なぜ歴史の教科書に女性の偉人が少ないのか
僕らは義務教育、高校、大学を通して歴史を学んできた。
しかし、歴史の教科書に出てくるのは男性の偉人ばかり。
なぜだろう。男性ばかりが取り上げられていることに疑問を感じていた。
日本史で言えば、卑弥呼、紫式部、清少納言などが女性の偉人として有名どころだろう。
それでもパッと名前を挙げられる人数は限られる。
たった数人「しか」いないのが義務教育レベルでは限界だ。
もっと活躍して、世の中を動かしてきた女性はいるのではないか?
その存在はどこに隠れているのか?
なぜ歴史から消されているのか?
前から考えていたので、このnoteでまとめみた。
偉人が「いない」訳ではない
男性が世の中を動かして歴史を紡いでいったように、女性もまた同じように歴史を積み重ねているはず。
しかし、教科書にはあたかも女性の偉人が「いない」かのように書かれている。
おかしい。
かなり深掘って勉強すれば、義務教育の範囲でもそれなりの数の偉人を知ることができると思うが、それでも男性の偉人の数に比べれば比にならない。
つまり、歴史から「女性の存在が消されている」のだ。
例えば、有名どころでパッと名前が出てくるのは
卑弥呼
紫式部
清少納言
北条政子
与謝野晶子
くらいが一般的ではないだろうか。(ちゃんと教科書を読めばもっといるはず)
何十人と偉人が出てくる中で、本当にこれ「しか」女性の偉人はいないのだろうか。
以下で、調べてみたことを共有する。
昔の女性は名前を持たなかった?
「女性の存在が消されている」と述べたが、そこには家系図や名前の付け方が関係しているらしい。
昔(主に戦国時代くらいまで)の家系図は基本的に男性の関係性のみ書かれており、子どもが産まれても男児しか名前が記されていなかった。
つまり、女性は家系図から消されていた。
例えば、紫式部はその存在こそ知られているが、名前までは不明のようだ。
一方、興味深いのが、清少納言は役柄の名前であるが、その本名が「清原諾子(きよはらなぎこ)」という説がある。
このように、名前を持ってはいたが、それが書き残されることは極めて稀だったと考えられる。
また、家系図で女性の存在が書かれたとしても「〇〇の女(妻)」程度の書かれ方しかされておらず、やはり名前には辿り着かない。
江戸時代に入っても、名前こそ持っているがバリエーションが少なかったり、親戚同士で同じ名前を使ったりしていたことから、特定の女性を把握するのが難しい。
なので、女性の多くが男性と同じような「名前」を持っていなかったのが現実だろう。
明確に名前を持つようになった明治期以降は?
女性が明確に名前を名乗るようになったのは、やはり明治維新による近代化以降の時代だろう。
この頃から義務教育も始まり、男性よりも比率は少なかったものの、教育を受ける女性が増えていった。
その結果、女性の地位も向上していったと言える。
しかし、女性蔑視や権利の剥奪・軽視は依然として根深かった。
時代が大正に入り、「大正デモクラシー」の運動に突入すると、教育を受けた多くの女性たちが団体を結成するなどして政府に訴えかけて職業の自由や参政権を要求した。
1925年には普通選挙法が決まり、女性も参政権を得ることとなった。
この時代に活躍した女性は、
平塚らひてう
市川房枝
奥むめお
など。
彼女たちが、新婦人協会を設立して言論で運動したり、婦人弁護士制度の制定で女性が弁護士になることを可能にしたりと、歴史を動かす激動の時代を作った。
この時代を境に女性の存在が、ぐっと前に出てきたように思える。
まさに「偉人」の活躍だ。
それでも埋まらないジェンダーギャップ
これほど活躍した女性が出てきたのだから、このまま順調に女性の存在が前面に出てきて男女のギャップが小さくなる、と考えるのが普通だろう。
しかし、戦後の日本の歴史を見てもあまり女性の存在を感じない。
令和に入った現在でも、女性の議員や企業の役員の比率は低く、発言力は限られていると言っても良い。
ちなみに政治における女性の比率は、参議院が20%で衆議院が10%程度だ。
また、戦後の核家族化で、女性は家庭に入り、ひとりで家事や育児に専念することになった。
これは、女性のキャリア形成にも大きく影響し、社会進出のブレーキとなっていると思う。
歴代の首相にも女性はひとりもいないし、ノーベル賞受賞者も0人だ。
これは単に女性の能力が低い(自己責任)のではなく、それに至る機会が整っていないからだと思う。(社会的な要因)
まだまだ、女性の役割は昭和から脱してはいない。
2021年の日本のジェンダーギャップ指数は156カ国中120位だ。
表面的な視点でみれば、一見男性も女性も自由に生活しており、ギャップを感じない人も多いかもしれないが、もっと様々な視点からみたり、大きな視野でみたりすると「存在を消されている」女性が少なからずいると思う。
ここから日本が変わり、歴史を動かす女性が出てくるような社会をつくりあげていきたい。
そうすれば、100年後の教科書に女性の「偉人」が出てくるようになるのではないか。
自分の生み出したもので生きていきたい。幼い頃からそう想って今も生きています。これからも創ることが喜びでいられるように、いただいたお金を使おうと思います。