見出し画像

【Vol. 3】 肩関節の正常運動(結帯動作と投球動作)

このノートでは、肩関節の正常運動の中でも日常生活に支障をきたしやすい結帯動作、スポーツで多く目にする投球障害肩に対応するための投球動作について学んでいきます。

基本的な動作としての肩関節の正常運動を学びたい場合は、Vol. 2も合わせてご覧ください。


< 目 次 >

結帯動作
1. 結帯動作の3つのフェーズ理解
2. 結帯動作時の臼蓋骨頭リズム
3. 結帯動作時の肩関節の動き
4. 結帯動作時の肩甲骨の動き
5. 結帯動作時の肩甲骨周囲筋の筋活動
6. 結帯動作時の胸郭の動き
 6-1. 鎖骨の動き
 6-2. 胸郭+脊柱の動き
投球動作
7. 投球フェーズの理解
8. 投球動作で大切な下肢からの運動の連鎖
9. 投球動作時の臼蓋骨頭リズム
10. 投球動作時の肩甲骨の動き
11. 投球動作時の胸郭の動き
 11-1. 鎖骨の動き
 11-2. 胸郭の動き
 11-3. 脊柱の動き


■□■□■□■□■□■□■□■□■□


画像1


画像2

まずは、結帯動作について説明していきます。

結帯動作は、そもそもは「帯を結ぶ動作」のことなのですが、近代ではあまり着物を着ることも多くなく、帯を結ぶことに不自由を感じている方は多くないのかもしれません。

この動作と似たもので苦労する動作として、女性下着(ブラジャー)のホックをとめる動作が、痛みで行えなかったり、関節の可動性がなくて届かなかったりすることがあります。男性では、背中がかゆくても手がまわらないで困っている、、、ということもあるかもしれません(笑)

また、日常生活で行う動きではありませんが、背中で手を組む動作が行えない、両側もしくは片側だけ行えないなどの訴える方もいるかと思います。

肩の回復過程の中でも腕を後にまわす動作は、最後の方に回復し行えるようになる動作と捉えています。

肩関節(肩甲上腕関節)の伸展と内旋の動きが主になりますが、この動きは肩を痛めた方には非常にツラい動きとなります。

肩甲上腕関節だけへの負担増大は、炎症の再熱を引き起こす危険性もありますので、肩甲上腕関節以外の正常運動を知り、どこの関節の動きが出ていないのか確認する必要があります。

局所的にかかる負担を分散できるような治療が行えるよう、しっかりと正常運動を理解しましょう。

※ 結帯動作のスライドは、すべて右側の運動です。


■□■□■□■□■□■□■□■□■□

1. 結帯動作の3つのフェーズ理解

まず、結帯動作を観察する際に、理解しやすいように3つのフェーズ(相)に分けます。

画像3

1つ目のフェーズ(以下、第1フェーズ)は、手の甲が第5腰椎のあたりを通過するまでとします。

2つ目のフェーズ(以下、第2フェーズ)は、さらに背中の方に手の甲を上方に移動し、第12腰椎を通過するまでとします。

最後に、3つ目のフェーズ(以下、第3フェーズ)は、最終域までとします。だいたい第7胸椎を指標にします。

肩に痛みを感じている方は、第1もしくは2フェーズで悲鳴を上げるかもしれません。。。とくに肩前面に痛みを持っている方は、結帯動作に支障をきたしている方が多いです。

これから先、スライド1・2・3と数字が出てきます。

この数字はフェーズを示します。動作理解に役立ててください。


■□■□■□■□■□■□■□■□■□

2. 結帯動作時の臼蓋骨頭リズム

まずは、肩関節内でどのような動きが起こっているのか理解しましていきましょう。

関節内では、関節窩に対して上腕骨頭は下記のような動きをします。

ここから先は

5,474字 / 18画像
この記事のみ ¥ 1,980

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?