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【第163回 直木賞受賞作】少年と犬 を読んで

さていつもは後輩くんと文章練習をしているのだが、たまには読書感想文を書こうと思う。

# 少年と犬 そのタイトルが魅惑である

私が本を選ぶ時は作者よりもタイトルと絵を見る。
タイトルからは結末を、絵からは感情を想像する。
そういう意味でこのタイトルと表紙は刺激的だった。

少年と犬

最近に家族である大事な愛犬を失ってからというもののこういう本のタイトルはグッとくる。

我が家では姉に押し切られ猫を飼ったものの、時々やっぱり飼うなら犬だなと思ってしまう。

そうした思いからこの本を買わざるを得ないわけである。

直木賞受賞作だと知ったのはその後の話である。

# 犬と人と

ある犬と人との小作品が続いていくのがこの本である。
読めばわかることだが、少年が出てくるまで時間がかかる。
それまでに犬は長い旅をする。

出てくる人たちは気持ち良くもなんともない。
小説の世界ではなく、現実のどこか暗い人たちである。
それが犬を通して善と悪を行ったり来たりする。

今の インターネットでこういう人たちは人間のクズとして扱われるだろう。
でもこの犬はまっすぐだ。
決して媚びることもなく、純粋にその人を見る。
純粋で見てくれるものに、人は本心を語る。

きっと、そんな当たり前のことをこの本は語っている。
別に大したことではない。

きっとこの本を読んでツマラナイと思う人も多いと思う。
最後には少しの奇跡と感動があるけれど。
全体を通していえばパッとしない物語である。

でも心がざわつくのである。
いつも側にいる存在。
家族かもしれないし、愛人かもしれないし、親友かもしれない。
そういうのが自分にはいるのか。今の世の中で私は1人なのか。
読んでいてそういう気持ちにさせられる。

そうして犬と人は少しの理解と安堵を終えて皆旅立つ。

# 最後に

何か特別な感動があるわけでもなかったのだが、読んだ後に少し考えました。

きっと本をたくさん読んだ人にとっては退屈な本になるかもしれない。

しかし、一つ物語から現実世界へと考えを移すと、心を虚しく、揺さぶるストーリーだったのではないだろうか。

ということで皆さんも是非読んでみてはどうでしょうか?


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