリーになっていたと思う。いろんな方の感想や解釈を読んでなるほどと思う部分も多かったし自分では気付かなかった部分もたくさんあって、きっと次に観たときはまた違った感じ方ができるんじゃないかと楽しみにしている。