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【インプレッション】VW渾身のEVに乗ってみた


東京ミッドタウン六本木

  フォルクスワーゲンが全国主要都市を巡っているID.4のPRイベント
早速会場へ急行。幸運にも試乗予約が取れました。

白いID4はいわゆるSUVのカテゴリー、日産ならAryaに近い感じのサイズ感。
ドア・ハンドルに手を伸ばすと、そこには手元を照らす照明が!内装も然りで人工皮革をつかった高級感溢れる仕上がり。これでVWのマーク?と微かな違和感・・・・・

そう、ワーゲンは遠い昔手の届きそうな大衆の車だった。コロナやブルーバードの価格と数万円違いで輸入車のカブトムシが買えた時代もあったのだ。スバルFFー1/1300Gともほぼ同額レベル。で、空冷リアエンジンか水冷前輪駆動の大衆車かチョイスできた・・・・・そんな輸入車のベストセラーもゴルフに取って代わられ、そのポジションはしっかりと受け継がれた・・・・・・・のも今は昔。

最近のゴルフはとにかく、豪華で高性能ぶりが目立ってきた、と誰もが思っているだろう。ポロやルポといった格下にベーシックカーの立場を譲り、ゴルフはもはやプレミアムコンパクトとも言えそうな位置にいる。

昔のカローラ店だったら、カムリやチェイサー(一部)という上級移行の受け皿を用意していたところ。ワーゲンのラインナップにはグループ内にアウディという上級車があるものの、プレミアム・コンパクトと呼ばれる3シリーズやCクラスといったライバルがひしめいている。

ゴルフからの上級移行を自社内にとどめておくには、ライバルたちに引けを取らない有力なプレミアムを用意しなければならない。おそらくゴルフにはそんな悩みがあったことだろう。6気筒モデルを用意したり、GTIを超える高性能モデルを追加してもそれは限られた顧客を満足させるに過ぎなかった。

・・・・さて、IDのドアハンドルに手をかけたところだった・・・・

乗り込みやすい高さの運転席に座り、ブレーキペダルを踏んだ瞬間、クルマはリモコン・キーと座面センサー、ブレーキペダル踏み込みを感知してイグニッション・オンの状態に自動で移行する。つまりハンドルコラムにあるON・OFFスイッチに触れることはなく、いきなりセレクターをDに打ち込むだけでクルマは前進を始めることができる。あなたがジェームス・ボンドかイーサン・ハントなら席についてブレーキにタッチした次の刹那、全力でダッシュ・スタートできることになる。ドアは閉めてから・・・・


ただし、シフトセレクターの場所だけは探し回ることのないように。右ハンドル車でも右の中指を斜め上に伸ばしたあたり、小ぶりなメーターなセルの左の端にある平べったい突起がシフトレバーなのだ。その先がテレビのチャンネルみたいに左右(実際の向きは前後方向)に動かせる。中央がN・ニュートラル。前に倒すとDとB(回生強め)の繰り返し。手前にひく(後方に倒す)とリバース。パーキングは先端をコラム軸方向に押し込む動作で、サイドブレーキも兼用。パーキングとサイドブレーキは同義と考えているらしい。

コクピット・ドリルはこの辺で切り上げて、早速路上に乗り出そう。EVならではの力強いダッシュ力はもう、カタログデータを云々する必要はない。街中では十分すぎるトルクとレスポンスを感じさせてくれる。

上下に幅広く調整できる運転席を座高高めの私のために最低位置にセット。目線はかなり低くなった、けれどフェンダーの峰はやはり乗用車並みとはいかず、並のSUVくらいの高さはあるので、死角もそれなりにあることを理解したい。

試乗車

運転中気になることはと言えばこのフェンダーの峰の高さくらいでSUVユーザーなら先刻ご承知の案件。あらかじめ注意するのは左指でウィンカーレバーを操作することぐらいだろうか・・・・・・ニコンのカメラ並みにワイパーレバーと機能入れ替えができればいいのに

試乗を終えてからデータを見て驚いたことには、このVW、車両重量が2トンを超える大物だったこと。バッテリー軽めのバージョンもあるが、それでも1900kg台。軽快に走らせるのにそれなりのパワーは必然だった。重量税支払いの時まではこの数字は忘れていいかもしれない。

さて、電気で走る車の最大の関心事は航続距離。必要十分と計器盤の数字は訴えている。試乗した時点で60km走行し、まだ名古屋の先まで走れる数字を示していたから素直に信じれば行動半径は400km以上。
ただ平均消費で見ると10km走るのにほぼ3kw費やしている。冷房をかけ通しで待機していたであろうことは割り引いて考えても東名ならば静岡・牧之原の先まできたらお茶と次の充電器が欲しくなってくるはず。

6時間電源を入れ60kmを平均時速10kmで走行した電費が3,2

走行中、もっとリアルタイムの消費量が知りたくて、たった一つkwあたりの走行キロを表示してくれる数字をみつけたがタイムラグが大きい上に、瞬間的にコロコロ変わる数字を見ながらではとても運転出来る代物ではなかった。瞬間的に三つの数字の平均値が暗算できる強者なら挑戦して欲しいものだ。

つまり、電費は運転を終えるまでわからない。じぶんの消費の傾向を知ろうとしても無理な相談なのだ。タコメーターのような、エンジンの負荷状態を瞬時に知る術はないと思ったほうがいい。そういう興味がない客にはかえって好都合だったとしても。だからGTIを好んで乗り継いできたゴルフオーナーに勧めるのは・・・・一つだけ嬉しい誤算はこの車、後輪駆動であること。もしもスタッドレス装着の試乗車があったら雪上で試乗してみたい!

車のキャラクターはさておき、これでゴルフの上級移行を受け止める受け皿がとりあえず揃った?いや本命はより新しいID.3の方らしい。サイズも一回り小さく車重も軽い。これならゴルフとのギャップも縮まり、乗り換えに躊躇することも少ないだろう。価格次第だが・・・・


ただし残念ながらこの電気ゴルフ(?)ID.3は当面欧州市場向け、日本には上陸しないらしい。ハッチバックを車と認めたがらない中国にも然りである。ここにはリーフをはじめテスラ3も待ち受ける。正面対決を避けたのはさらに奥の手があってのことだろうか????


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