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2024/3/23土曜・バンジージャンプを飛んできた

7時半に起きる。ほんとに今日飛ぶのか、バンジーを……という気持ちでいっぱい。しかも予報は雨。説明には雨天決行とあったのでモソモソと起きる。スニーカーで来てくれとの注意書きがあったため普段ほぼ履かないジョギングシューズを引っ張り出して履く。髪も結ぶ。

某駅で友人と待ち合わせて電車へ乗る。友人は高所恐怖症なのでNOバンジーだが、心細いから着いてきてくれとお願いしたら快諾してくれた。BIG感謝。新幹線や在来線を乗り継いで行く。

バンジー最寄りに到着した時点で結構な雨が降っており念のため電話してみることに。雷が鳴らなければ大丈夫とのことなので観念してタクシーを拾う。バンジー場所は交通アクセスがあまり良くない……というか、車を持っていないときつい。そりゃそうだよね。ちなみに私たちは双方ペーパードライバーで常々「うちらが車を運転するとか死の彷徨だよね」と言い合っている。
タクシーにはやや長時間乗るのでどうか良い運転手さんであってほしいと願っていたら、結果的にSSRどころかURレベルの良運転手さんを引き当てた。気さくに色々話してくれて、ルートも遠回りになる正規ルートを避けて最短コースを行ってくれた。私は車酔いしやすく、またタクシーは特に酔うのだが30分間山道を走ったのに全く酔わなかった。プロってすごい。

そして途中で「帰りもお願いしたいのですが、電話番号がわかる名刺とかってあります?」と聞くと、「今日は会社に人がいないし車も足りるかわからないので、お客さんがバンジージャンプ終わるまで待ってましょうか」と申し出て下さったのだ。一時間半くらいかかっちゃいますけど平気ですか……?と尋ねると、「むしろお客さん少なかったからありがたいです」と。バンジーの終わり時間がわからないので大変ありがたい。往復分の方がかえってガソリンもかかるだろうしwin-winである。

ちょっと話が脱線するが、都心部のタクシー運転手さんはあまりお客さんと話さない人が多い気がする。客単価が高い代わりに酔っ払いや危険人物との遭遇率も高いだろうし、リスク回避のためにスンッとしている人が多い印象だ。車移動が基本の観光地だとこうしてほのぼのお話してくれる運転手さんが結構いる。

市街地から曲がりくねった山道に入り30分ほどで開けた橋の上に出た。晴れていたらさぞ素晴らしい景色なのだろうが、雨でも十分風情があった。その風情の中バンジーするわけだけど。

受付所に到着するとスタッフは全員外国の方だった。日本語が堪能な一人の方に説明をしてもらう……のだが、実はやや早めについたため30分ほど寒い雨の中、テントで待った。風こそないものの大粒の雨がボタボタ降っている。友達に「こんな雨の中バンジー飛ぶなんてロクな奴じゃねえよ」と他人事のようにボヤいていると、同じ回のバンジー挑戦者たちがやってきた。自分を入れて計4人。全員初バンジーである。

同世代だったからか、割と早く打ち解けて「僕は罰ゲームで来ました」「罰ゲームバンジーを一人でやりにくるの、"漢"すぎる」「そちら(私)はなぜバンジーを?」「生まれたからには飛びたくて……」「どういうことですか」等話しながら誓約書にサインしたり、外人兄貴たちにハーネスをつけてもらう。

ハーネス装着後、振り返ればそこには高さ50mの渓谷橋。こっから飛ぶのか。この私が。なんでこんなことになってんだろうな。いや自分で決めて自分で予約して自分で13000円払ってここにいるのだが──とよくわからない思考になる。ものすごく理不尽な目に逢っている気分なのに、絶対に人のせいにできない100%自分主体なこの状況にツボってしまい、やたら快活に笑っていた。

準備も整い、スタッフさんの「では飛び込み台に移動しましょう」の声で3人の仲間+友人と共に橋の真中へ。運転手さんが頑張って~!と声援を飛ばしてくれた。ウス(樺地)。
飛び込み台ではなぜかゴキゲンな洋楽がずっとかかっていた。テイラーのShake It Offとか。「気にしない」はムリだろ、この状況で。足元アミアミのスケスケ足場なんだぞ。

足首にもハーネスのような器具をつけてもらい、スタッフさんが決めた順番通りに飛んでいく。飛び方や飛んだ後の手順は事前に説明済み。私は4人中3番目。

この悪天候で寒い中、わざわざ安くないお金と少なくない労力を使ってここに集いし4人。この時点で我々には強烈な仲間意識というかグルーヴ感が芽生えており、一人が呼ばれる度に「がんばれー!」「漢気バンジー!」「いったれいったれ!」と鼓舞し、帰って来たら全員とハイタッチしてガハハと笑うようになっていた。なぜか「ボクは一人じゃないんだ」というロボットアニメ最終回付近の主人公の気づきみたいな心強さがそこにはあった。

順番待ち中の私は自分も早くジャンプしたいとソワソワしており、また恐怖も感じてはいなかった。寒くてずっと震えてはいたけど。

そして一人、二人とジャンプを終えて自分の番。ちょうど大好きなRema/Calm Downが流れ始めて、外人兄貴と一緒に踊る。

😁「Baby,Calm down🎵」
👨🏽‍🦱「Oh!Calm down🎵Calm down🎵」

アドレナリンが出ていてCalm Downしていられるワケない。橋の方を見れば、友人といつの間にか車中から来てくれた運転手さんが手を振ってくれた。LOVE。見ててくれ私の雄姿を。


ハーネスの確認、無料GoProの装着、手順の再確認。いざ、と飛び込み台に立つ。下を向く。

「こっっっわ!やっぱ止めます!」

脳内を支配したのはまさかのクソビビり感情であった。50m下に広がる素晴らしい渓谷の緑。立体的に広がる木々の斜面。滝壷の青さ。岩の間を縫って流れる川。広大な自然。ウソでしょってくらいの"空間"がそこにある。

そんな考えが伝わったのか、それともあの場所に立つ人間は大抵そうなるのか、外人兄貴の「下向いたらダメ!It's your time!Enjoyして!」の檄が飛ぶ。無理ーー!!!!と思っているうちに「OK!?5.4.3.2.1バンジー!」のカウントダウン。言われた通り頭から落ちた。今までの人生で一番「ままよ!」という叫びにふさわしい瞬間だったと思う。

ここからは画像でどうぞ。GoProの動画も編集していたが、恐ろしい形相の自分の顔を隠す作業が苦痛だったのでやめた。

友人撮影。この時点で急激に怖くなった。
「今から止めますって言って大丈夫かな」
「Go!バンジー!」「待って待って待って待って」
「お”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”」
「あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”」
「あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”」
なんでこんな目に逢ってんだろうって考えてた
「高い高いあ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”」
カラビナを着けるのに四苦八苦


よくジェットコースターに乗った時の感覚を「お腹がフワッとする」と表現するが、むしろ落ちていく間はあまりに滑らかに落ちていくので「お腹がスーッ」とする感覚だった。飛ぶ前に友人と「イーグルダイブ(※アサクリ)できるな」と余裕こいていたが、ビビり散らかした後の落下中は再び「イーグルダイブってマジでシームレス。すげえ」ともう一人の自分が感心していた。
ただし悲鳴は出た。あたしってまだキャー!とか叫べるんだと妙な感動もあったね。とにかく、スーーーーーーッと地面が近づいてきたと思ったら一瞬で視界が黒くなり、次の瞬間には空が見えた。「え?」と思っているとまた視界が黒くなり、再び地上の川。黒。また空。

つまりは飛び込んだ後の反動でビヨンビヨンしているわけだが、脳がその上下運動に追いついていないので「なんだあこれはあ~~~~」と混乱しているのである。

そうこうしているうちにロープは止まり、タロットの逆さ男(ハングドマン)みたいな宙づり状態で足元の紐を外す。結構苦戦した。そうすると頭が上に来るので正しい状態での宙づりとなる。正しい状態での宙づり?
その後は降りてきたカラビナを胸元のロックにひっかけて、上に向かって両手でマルを作る。そうすると引き上げて貰えるわけだが、ここでようやく景色を見る余裕ができた。渓谷のどまんなか、下は川。雨故に花粉は飛んでいない。壮大な谷にロープ一本で吊られているのは中々爽快感があった。ハイジのOPのあのブランコってこんな気分かな。

飛び込み台に戻った後スタッフさんに「どうでした?」と聞かれたので「次は200m(岐阜にある)飛びたいです」と答えると普通に引かれた。そっちが引くなよ。

世界変わるね~ビヨンビヨンしてる時楽しかった~なんか寒くて震えてたのに飛んだら一切の震えが止まった~などと仲間で話しているうちに終了。名前も素性も知らぬ仲間たちとニッコニコで集合写真を撮り、認定証とGoProのデータを貰い、解散。「またどこかのバンジーでお会いしましょうね」と手を振りあった。
後で写真を見返したらまるで「いつめんでバンジー笑 大輝まじ叫び声うるさすぎな笑笑」みたいな馴染み様だった。繰り返すが全員初対面だし、大輝なる人物は存在しない。

私たちが解散する頃には次の時間のグループが来ていたが、生まれて初めてバンジー飛んだマウントを取れた(脳内で)。取るな。
が、ここは日本でバンジージャンプができる場所の中でも比較的高度が低い。先に挙げた200mの岐阜バンジーを飛ばないと真のバンジーマウントは取れないのだ。取るな。割引券を貰ったし、今回の4倍の高さから落ちる気分を味わってみたいが、それでもやはり高額なので上下左右天地ドン詰まりの人生ヤケっぱちになったら行こうと思う。

運転手さんは帰りも小粋なトークで私たちを和ませてくれ、帰りの清算は端数をオマケしてくれた。本当にこの運転手さんのタクシーを引き当てて良かったねえと言い合い、帰路につく。

友人撮影。真っ逆さまに落ちてDesire


とにもかくにも、私はバンジージャンプを飛んだ。スピッツが愛してるの響きだけで強くなれたように、私も「バンジー飛んだことあるよ」の実績だけでほんの少し強くなれたような気がした。

一連の写真を家族に送ると、「生還オメ」「やんちゃだね」「やだあ」等のリアクションが返って来た。もうちょっとなんかこう、あるだろ。


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