映画とLGBTQと🏳️‍🌈人生の模様とか。

映画の面白さに目覚めて息をするみたいに映画を見漁る癖が付いたのは中学2年生の頃から。
当時同じクラスだった女の子が「ローマの休日」と「風と共に去りぬ」のビデオを貸してくれたのがキッカケで古い映画、特に白黒映画に嵌った。“カラーなんて逆にダサい”と時代に思いっきり逆行して白黒映画しか観ない時期もあったけれど、徐々に広く様々な映画を観るようになった。あの頃に観た秀作のハリウッド映画はもちろん、中国映画やフランス映画やたとえばスウェーデン映画「夏の夜は三度微笑む」（タイトルが好きだ）のようなニッチで奥深い名作に触れることができたのは、その後を生きる上での大きな財産になった。

ドイツに来て育児真っ只中の10年ちょっとは映画をほとんど観なかったが、4年前から動画配信サービスでまたドシドシ観るようになった。
Netflixに入った理由は「全裸監督」が観たかったからで、たぶんあのドラマがなかったら思い切れなかったと思うので、いろいろな意味で感謝している。全裸監督については、書き始めるときりが無くなりそうなので「素晴らしかった」とだけ明記しておく。このドラマを観るためだけにNetflix入りした自分は正しかった、という確信が揺るがないくらい。

韓国ドラマも好きだけど長い物語が延々と続く（1話60分が24回とか...）ので完結するのに3か月くらいかかっている。見始めと見終わりの季節が２つくらい違っていてある意味感慨深い。
そんな私が最近、サクッと観れて気分転換にもなるドラマを見つけた。

「ブラックミラー」というドラマ。

｢ブラック･ミラー｣が世界でヒットした理由

今更ながらな結構な歴史ある英国発のドラマで、1話完結。シーズン6まで出ていて27話あるのだが、エミー賞を受賞している物語が２つある。

「サン・ジュニペロ」を観た時は全く前知識もなくもちろんエミー賞を受賞した作品ということも知らなかった。（知らずに観れてよかった）
短編映画に分類されるだろう長さだが、余韻というか映画の世界観が、時折生活の中で鮮やかに蘇えるほどで “あぁ本当にいい映画だったなぁ”としみじみとする。

小説もそうだけど、読んでいる観ている時は確かに面白いのに、終わってしまうと何も心に残っていない本や映画というのは結構多い。
(大半はソッチに分類されるかも)
思い出せないと心の中で反芻できないし深めることができない。
本とは違って映画は、最初の20分で面白くなければ大抵はその後もずっと退屈なのは正しい見極めだと思っている。

「サン・ジュニペロ」に戻るが、主人公は女性2人で同性愛の話なんだけど、むしろ異性カップルよりもダイレクトに響いた。
私自身はヘテロセクシャルだと思って生きて来たが、6歳の頃に好きになった子が女の子だった。
その年齢にして「絶対にこの感情はまずい」という自覚があって、好きだと思う気持ちに葛藤していた。葛藤しているうちに段々とその子への想いは消えていき、同時に深く安堵したことも憶えていて、原体験としては割と鮮烈だった。
（因みに初恋ではなかった。初恋は同じ保育園の男の子で今も交流がある）

人生の節々で“もしかして同性もいけるかも...”と思う瞬間があったし、アプローチされかけた事もあった。6歳の時以来、自分から同性を好きになった経験はないけど、無意識に「異性しか対象に入れないセンサー」は強く有るのかも知れない。人間、未知な世界に入るのは怖いものだ。（入ったら出れなくなりそうでコワイ）

そういえば少し前に、息子達と夕食時になんだかバイセクシャルの話しになった事があった。
そういう話も性教育の一貫と考え、子供とは常々オープンに話す様にしてるし、看護師で助産師の勉強もしたので性についての話は本当に抵抗がない。

「結局、バイセクシャルの人が一番人生愉しいだろうね」

「そうだよね、出逢う人全員スキになれる可能性あるもんね」

「可能性ばっかりやんね」

長男と生き生きと話していたが、ハッと次男（11歳直前）の存在に気がついた。隣で何も言わずにご飯を食べている。さすがにちょっと早かったかな？

「ねぇ...はるちゃんはどこまで分かってるの？」

やや遠慮気味に尋ねると、

「ぜんぶわかってるわぁ！」

と、間髪入れず返ってきた。
そうか、もう全部分かっているのか...。

ドイツの性教育は早く、小4時点でかなり正確に学校で教えられるし、小4で小学校が終わり上の学校に進学するとコンドームの使い方をバナナ持参で教えてくれる学校もあると聞いた。

「理解」を変な順で書いている。
アザラシが大好きで、
アイコンもアザラシのくせに...
もうキミは色々理解してるんだね....

その次男も先週、11歳になった。

誕生日に学校に持参するためのマフィンを早朝に作った。長女も長男も夏休みに誕生日を迎えるので、彼等にマフィンを持たしたことは数回しかない。一人くらい希望する年齢までは早起きの一つもして作ってあげても良いな、と思う。
ドイツのこの“祝われる人が持参するシステム”は合理的で良いな、と感じる。

前の記事にも書いたアナスタシアから、誕生日プレゼントをしっかり貰って帰って来た。彼がアザラシフリークだとちゃんと知って選んでいる所に彼女の想いが伝わってくる。
冷やかしたい母に「た、だ、の、トモダチだから！」と息子はクールだけど、小1の時に3歳も歳上の東欧ガールを好きになったこと。夜、ベッドの中で、恋心でシクシク泣いていたのを忘れないわよ。
なかなかのセクシーな感じのませた、ややアバズレ系女子だったので（死語だし差別用語か...）その子を好きと聞いた時はヒヤッとした。
もしあの子が好きなタイプの原型だったら彼の今後はかなり波乱だし苦労する様に思う。
そういう苦労（女難）も含めて人生だから何も言うつもりはないけど、ついつい「気をつけた方がいいよ」と口に出してしまった 笑
“何を気をつけるんだ” と自分にツッコミを入れたくなるが、もう少し大きくなったら母の体験など色々教えてあげよう。
(早く生まれた者の義務として後学にしてくれたら本望)

早朝のマフィン24個
午後にももう一度焼いた

左がアナスタシアからのプレゼント
右がその4日後がお誕生日だという
彼女のために買った猫のクッション

子供らに「もし僕らの誰かが、男の子が好き（娘なら女の子）とか言ったらどうする？」と聞かれたが、私の答えはいつも決まっている。

「男でも女でもどこの国の人でもいいよ。君達を大事にして一番に愛してくれる人なら」


それは実は恋愛至上主義を自称する私の母の受け売りなんだけど、私も若い頃に母からそう言われた時は結構なショック(良い意味で)でとても印象に残っている。
30年以上前にキッパリそう言い切る母はカッコ良かったし、変人の父となんだかんだ有りながら連れ添っているのも彼女のこのポリシー所以なんだと思う。

私も、夫が不倫をし結婚生活が壊れたことは予想外だったし、別れを選択するにしてもやっぱり人として違うやり方もあったろうと、そこへは否定的だけど、でも人を好きになることは良いことだと思う。
noteを始めたのは、元夫とのことを書きたい、というのが一番にあったけれど、最近本当にもういいなぁと思える様になった。“赦す”ことにも段階があるのだとしたら、最終段階に居る気がする。
赦すというのは自分も含めてという意味で。
不倫が発覚したちょうど5年前には想像も出来なかった心模様だ。
またそういう事もゆっくり書いて行きたいなぁと思うし、質問があれば遠慮なくコメントを頂けたらと思う。（不倫の諸々話は巷に溢れているが、された側の心情について中長期で書かれたものは非常に少ないと思う。でも知りたい人は結構いる気がする）

「サン・ジュニペロ」は人生のそういう時期に観た映画だったからか、心が浸るような鮮やかで自由で美しい物語だった。そして“あぁ映画ってやっぱりいいな”と思わせてくれた。

ありがとう、映画 🎬

映画の中のワンシーンの様だった
そんな風に見ている人がいたことを
彼等は知らないだろう
私たちの人生も、もしかしたら何処かで
観客が見ているのかも知れない
だったら誰かがウットリしたり、ワクワクしたり、
楽しんだり泣いてくれたりする人生劇がいいな