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幼馴染の話
※これからお話することは全て架空の話です
中3までよく遊んでた男子がいるんだけど、
家が近くて、むしろその他の友達の家はだいたい遠くて必然的に宿題やったり、ゲームしたり、一緒にすることが多かったんだよね。
(以下Yと呼ぶ)
年も同じだったし。
あと普通に気が合った。
当時、私はその男子の他にもう一人よく遊ぶ人がいて、近くに住む一個上の女の子だったんだけど(mちゃん)、その子は私が中一の時に都会から転校してきた子だったからMちゃんとYは仲良くならなかったんだよね。
ちなみに私が住んでたのは田舎で、オシャレしても大体みんなTシャツジーパン。笑
普段は部屋着みたいな格好の子が多かった。
Mちゃんはその中では異質なくらいおしゃれで出会ってすぐに憧れた。
物心ついたころには既にYと仲良くて、小さいころは大人に黙って二人で森に探検に行って、後からバレて怒られたりした。(ちなみにYはめっちゃ野生児なので、野草とか木の実に詳しかった。多分無人島でも生きていける)
大きくなるとさすがにサバイバルごっこみたいなことはしなくなったけど、一緒に勉強したり、漫画読んだり、しょっちゅう二人で遊んでた。
二人で漫画貸し合えば、半分の金額で2倍の漫画読めたからね。
これは私買うから、あれ集めて?みたいな相談よくしてたな。大体文句言わずに聞いてくれた。
「なんか私の言った漫画集めさせちゃって申し訳ないかも…と思ってきたんだけど、実際どう?」
と聞いたら
「俺、漫画好きだから別にいいよ」とか言ってた。
そんな関係が続いてたんだけど、中3になって初めて私に好きな人ができたのね。
他校の人で、他校って言っても田舎だからそうそう会うことはなくて、車で1時間くらいの町にお祭りに行った時にたまたま見かけて一目惚れしたんだけど。
元々名前は知ってた。
かっこいいらしいって有名だったから。
(以下Hくんと呼ぶ)
近所には絶対いないでしょ!って感じの、イケてる人だった。ちょっと髪の毛染めてて、色白ですらっとしてて全てがスタイリッシュに見えた。
見た瞬間に、ドキッとして、キュンとした。
でももっと都会から引っ越してきたMちゃんは
「きも!イキがってる中学生って感じ。あんなやつやめな?Yの方がいいじゃん」と言ってた。
私はYのことは全く恋愛対象じゃなかったし、全然タイプでもないし、Yも恋愛に興味ない、っていうか少なくとも私のことは女子として見てないの感じてたから、MちゃんはなんでYを勧めてくるんだろうと思ってた。
MちゃんはYみたいな人がタイプなのかな?と思った。(Mちゃんは大学生の彼氏がいて、その人がインテリ系の大人っぽい人だったので多分違う)
それで中3になってからは、寝ても冷めてもHくんのこと考えたりしてて、Yと遊んでてもHくんの話ばかり。(Hくんのネタがないので大半は想像の話なんだけど)
それまではお笑いの話とかマンガ・アニメの話が多かったからHくんの話はつまんなかったみたいで、最初の方は結構ちゃんと聞いてくれたけどだんだん、いかにも興味なさそうにしてた。
「そんな気になるなら今度連絡先聞けば?」とかテキトーなこと言ってきて、できるならとっくにしてるわ。ってイライラして少し喧嘩になったりもした。
それから徐々に二人で遊ぶことも少なくなったんだけど、お盆の時期にやる地元の大きめのお祭りに一緒に行くことになった。
地方からも人がくるくらい有名で、私も小さい頃から一年で一番楽しみにしてた。
Yのおじいちゃんと私のおじいちゃんが町内の役員をやってたこともあって、その手伝いで成り行きで一緒に行くことになった。
その頃Yは推薦で高校に進学することが決まって、その日も学校に残ってなんかしてたから私の方が先にお祭りに着いたんだけど、
まさかの…
まさかの…
私の大好きなHくんがいたんだよね!!!(今思い出しても興奮するWWW)
0、1秒視界に入っただけで分かった。
同じ人間とは思えない圧倒的なオーラとイケメン具合。
ドキドキがとまらなくて、目が釘付けになって動けなかった。ほぼ金縛り←
で、目が合ったんだよね…
Hくん一緒に来てた友達と雑談してたけど、笑いながら目は私のことみてたの…!!!!(絶対そうだとしんじる←)
チャンスだ、連絡先聞けるじゃん…!!とバクバクの心臓抑えながら近づこうとした時女の子が現れた。
屋台で買ったお好み焼きのパック持ってた。
東京の人?ってくらいめっちゃおしゃれで、スタイルよくて、腹だしファッションで(こんな田舎でやってる人初めてみた)
ありゃ小さい頃からダンス習ってるわって感じのイケ具合だった。
何もかもが私より素敵で、
その場にH君の友達は2人いたけど、この子はHくんの彼女か、違うとしてもHくんのことが好きなんだってすぐわかった。
だって、あからさまにHくんのことしか見てないもの。。。
もし付き合ってないとしても、全く敵わないや、と思ってその場を離れたんだよね。
お祭りの事務局に向かう途中Mちゃんが例の大学生彼氏と一緒にいるところに遭遇して、私は今の色んな感情が混じり合った気持ちを吐き出したくて、ほぼ一方的にバーーって話始めちゃったんだけど、話を聞いたMちゃんは私の手を引いてH君たちのところに向かって、イケ女子をチェックしに行ったの。
見たMちゃんはやっぱり「え、イモじゃん。ほんとやめな?全員シャミだよ?(イキがってるけどダサい人のこと)」って言ってて、
もちろん私にはそんな風には見えなかったけど、そうやって貶されるとちょっと嬉しかった。
どうせ自分とは縁のない世界だし、そっち側になれなくてもいいんだと言われてるような気がした。
「Yは?一緒に行くって言ってなかった?」
「Yは推薦のなんかがあって遅れてくるっぽい」
そんな話をしてたらちょうどYが来て
「Y!ちょっとアンタこの子のことちゃんと見てて?あんな連中に憧れてるんだけど!」とMちゃんが言って
Yは「うす」と一言だけ返してた。
(YはMちゃんがちょっと苦手)
でもその時のYは、今まで見た中で一番かっこ良かった。というか初めてカッコよく見えた。
眼球だけカッコよかった。
露店の灯りが目に反射して、細い目がギラって光ってて、スナイパー?戦闘体制??とにかく、オス…!ってかんじでカッコよかった。
二人になってから「Mちゃんがよくわかんないこと言ってごめんね。気にしないで」って言ったら
「おー。まあ、でも俺も正直あの人はやめた方がいいと思うよ」と言った。
今まで散々私の恋バナ聞いてくれてたのに、はじめてHくんのことが好きなことに対してハッキリ批判的な反応を示した。
え、なんで?と思ってYの顔を覗き込むと、それを察したのか
「あの人、あんまいい噂聞かないよ。お前顔は可愛いから付き合えるかもしれないけど、噂聞く限り辛い思いするだけだからやめた方がいい」
とか言ってきて、混乱するんだよね。
今まで大体なんでも私の言い分受け入れてくれてたから。漫画とかも。
なんて返事したかよく覚えてないけど多分「あ、そうなんだ。」とか言ったと思う。
その日から、なんとなくYのこと男子として意識し始めて、なんとなくぎこちなくなって、二人で遊ぶこともほぼなくなっていったんだよね。
Yも忙しかったみたいだし、私も受験勉強を本格的に始めて(遅いけど)時間的にも合わなくなっていったんだと思う。
中学校の卒業式の日、友達とワイワイ写真撮って、思い出に浸って、一人で歩いて家に帰ったら、家の前にYがいた。
「お疲れ!散歩でもしない?」って誘われて近くの浜辺まで歩いた。
オレンジぽく傾いてきた太陽を見ながら、二人でどうでもいい話するの、久しぶりだなーと思った。
なんの為に呼び出したんだろう?ってくらい中身のない話ばかりした。
担任の先生の話題になった時、Yが砂浜に先生の名前書いてたんだけど、波で上半分消えちゃって
「うんこ」ってかいてるみたいに見えたのがめっちゃ面白くて、ほんと、いつぶりだろうってくらいお腹抱えて爆笑した。Yも笑ってた。
結局、そんな話だけして家に帰った。
Yは推薦で寮のある遠くの高校に通い始めたから、二人で会ったのはそれが最後だった。
もしかしたらあの日、告白しようとしてくれたのかもしれない。そんな風に思ったりもする。
きっとされてたら付き合ってたと思う。
そんな思い出。
※全て架空の話です