「絶対値による会話分析法」のメモ――時代を読み解くツールとしての可能性
このnote記事では、人類学者のエマニュエル・トッド氏が自著にて紹介している方法論について触れたいと思う。その方法論は、「絶対値による会話分析法」というものだ。
具体的な方法としては、分析対象となるテキストや一定期間内の会話から、特定の話題(=単語、キーワード、フレーズ)の頻度がどのくらいあるのか、あるいはその頻度は以前から増えたのか減ったのかを計量する。
この方法論は、それらテキストを発信している人物やグループ、あるいは特定の社会層が、何に関心を持っているのかを推測するのに役に立つとする。元々はトッド氏が所属していたパリ政治学院で経験した「内容分析」という手法に基づくものだという。
■話題に対する「好きか」「嫌いか」をあえて外して観察する
この手法の最大の特徴は、その話題に対する意見はあえて外す――つまり“絶対値”をとる。
トッド氏による例示をそのまま引用すると、「柔らかいキャラメルが好きだ」「柔らかいキャラメルは嫌いだ」という話題が出てきた場合、ここでの絶対値は「柔らかいキャラメル」である。一方、「好き」か「嫌い」かというのは、絶対値に対して付与されるプラスあるいはマイナスの記号であり、これは外す。
つまり、好きか嫌いかという評価はあえて外し、重要なアイテム(上記で言えば「柔らかいキャラメル」)だけに注目する。
一般的な感覚からすれば、「アイテムに対する評価のほうが重要だ」と考えるのではないだろうか。そのため、「なぜこの方法論において、わざわざプラスかマイナスの評価を外すのか」と疑問に思うはずだ。
トッド氏の著書から、なぜ同氏がこの方法論でアイテムだけに着目するのか、その理由を引用してみよう。
トッド氏の説明を含めて考えると、この方法論は、アイテムが表出するそのタイミングに分析者の意識を合わせ、その結果、アイテムの奥あるいは裏側に存在する、何らかの隠れた兆候の検出を助けてくれるのではないか。一種のインテリジェンス・ツールと捉えても良さそうだ。
引用元の書籍では、この引用個所の直後において、内容分析に基づいた極めて興味深い論を提示している。詳しくは本書を参照していただきたいのだが、彼によれば、新型コロナウイルスのパンデミックの時期から、政府が「民主主義」に関する発言を多く発している。この民主主義というワードは、ロックダウンなどの強固な対策をとる際に「民主主義的な手続きを遵守する」「法への遵守が大切だ」といった文脈において使用された。
トッド氏は、ここには政府による強迫観念にも似た雰囲気が感じられるとの趣旨を述べたうえで、裏返すと民主主義という政治形態を(支配者側としては)止めたいという心境が見え隠れする、との見解を提示している。
最後に、トッド氏による卓越性のある見解を引用して、この記事を終わる。
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