2022/03/02

　半月ぶりの出社。

　化粧の手順を思い出した。燃えるゴミを出し忘れた。出勤するだけで息が切れた。
　少しずつ日常を取り戻していくのを感じる。久しぶりに外出したら、すっかり暖かくなっていた。自宅療養で引きこもっている間に、大嫌いな冬が過ぎていって、嬉しくもあり、少しだけ寂しい。

　今月は、できるだけ遠くまで散歩をしたい。オリジン弁当を買って、大きな公園でピクニックをしたい。銭湯の大きなお風呂に浸かりたい。

　週末には髪を切りに行く。再来週は新居を探しに不動産に行く。どれも楽しみ。
　沢山動くと翌日寝込んでしまうのが怖いけど、少しずつ体力をつけて、やりたいことをやりたいだけできる身体になりたい。

　確かにそう思っていた。期待に胸を膨らませ、あれやこれやと空想していた。午前中までは。

　15時頃から体調が悪い、と思ったら昼の薬を飲み忘れていた。馬鹿だ。浮かれている場合か。自分が嫌になる。
　他人と距離を置くことはできるが、自分自身と距離を置くことはできない。私は常に私の中に居る。それが耐えられない。
　疲れた。私は私に疲れた。

　明日は雛祭り。
　妹が生まれるまでは毎年、両親から「今日は◯◯ちゃんの日だよ。」と言われていた。女の子の中でも、自分は特別祝福されているのだ、と勘違いしていたのが懐かしい。

　実家には小さな雛人形があった。掌サイズの陶器の貝の中に、お内裏様とお雛様がちょこんと並んで座っている。
　いつからか飾られなくなってしまったけど、二人はどこに眠っているのだろう。私も仲間に入れてくれないだろうか。