【Vol. 5】 肩挙上に必要な身体機能(上半身)
このノートでは、上肢の挙上時に必要な上半身の身体機能について解説していきます。
下半身の身体機能は、Vol. 4で解説していますので、そちらも合わせてお読みいただければと思います。
これまで、肩関節の機能解剖、正常運動、上肢挙上に必要な身体機能についてまとめてきました。
このVol. 5のノートで、基本的な肩関節運動機能障害の評価に関わる部分を終わりにしたいと思います。
Vol. 6〜9までは、肩甲上腕関節や肩甲胸郭関節の異常運動について解説していきます。
< 目 次 >
1. 正常運動:肩甲上腕関節
1-1. 関節包の緊張肢位
1-2. 肩関節の関節包、靭帯、腱板筋群の緊張肢位
2. 正常運動:肩甲胸郭関節
2-1. 肩甲骨の位置および触診方法
2-2. 肩甲骨運動
2-3. 肩甲骨位置と脊柱アライメントおよび座圧中心の関係性
3. 正常運動:肩鎖・胸鎖関節
3-1. 鎖骨の動きと関節内運動
3-2. 鎖骨運動に関与する筋
3-3. 鎖骨運動を促すアプローチ方法
4. 上肢挙上に必要な上半身機能
5. 上肢挙上に必要な上半身機能:胸郭機能
6. 上肢挙上に必要な上半身機能:上肢機能
7. 上肢挙上に必要な上半身機能:手指機能
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まず、上半身の身体機能の説明の前に、正常運動としての肩甲上腕関節、肩甲胸郭関節、肩鎖・胸鎖関節の動きを確認します。
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1. 正常運動:肩甲上腕関節
肩甲上腕関節の特徴を下記に示します。
ここで重要なものに、赤字で記載してある「close-packed position」と「least-packed position」というものがあります。
close-packed position:CPP
締まりの肢位。関節が一番きつく締まる肢位を「close-packed position」と言います。
肩関節では、最大外転・外旋位が「close-packed position」となります。
least-packed position:LPP
緩みの肢位。関節が一番緩む肢位を「least-packed position」と言います。
「least-packed position」は、厳密には関節が緩むのではなく、関節を包む関節包や靭帯の緊張が均一になる肢位のことです。
肩関節での「least-packed position」は、肩関節外転55°、水平内転30°、わずかに外旋位と言われています。
今回、知っていただきたいのは、「least-packed position(緩みの肢位)」です。
教科書では、少しわかりにくい表現となっていますが、下記のように覚えてください。
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