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わざわざ「プロ意識」をクレドに入れる?
弊社キュービックには4つのクレド(行動指針)があります。
Dive into Insights(本質を追求しよう)
Brave Heart(ワイルドにいこう)
Team CUEBiC(チームでやろう)
Act with Pride(プロフェッショナルであろう)
この中でも最後の4つ目「Act with Pride」について、「プロ意識みたいな当たり前のことを、わざわざクレドとして宣言する必要ってあるの?」という疑問や懸念が、制定過程では少し議論に上がりました。
「子どもじゃないんだし」「ちょっと恥ずかしいです」みたいな声もあったのは事実で、気持ちももちろんわかります。僕らがあえてこれを入れるに至った背景を、これまた社内共有の意味も込めてまとめてみます。
ちなみに他社を見ると、有名どころでは楽天さん「成功のコンセプト」にはProfessionalism(プロフェッショナリズム)の徹底が。
また、メルカリのバリューにもBe a Pro入ってますね。3つのバリューのうちの1つを割いて「プロ意識」を意識です。
意外と他の企業のクレドやバリューにも「プロ意識」があえて掲げられている例は少なくありません。それぞれに理由があるのだと思いますが、以下はいったん弊社の大事にしている理由です。
理由その1:webメディア事業の事業特性
通常、会社というのは「モノ(サービス)を作って売る」「モノを仕入れて売る」を中心として事業が成り立つ、つまり営業・販売や納品のプロセスにおいて必ずリアルの外部接点が生まれます。
ところがwebメディア事業というのは、マーケター・エディター・エンジニア・デザイナーが中心となってメディアをグロースさせていく事業となります。下手すると「PV稼いでアドネットワークを貼るだけ」という事業も成り立ちうるため、リアルの外部接点は極端に少なくなりがちです。
(弊社の場合は広告主企業の皆様や代理店さんとも接点を持たせていただくモデルですが、それでも他の会社さんと比べると圧倒的にこの接点量は少ない方です)
こうしたビジネスモデル特性から、内に向かう狭い世界になってしまいがち。「クライアントに怒られながら育つ」「死ぬ気で納期に間に合わせる」はほぼ成り立ちません。
品質も納期も自分たちの経済的なリスクの中で吸収できてしまうという、「甘え」の生まれやすいビジネスとも言えます。
したがって自分たちで自分たちを律する自主自律が求められることから、あえて「プロ意識」を規定する必要があると考えました。
理由その2:組織の特徴
多くのベンチャーがそうであるように、キュービックも非常に若い組織で、いまだに平均年齢は20代です。さらに、社員数を超えるインターンの学生も一緒に働いています。
仕事の厳しさや難しさは経験に比例して理解が進む部分も一定あることを思えば、若い会社であればあるほどここは強く意識する必要があります。また、事業特性的にも内内に向かいやすく、「嫌われたくない」「指摘しづらい」といった甘えが上長側にも生まれやすいということもあり、二重の意味で危機感があります。
理由その3:会社のフェーズの切り替わり
以前は、規模感的に・また外部環境的に、競争環境や市場の流れや顧客の細かいニーズなどにあまり注意・関心を払わなくても、自社のケイパビリティの開発に注力しているだけでなんとかなってしまうところがありました。
ところが、クレド刷新当時(2018年)にはかなり競合からもベンチマークされるようになりましたし、実際に競合がかなり強いところに絞られてきていました。クライアントや代理店との交渉も難易度が一気に上がった感覚がありました。
無視できない大きさの環境変化もありましたし、何より自社も次のステージとして100億めがけてもう一段気合い入れるぞ!というタイミング。
このため、メディア品質・コンテンツ品質などを数段成長させる必要がありました。また、他社さんを巻き込んで大きな動きを作りにいくにあたって、業務のレベルや品質も高めないといけません。
今までのノリでは勝ちきることはできない、業界を牽引できるレベルにしっかり品質高めていかないといけないね、という背景もありました。
「背景」ごと伝わることが大事
主にこれらの理由を持って「あえて」当たり前とも思えるプロ意識について規定することとしました。
「はいはい、プロ意識ね。当たり前のことだし、わかってるよ。」ぐらいの認識でいられてしまうと、伝えたいニュアンスが全く伝わらない。このため、「背景」ごとしっかり伝わることが大事だと考えています。
相変わらずハイペースで採用していることもあってか、このことに限らず伝わらないことも増えました。経営、ミドルマネジメント、人事が一体となってコミュニケーションを続けていかないといけません。
そもそもクレドとは
クレドとはそもそも、ビジョンやミッションという「遠い未来」の実現・達成に向けて、「毎日」意識するべき行動の指針を指します。逆に言えば、クレドを基準に毎日行動を選択していくことができれば、事業で成功できる・経営の理想を達成できるはずというものが並んでいます。
・なぜその項目がクレドに入っているのか?
・ミッションやビジョンとそのクレドはどう繋がっているのか?
全員がこれを語れる会社はとても強くなると思います。細かなニュアンスに至るまで共通認識が取れるでしょうから、日々の実践の精度も上がるはず。
僕らもまだまだですが、ここを意識して頑張っていきます。