イケる?ホンダ原付MBX50で夏の北海道のヘソ・ツーリングへ(withXA-Ⅱ)
まだ、TVドラマ北の国からが大ブームだった1980年代、会社の駐車場の都合から手に入れた50ccバイクがホンダの2ストローク・スポーツ車のMBX50でした。
5速ミッションでタコメーターが並ぶ計器類はちょっとした上級車並みの質感。納車のあとすぐ、近所を走り回ってクラッチを握っての変速操作が嬉しくてたまらなかった一日をおもいだす。
車体も大柄で、シートもゆったり、これなら長距離ツーリングも行けそうだ!と翌々週くらいの夏休みには速攻で苫小牧行きフェリーの船上にいました。
当時のダイヤで夕刻に北海道上陸。札幌までの国道は平均スポードも速く、30km・hで路肩は恐怖を感じる・・・・・位のスリル。あの頃人気のMBX50だったとはいえ、出力を抑えられた規制対応型、でも4輪車の法定速度までなら速度差なく巡行できるスペック・・・・走っていると寒冷前線の真下を通過したからか,気温はどんどん低下。札幌に近づく頃には10℃近くも下がってきました。とりわけ軽装だった下半身には堪える。ホテル迄はひたすら我慢!でも有名な札幌五輪のジャンプ台だけは寄り道して夜景も堪能出来ました。
2日目は国道12号を一路北上し日本一長い29.2kmの直線路とやらを攻略します。国鉄を跨ぐ跨線橋を渡るとそのあたりがスタートのはず。でも目の前に広がるのは北海道にありがちな平たい市街地の繰り返し。交差点もフツーに信号や右折車線があって、想像していた様な直線がどこまでも続く光景は見えない。まあドローンのない時代だからヘリに乗るか鳥にでも生まれ変わらにゃ確かめようがない光景かも。
たしかにカーブは無くいつのまにか直線路も終わったらしく直線路のどこかを走っているらしい。と言うのもGPS衛星が飛び始める数年前だから地名と地図だけが頼りで正解かどうかは目的地迄ナゾ。実がこれが難行苦行の元なわけで・・・・
計画では 滝川から根室本線沿いに富良野を素直に目指すより、手前の砂川か歌志内の先の辺りで東にショートカットすれば多少の近道、のはず。でもどこで右折すべきか正確なポイントが分からないし案内板もない。地図と地名を頼りに大体この辺だろうと思ったところに右折出来る道を発見。東に延びる支線のレールもあるから多分間違いは無いはず、と思いつつ進んでいくと道はだんだん細くなり、山道を登って遂にはダートロードになってしまった。太陽の向きと勘では方向だけは間違いなさそう。引き返すのは勿体無いと、初めて砂利道をオンロード・バイクで走ります。滑る滑る、下手にブレーキ掛けたらロックして転倒しそう!でもノーブレーキじゃスピードは増すばかり!既にサミットを越えて下りに突入していたのです。
これが原付じゃなくて大きな車体のバイクなら躊躇なくUターンしただろうけど、そこは軽量が取り柄の原付バイク。騙し騙し車体を抑え込んで、購入後最大のピンチをなんとか切り抜けた。
想定になかったヒヤヒヤのスリルを味わって何とかして舗装路に到達!そこには赤い鉄橋を渡る根室本線の線路が?でも地図の位置関係からすると、こんなところに根室本線があるはずがない・・・・謎のレールの正体は?
現在でも正解は謎ですが、どうやら廃線跡だった様です。根室本線の南側を走っている筈なので、廃止された三井芦別鉄道の路線だったと思われ、赤い鉄橋は今も絶景とマーキングされている炭山川橋梁の様です。と分かったのはのちのこと。どうも根室本線ではない様子・・・・・と迷いつつもやがては本当の根室本線に合流、一路富良野方面を目指します。
一般路のスピードに圧倒された千歳近郊とは違い、交通量も少ない一本道を安心して定速走行。原付の制限速度で、景色を眺めまわしながらのんびりと走る解放感は、重量級のバイクに要する緊張感とは全く別のもの。速度計とタコメーターの針を真ん中あたりに据え置いて、富良野線の線路と並行する道を南下してゆきます。
前に列車で来た時の印象的な風景に再会し、北海道らしい直線路を見つけては何度もシャッターを切りながら、美瑛を横目に目指すラベンダー畑へと向かいます。ちょうど7月後半はラベンダーの見ごろのはずなのに、国鉄各駅のPRポスターの様な光景はなかなか見つからず、小高い丘の中腹にようやくそれらしき場所を見つけたので、とりあえずはまた証拠写真
次の目的地は黒板五郎の丸太小屋
富良野の市街地からは意外にも離れた場所にある麓郷という場所が舞台の「北の国から」のドラマではスペシャル版の中で焼失した設定の丸太小屋ながら、燃えてしまったのはは5/8サイズの模型の方、ホンモノはちゃんと存在していました。
すっかり人気観光地になっていた小屋前の広場にはアコギのBGMが心地よく流れて北の国からのオープニングの雰囲気にどっぷり浸かってみる。ここで一昼夜過ごしてもいいくらい。明るいうちに富良野スキー場を見上げる坂道を宿泊先のペンションに向かいます。
ディナーの合間に倉本聰先生の愛車の話や真冬のカーライフなど、オタクな話に花が咲く。倉本先生の大好物は棒についたアイスクリームだとかで、しばしば買いに訪れるのだとか。もちろん愛車は今も変わらぬ姿のゴツイ四駆。氷点下30度にまで下がる朝のエンジン始動方法とか沢山秘伝を受けました。
三日目は日勝峠を越えて一路日高路へ・・・・・