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銀河フェニックス物語Ⅰ【少年編】

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レイターとアーサーが十二歳から十五歳まで乗っていた、戦艦アレキサンドリア号での物語。
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2022年1月の記事一覧

銀河フェニックス物語【少年編】 第一話 大きなネズミは小さなネズミ(まとめ読み版)

 戦艦アレクサンドリア号に乗って一週間。  僕は地球を出航してからずっと違和感を感じていた。  重量制限をオーバーしながら航行しているというイメージ。ただ、その原因がわからない。質量計も誤差の範囲だ。でも何かが違う。 「艦内に異常を感じるのですが」  僕は艦長のアレック・リーバ大佐に進言した。 「アーサー、いや、トライムス少尉。お前にとっては士官学校を出て初めての任務、しかも長距離航海だからな。神経質になるのも無理はないが大丈夫だ。順調に進んでいる」  と、相手にされなか

銀河フェニックス物語【少年編】 第二話 家庭教師は天才少年 (まとめ読み版)

「アーサーをお前の教育係に任命する」  と、アレック艦長が言った瞬間のレイターの顔は見物だった。 「げげげげげっ」 「アーサーの報告次第ではこの艦から追い出すからな」 「マジかよ」  彼は肩を落として返事とも言えない返事をした。 *  教育係を命ぜられたのはいいが……  僕は戸惑っていた。僕と同じ十二歳というのは一体どんな勉強をしているのだろうか。  ジュニアハイスクールの問題集を取り寄せた。大体のレベルは把握できた。テスト形式の問題をレイターに解かせてみる。  勉学