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緑の島の黒ビール #『ギネスの哲学』 を読む

St. Patrick's Day の時期に読んだ、ギネスの歴史に関する本をご紹介します、という話。

去る3月17日は St. Patrick's Day(セントパトリックスデイ)だった。アイルランドにキリスト教を布教した聖パトリックの命日で、現在のアイルランド共和国では祭日。尤も、この日は同国だけでなくアイルランド系の人々が移民した各国、近年は日本でも祝われるようになっており、シンボルカラーの緑色で街が彩られたり、緑の服や民族衣装を身に纏ったパレードが行進したり、アイルランド料理が振る舞われるイベントが開催される。

ビールファンの中には、既にこのイベントを馴染み深いものとして見る向きもあるだろう。というのも、毎年3月が近づくとアイリッシュパブ(少なくないブリティッシュパブでも)を中心にキャンペーンが打ち出され、店内がグリーンに飾られたり、アイルランド産のお酒の割引やシェパーズパイ等の特別メニューが登場する。聖パトリックの功績が巡りめぐって、筆者を含めたキリスト教徒ではない人々にも恩寵を与えているわけだ。せめて乾杯の際は、同地域の文化と信仰への敬意を欠かさぬようにしたい。

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