マーケティングリサーチとデザインリサーチの違い。
マーケティングリサーチとデザインリサーチは似て非なるモノです。
整理の意味も込めて、相違点を書き出してみます。
目的について
マーケティングリサーチ:
市場や消費者に関する情報を収集し分析します。市場の需要やトレンド、競合情報、消費者の態度や行動など、製品やサービスを改善させるための情報収集を目的となります。デザインリサーチ:
製品やサービスのデザイン、UX(ユーザーエクスペリエンス)、ユーザビリティ、デザインに焦点を当てます。デザインプロセスを向上させ、ユーザーが製品やサービスに新たなイノベーションを起こすことが目的です。
ターゲットについて
マーケティングリサーチ
市場、競合他社、顧客、販売チャネルなど、ビジネスや製品に関連する広範な要因を対象とします。顕在化している情報や潜在的な情報をあぶり出し、仮設立てしていきます。デザインリサーチ
主に製品やサービスのデザイン、UI(ユーザーインターフェース)、ユーザビリティに焦点を当て、ユーザーすら認識していないニーズを洞察していきます。
さらに、おもしろいのはペルソナなどターゲットだけでなくエクストリームユーザーにも注目するのがポイントです。埋もれていたり、隠れていたり、気付けていない市場やニーズの発見がイノベーションにつながります。
方法について
マーケティングリサーチ
定量的、統計データを多用し、アンケート、調査、市場分析、データ収集などを通じてデータを収集し、分析します。デザインリサーチ
定性的な方法を頻繁に使用し、ユーザーインタビューやフィールドスタディ、プロトタイピング、ユーザーテストなど人を洞察して課題を特定し、課題解決策を見つけます。
タイミングについて
マーケティングリサーチ
市場投入前や新製品の立ち上げ前に実施されることが一般的です。デザインリサーチ
デザインプロセス中に継続的に行われ、製品やサービスの開発および改善に対してリアルタイムでフィードバックを提供します。
判断材料について
マーケティングリサーチ
調査レポートや論文などエビデンスを踏まえて判断するケースが多い印象です。デザインリサーチ
体験価値を重視します。自分の眼で見る、耳で聞く、感じるなど自身の体験を踏まえて判断していくことを大事にしています。
今回は、マーケティングリサーチとデザインリサーチについて整理してみました。
現代は、消費者の価値観や生活様式も多様化しています。
ペルソナはもちろん、ターゲット設定すら一本化できにくい消費行動になっています。
従来のマーケティングリサーチだけでは、現状の延長線上にある市場ニーズの分析や予測にしか効果が期待できない可能性があります。未来の不確実な事象や私たちだけでなく消費者ですら気付いていない市場ニーズの創出、新しいイノベーションを創造していくには、デザインリサーチにより社会課題を踏まえた問いを定義し未来洞察していく事が求められます。
マーケティングリサーチとデザインリサーチは、製品やサービスの成功に貢献するために協力し、相補的なアプローチとして使用されることがあります。市場リサーチからのデータはデザインリサーチに役立ち、デザインリサーチの結果はマーケティング戦略に反映されることがあります。お互いに良い影響を与えられるのが理想的だと思います。