#7 「お前Sだなー笑」って言うけど、それ本当??
友達と遊んだりしている中で、
「お前ってSだよなー」
と言ったり、
街中で、ギャルにボコボコにされていながら、どこか恍惚とした表情を浮かべているおじさんを見つけて
「あのおっさんMなんだなー」
と笑ったりする事、よくありますよね?
ざっくり説明すると、
Sとは「sadism、sadist」
Mとは「masochism、masochist」の頭文字をとった性的嗜好のタイプです。
日常でもなんとなく使っているこの言葉、実は明確な由来があります。
そして、この由来というのが結構面白い話なので、今回はその一方、「sadism」の由来について書きます。
目隠しされながらロープで縛られたり、溶けた蝋をかけられて興奮する類の方のためにも、また機会があった時に「masochism」についても触れましょう。
まあ僕はそんな性的嗜好まったく共感出来ないのですが。
いやホント。マジマジ。鞭ではたかれるのとか全然羨ましくなんてないから。ないんだからネ!
そもそも「sadism」または「加虐性欲」とは、相手に身体的、精神的な苦痛を与えたり、そのような状況を妄想する事で性的快感を味わう性的嗜好のタイプです。
「S」という考えが一般に広まってはいますが、本来は単に暴力をふるったり、執拗にいじったりして喜ぶことも含めて指す言葉ではありません。
性的興奮を覚えるかどうかが互いの境目となりますね。
「sadism」という言葉は、オーストリアの精神医学者リヒャルト・フォン・クラフト=エビングが作った造語です。
その名前の由来となっている男が、
嗜虐性向の強い文学作品の作者であり、実際に娼館に通い詰め、SM行為を行なっていた
フランスの侯爵
「マルキ・ド・サド」
です。
彼は、フランス革命期の貴族でありました。しかし、物乞い女への鞭打ち暴行事件や娼館で乱交、娼婦に危険な媚薬を飲ませた等の犯罪行為で捕まってしまいます。
ちなみに、娼館での事件では「毒殺未遂と肛門性交の罪」で死刑判決が出ています。ゴクリッ
サドは刑務所と精神病院を転々とするのですが、その中で面白い話もあります。
世界史でも有名な、フランス革命の始まりとされるバスティーユ牢獄襲撃。
その約10日前、国内に漂う不穏な空気を感じ取った牢獄側が、より囚人たちへの警戒を厳重にするために散歩の時間を廃止したのですが、これにブチギレたサドは牢獄から
「我々はここで迫害されている!助けてくれ!」
と叫んだそうです。
媚薬モリモリ変態おじさんのこの一撃。
これが革命のきっかけの一つだったのだはないかという説もあるらしいです。
サドは、獄中で読書に没頭した後、執筆作業を始めました。
サドの作品は、残酷で淫猥な描写、いわゆるエログロシーンが多かったこともあり、そのせいでナポレオンから投獄命令を出され、裁判無しで投獄されたりしてます。
それにより19世紀に禁書扱いを受け、当初は限られたごくわずかな人しか読めなかったようです。
彼の代表作として名高いものといえば、
「ジュスティーヌまたは美徳の不幸」
「ジュリエット物語あるいは悪徳の栄え」
そして
「ソドム百二十日あるいは淫蕩学校」
でしょう。
どれも内容はとんでもなく変態です。
どんくらい変態かというと、「悪徳の栄え」を日本語訳した澁澤龍彦さんという方が「わいせつ物頒布等の罪」で有罪、罰金刑を食らってしまったぐらいです。
ドンマイ澁澤。フォーエバー澁澤。
なかでも印象深い作品は「ソドム百二十日」です。この作品はバスティーユの中で著されたサドの最初の本格的な作品です。
悪事を働き莫大な資産を得た4人の男が、森の奥深くの城館で、拉致してきた美少年、美少女にエチエチなことや拷問的饗宴を繰り広げる120日間を、サド特有の無神論や反道徳、善悪などのテーマと共に書かれています。
また、作品の舞台となる城館内での規則などに関する設定語りが、冒頭で約100ページ続くという事細かな点も特徴です。
この作品、小説としては序章と第一部しか完成しておらず、第二部〜第四部は草案のままになっています。
実は、先のバスティーユでの一件と襲撃の間に、サドは精神病院へ移送されるのですが、その際に私物の持ち出しが許されなかったため、「ソドム百二十日」は未完の大作に終わってしまいました。
その後、バスティーユから発掘はされたものの、サド本人のもとに戻ることはありませんでした。
失われたことを知ったサドは、血の涙を流して悔しがったと言われています。
こういうのあるあるですよね。
僕の友人にも、買ってもらったばかりのポケモンのソフトを、そっこー盗まれて大泣きした方がいます。
あいつの「ダイヤモンド・パール」今どこにいんのかな。。。
サドの作品は、その後、時代の変遷の中で再評価されていきました。
サド自身の精神状態もあってか、文章が破綻してる部分などもありますが、作品として面白いですし、意外とスラスラ読めたりします。
ネット通販などで購入も出来るので、
「本物の『S』ってどういうもんなんだろ?」
「サド侯爵はどんな風に責めてくださるのかしら?」
とゾクゾクしたい方は、ぜひ読んでみてください。