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「ことばを使う」その時に留意したい3要素

編集・ライティングという仕事の都合もあって、「言語が使える」というのはどういうことなのかをあらためて調べています。

学術研究分野を当たってみようと思い、ざっとネット検索してみて見つかったのは、論文「言語運用能力とは-日本語のクラスで求められる能力-」(橋本智・石田愛、Hashimoto,Satoshi・Ishida,Ai 、徳島大学国際センター、2008、徳島大学機関リポジトリに掲載)です。日本語教育分野の論文で、2008年発表と少し古いものですが、中身が詰まっており、参考になりそうだと感じました。

これを読むと、『言語が「使える」とは、「話す」「聞く」「書く」「読む」といった4技能を身につけ、目標言語を巧みに操ることのできる「能力」を持つということ』だと書かれていました。

続いて、興味深いフレーズを見つけました。『ルービン(1976)は、この「言語運用能力」を「メッセージの内容を十分に理解する能力、適切なメッセージを作る能力」と定義している』とのこと。私のような実務家としてはこの定義が、「仕事現場で求められている『言葉』」というテーマに沿った説明として、一番しっくりくると思いました。

なお、ここでの「言語運用能力」とは、この論文にてさかのぼる場所に説明が書かれていました。

『ハイムズは、文法を中心に考える「言語能力」は母語話者の持っている能力の一つに過ぎないとした。つまり、「言語能力」と「言語運用」を別々に区別するのではなく、言語使用(languageuse)と社会相互作用(socialinteraction)、また状況や文脈などを考慮する能力(contextualcompetence)、そして「それらすべてを含めた意味での『言語運用能力』(communicativecompetence)』

ここから察するに、私たちが日常生活や仕事現場で使っている言語能力は、実態としては、①文法や語彙など言語の純粋な技術的側面を理解し操れる能力だけでなく、②メッセージの発信・受信を行う主体である自分や相手が置かれている状況や文脈を考慮しながら狙い通りのメッセージを作成し発信する推察力③言語によるメッセージを発信した後、それが相手および自分にもたらした影響(=ハイムズが言う社会相互作用?)を把握する知覚能力によって構成されていると考えられそうです。なお上記の3つの要素の記述は、先の論文を参考に私が導出したものです。

なお②と③はいわゆるPDCAの関係にありまして、Plan&Doが②、Check&Actionが(ほぼ)③に当たるといえます。ここで「ほぼ」としたのは、Actionは一度③を経た2回目の②(2回目のPlan&Do)も指しうるためです。

この点からいえば、言語運用能力はほぼコミュニケーション能力と同一です。ビジネスの現場では常にコミュニケーション能力の重要性が説かれていますが、逆から考えてみると、ビジネスは常に言語運用能力に支えられていると言ってよいでしょう。

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