とっととドローン操縦ライセンスをとりたいアナタに教える、やさしい航空入門
ドローン、って呼び名もすっかり定着しましたね。私が初めて見たのは十年ちょっと前のホビーショー会場でしたか・・・最初は不安定な飛び方と難しそうな操縦に興味が湧きませんでした。が、今は違います。普及機種にはどれもGPSを含め、ジンバルやジャイロ、対物測距等が装備されており、宇宙ロケットと同じくらい贅沢なスペックも普通です。
ところが、いま日本国内でドローンを飛ばす為にはオモチャ風でも一機づつ機体登録をしたうえで車のナンバープレートに相当するIDの発信機能をつけなければなりません。しかも、今年12月からは国家資格として操縦ライセンス制度が発効し、例えお仕事や趣味でも沢山の申請や承認作業が必要になってきます。(2022年6月末時点で100グラム未満のおもちゃはこの限りではありません)
つまり、ネット広告につられて買ってきた、たった195gのドローンでも自家用ジェット・ヘリでも、機体に登録ナンバーが表示され、ID信号を発信しながら飛ばないと原付バイクにナンバープレートを付けずに無免許で運転したのと同じように警察庁の施行した小型無人機等飛行禁止法に依って裁かれてしまいます。(悪くすると懲役1年、罰金50万円のお支払いで、さる宿泊施設強制ご招待も)
なので、いち早くドローンの操縦ライセンス取得に向けて準備を始めるべくドローンのスクールに参加してきました。
カリキュラムの最後を締めくくるのは実技試験です。自動車学校でいうところの卒業検定。ちなみに、学科試験にパスしないと実技を受けられないので予習も怠りなく!座学にも全体の半分近い時間が費やされます。
さあ、軽井沢カーリング場近くにある充分すぎるほど広い人工芝のグラウンドを貸切で、いよいよ実技試験の開始です。周囲には照明灯の高さまでネットが貼られ、万が一にも水平に飛び出す心配はありません。
ちなみに小型とはいえ航空局の定める各種法規に準拠した試験なので、例えばセスナのような小型機の飛行手順にとても良く似ています。とにかくチェック・リストの繰り返し。これは実物の旅客機でも同様で車輪が1ミリでも動き出す前の離陸前タキシングに各種チェックと管制官のクリアランスが必要な所などほぼそっくり。管轄が航空局なので小型機の試験項目と似ているのも納得。セスナのライセンス気分です。
天候、風、日照や飛行ルートの障害物の有無を確認。日没時間の確認や降水確率、天気予報位は調べて当然です(エアラインならディスパッチャーがやってくれますが)
機体の傍に近寄って電源を・・・・・入れる前にもまた、チェック・リストです。外観やローター・ブレードの損傷の有無、カメラ・ジンバルの状態確認・・・・・これは機長が出発前にぐるりと737やエアバスの外観を目視で確認して来るのと同様です。
さあ、操縦かんを手にいよいよパワーを入れ・・・・・る前に機体の電源は先に送信機からの電波が飛んでいないと入れられないのがルール。順序を間違えれば減点、どの項目も悪くすれば試験中止です。機長が計器類に各種データを打ち込むように、送信機の画面で自動帰還システムの経路設定やバッテリー温度の状況確認、各種モード類の設定・確認を重ねます。旅客機ならシートベルトサインやドア開閉の確認・・・・これは無人機には存在しません。しかしまだ、ローターは回っていません。
離陸の準備ができたらいよいよ機体の傍から離れます。離陸の前にもう一度周囲の安全確認、教習所でうるさく言われた左右首振り・ミラー確認と同様です。
では、エンジン始動(いやドローンだからモーター始動です)
今回使用した機体はAUTEL社のEVOⅡという注目機種。ジンバル搭載の8kカメラでは映画の撮影も出来てしまいそうで、おまけに機体のあちこちに測距用(衝突防止)のためのカメラ・センサーがいくつも並びます。アイドリング回転で回るローターに鞭を入れ、いよいよ離陸の瞬間!
・・・・・を前に試験官から離陸の許可(指示)を仰がねばなりません(ここ試験に出ます。というか必須です)旅客機がプッシュ・バックやタキシングを前にいちいち管制官にクリアランスを貰ってから次のアクションに移るのと全く同じです。テイク・オフを宣言したら操縦かんをじんわりと上に押してゆっくりと浮上させます。ヘリコプターのタキシングもこれと同じで、ランプウェイを浮上しながら移動していきます。
羽田でも花巻空港でもタキシング中に旅客機の舵が左右上下にパタパタ動いているのを見たことがあるでしょうか?トリム・チェックといって舵の効きを確かめる重要なチェック項目です。これも試験のうち、合格後にも必須項目です。
出発前、離陸前、タキシング中と幾重ものチェック項目がありますが、これでも旅客機のチェック・リストに比べれば微々たるもの。でも暗記は全く必要なく、手元のリストを見ながら一つでも漏れがないよう、確認が求められます。大切なのは、都度安全を確認したかどうか。技巧よりも確実な運航を実行しているかどうか?坂道発進もなく、エンストの恐怖とは無縁です。
発進の準備ができたら最初の運航ルートが指示されます。管制官からのクリアランスのつもりで声に出して復唱します。
さあ、いよいよ操縦桿を倒した反対側のローターの推力が上がり、機体は望む方向に動き始めます・・・・・・
(この項続く)
参考までに人気フライトシミュレーターのYoutuber「なちなちさん」の動画がとても勉強になりました。もちろん本物のライン・パイロットがお友達にいればとても心強いでしょう。セスナのライセンスを狙う人にも大変参考になると思いますが・・・・・