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いじめ・ハラスメント対策:彼らが持っている「劣等感」と「存在不安」を理解しよう

私は小さい頃からいじめのターゲットになることが多く、学校の同級生や先輩はもちろん、教師、会社の上司、さらには男女の関係になったパートナーの女性からもハラスメントを受けることが多々ありました。

ハラスメントが原因で、私は40代の半ばに、ただならぬ形で自らの多くのもの・ことを手放す経験をしてしまいました。ただ、私はそれをきっかけに、否が応でも自分の人生を振り返り、そして根本原因を探ることになりました。

行き着いたのは、小さい頃に経験していた母親からの特殊なハラスメントの実態と、父親の家庭放棄でした。これはカウンセラーをはじめたくさんの人々の支援、そして私自身が必死になって自己探求を進めた結果、行き着いた真実でした。従来の私は、何らかの形でそれらに目を瞑っていた格好です。なお、母親のハラスメントの実態については、次の記事もご覧ください。

頭の中に「自分ではない声」を作り出した、母親のハラスメントについて|高下 義弘(Yoshihiro Takashita) (note.com)

小さい頃に家庭などでハラスメントを受け続けた子供は、自己価値が極端に低くなり、その結果として、いじめのターゲットになりやすいと言われています。まさに私は、そのような人生の典型そのものでした。

もう50代も間近の私にとって、幼少期における被ハラスメント体験の事実立証は、もはや難しい事項でしょう。しかし、40代後半に、母親から中長期にわたり受け続けてきたハラスメントの実態に気がついた瞬間、小さい頃から私の頭の中で巣食っていた「ネガティブな独り言」が急速に小さくなったのです。私のこの体験から類推しますと、母親からのハラスメントはまごうことなき事実であり、それが私が長年抱えてきた心理的な問題の原因となっていたことは、ほぼ間違いないと考えます。

■ハラッサーと言われる人物が備える特徴

翻って、他者に対して自動的にハラスメント行為を振るうハラッサーとは、どんな人物でしょうか。複数の文献を紐解くと、心に決めた信念として、次の3つをかたくなに備えていることが特徴です。

1)お前が悪い(=私は悪くない)
2)お前は私よりも下だ(=私はお前よりも存在として上位にある)
3)お前は私の言うことを聞くべきだ(=私の主張や命令は絶対であり、お前はそれらを無条件に受け入れるべきだ)

一言でいえば「自分という存在は無条件に優越的な存在である」という根拠のない思想を備えており、それらを“証明”するために、あらゆる情報や立場を活用して相手を追い込むことがポイントです。当然、集める情報は独りよがりであり、また単なる立場上の優先的な権利を、さも自分の生来の価値と勘違いして駆使します。高度な知能を備えた人物が行うと情報の論理的な組み立てがなかなか巧みであり、ターゲットになった本人は気づきにくいというのがやっかいなところです。

一般的に、何か特定の役職に就いた人は、その後間もなくハラスメント行為に及びやすいと言われています。そのような人物の心理的なメカニズムとしては、潜在的に備えていたハラッサー的な要素および欲求が、他者に対して権限を行使しうる立場になって発露してしまった、ということでしょう。

とはいえ当然ですが、上司になったからといってハラスメント行為に及ぶ人ばかりではありません。実際には、心の中にふつふつと大きなストレスを抱え続けていることが必要条件です。そしてそのようなストレスを抱えている人がハラスメント行為を他者に行いやすい立場になったときにはじめて、具体的なハラスメント行為に及びます。

そのストレスとは何かというと、「劣等感」と「存在不安」という、2つの心理的特性からくるストレスです。これら劣等感と存在不安は、実際に私が出会ってきたハラッサーと言われる人物たちに共通する特徴でもあります。また、様々な文献、そして私がお世話になったカウンセラーの方々のお話から言っても、かなり妥当性の高い要素だと考えます。

順を追って説明していきましょう。

■劣等感とはなにか

ここで言う劣等感とは、「自分は他者よりも劣っていると(自然に)考える心理特性」のことです。発揮能力や財産など持ちうるもの、おっとりした性格・激しやすい性格などといった性質を他者と比べて、自分は劣っていると感じた場合、その感情や感覚を劣等感と言います。これらの比較を認識し、かつそれの価値づけに納得した時、人は強烈にネガティブな感情に襲われます。その結果として、この劣等感を解消するための行動を起こします。

劣等感が必ずしも悪いものだとは限りません。劣等感をバネに奮起して学業や鍛錬に身を投じることはまま見られます。しかし、もしそれが「外側」つまり他者に向いた時、しばしばいじめやハラスメントとして表現されることになります。他者を貶めることで、自分の優位性を確認する、というわけです。

翻って、人の価値とは、本当に能力・財産・性質にあるのでしょうか。もちろん生活を送るのに一定以上のものは必要かもしれません。ただそれで本質的に人の価値が決まるとすれば、大変なるイリュージョンでしょう。

私もかつて両親に「お前は勉強をしない」「お前は怒りっぽい」などとネガティブなインプットを刷り込まれてきました。しかし様々な自己探求の結果として体得できたのは、人は何かできる・できないという差によって存在価値が貶められることはない、という事実です。また、人のネガティブな性質はしばしばネガティブな環境によって醸成されるため、必ずしもその人のせいとは限らないという真実です。

私は特定の宗教を信じているわけではありませんが、大いなる「サムシング・グレート」の存在は信じています。もしサムシング・グレートがあり、かつそのサムシング・グレートがビッグバンを起こしてこの世界の全てを生み出したとすれば、人類は全員、サムシング・グレートの創造物です。もし、勉強ができない・お金が稼げないなどの問題から人としての存在価値が低められるとしたら、その人は、たとえ実の親であっても人権侵害のかどで訴えられて然るべきでしょう。

現実問題として、生活上もちろん苦手なタイプの他者もいれば、嫌な人もいます。一緒に仕事をしていて相手が放棄したら困ることは間違いないでしょう。しかし、それはそれとして、他者の存在価値を最初から否定するハラスメントが横行しているとすれば、それはサムシング・グレートを否定することにもなりかねません。

■存在不安とはなにか

2つ目の存在不安は、「私はそのままでいてはいけない」という感覚のことを指します。こうした感覚を強く持っていると、何かをしていなければ不安に襲われます。こうした人物は他者に見返りを求めたり、承認欲求を強く発露したりしがちです。

また、先の劣等感とも関わっています。存在不安を抱えていると劣等感も感じやすく、ますますネガティブな性質を強めかねません。

どうやらハラッサーと言われる人々は、自身の存在不安を解消するための方法の1つとして、ハラスメントができる対象となる人物を積極的に見出し、そしてハラスメントを行ってしまうらしいのです。

実は私自身、若い頃はこうした存在不安を強く持っていました。しかし、瞑想、そして心理カウンセリングを受け続けることなど、様々な取り組みを進めた結果、少なくとも昔よりは存在不安を解消することに成功してきたと思っています。

存在不安を抱えたすべての人が、ハラスメント行為に及ぶとは限りません。しかし、先にも述べた劣等感とともに、ハラッサーの刺激の1つとして、この存在不安はかなり大きくのしかかっているようです。

この存在不安も、多くの場合は周囲からのプレッシャーなどによって植え込まれるようです。端的な例は、親や先生などといった身近な権威者です。子どもを駆り立てコントロールするために「これをしなければお前は駄目な人間だ」と脅しながら駆り立てます。その結果、ものの見事に存在不安がその子どもにインストールされてしまいます。

■ハラッサーは元々ハラッシーでもある

以上、ハラスメントを行う人物がしばしば備えている劣等感と存在不安のことを述べてきました。私の両親は典型的なハラッサー体質の人物で、専門家の方々とともに両親の特性を紐解くたびに、あまりにも定式的に彼らが持っていた存在不安と劣等感の実態が見えてきて、正直、驚きを隠せませんでした。

ただ、彼らが完全に悪いとは言い切れません。というのは、こうした劣等感と存在不安を持つハラッサーは、それ以前に、誰か他者によってハラスメントを受け続けてきた可能性が高いということです。

つまり、ハラッサーであった私の両親はそれぞれ、その親(つまり私の祖父母)や周囲の環境――例えば学校の教師などから、ひたすらハラスメントを受け続け、その結果として劣等感と存在不安を醸成し、あふれるネガティブ感情をぶつける先として、無意識のうちに実の子供(=私のこと)を利用した、とも考えられます。

とはいえ、ハラスメント行為は人権侵害であり、それを容認するわけにはいきません。大事なことは、まず本人がハラスメント行為の実態を自覚し、自分の中にある劣等感と存在不安を認めて自ら癒やし、それによって少なくとも自分は他者へのハラスメント行為はしないようにすることだと思います。

■瞑想が効く

私は過去20年にわたる様々な自己探求を通じて、自分の中にある劣等感と存在不安を見つめ、それをヒーリングしていくことに取り組んできました。いろいろな方法がありますが、私自身の経験からは、有効性が高く、かつほとんどコストも掛からない方法の一つとして、瞑想をよくおすすめしています。

瞑想は心身ともに健康度を高めるエビデンスが取得されており、また「メタ認知」と呼ぶ、自己を客観的に捉える能力を高める効果があります。これは、自らの劣等感と存在不安を解消するのに大いに役立ちます。

東京・池袋にて体験会を開催するほか、個別のご相談に応じて1on1でも瞑想講座を提供しています。ぜひ、お問い合わせください。

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