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女子にもわかりやすいクルマメカ解説

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クルマはなぜ動く?どうやって曲がる?どうやって止まる?自動運転のどこが自動なのか?理系は苦手!な人にも是非理解してしてほしいクルマの基本メカニズム。文章だけでは伝わりにくいかもし…
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#やさしいクルマメカ解説

気持ちがイイのは名機だからなの?昭和の名エンジン列伝

いったいエンジンのどんな性格をもって、名機と称するのか?

最高出力?加速レスポンス?熱効率の高さ?販売実績?燃費?さらには目に見えない指標のもう一つに排気ガスのクリーンさ、二酸化炭素排出量なんて項目も評価基準に・・・・・

でも、実感できるエンジン性能といえば高回転まで回るスムーズさとそこで発揮されるパワー、アクセルを踏み込んだ際に感じるレスポンスの良し悪し。昭和の半ばすぎ、まだ大半のエンジンの

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日産の新型EVに新機軸はARIYAや無しや?

日産の新型EVに新機軸はARIYAや無しや?

リーフに続く本格量産タイプのEVで、モーターから白紙開発されたARIYA、ただのSUVタイプの新顔では無かった!

よくよく見て見ると日産EVの第二フェーズとも言える新機軸が織り込まれていた.その最大の切り札は電磁コイル/ローターを使った(巻線界磁型)交流電磁同期モーターを新開発した事にある。

リーフもe-パワーのノートにしてもローターには永久磁石を使った交流同期モーターだった。小学校で組み立て

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軽四マニュアル車絶滅への道

軽四マニュアル車絶滅への道

ダイハツハイゼットと言えば軽四輪商用車の老舗

スズキアルトと並んで軽四輪の主軸をなす基幹車種である事はミゼットの昔から変わらない。梯子型フレームに進行方向に縦置きされたエンジンがプロペラシャフトを回して後輪を駆動するのも100年来続いている古典的方法。

そのやり方を引き継いだままハイゼットのバン系車種がモデルチェンジされた。注目したいのはそのトランスミッション。ここにもCVT化の波が押し寄せた

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リングと言っても怖くないピストンの話

リングと言っても怖くないピストンの話

高速で往復運動するピストンとシリンダーは毎秒10mもの速さで擦れあっています。エンジンオイルで常時潤滑してやらないとあっと言う間に両者は焼き付きを起こし、エンジンは大破しかねません。ピストンのみならず、コネクティング・ロッドやクランク軸との接続部、カムシャフトを支える部分も潤滑無しには回せません。

小型車だとシリンダー一本あたり1リットルのオイルが循環しています。4気筒ならほぼ4リッター。一部を

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世は等しからずや

世は等しからずや

モーターやエンジンの回転は変速機を経ていよいよ車軸へ…、行く前にもう一段減速が待ち受けています。そして左右の車輪へ…、いや直進はいいとしてカーブではどうするのか?トラックの様な後輪駆動はまだしも左右に首を振る前輪を駆動するFFや四駆だと車軸ごと向きを変える訳にはいきません。

その前に内輪差の問題もあります。右と左のタイヤでは陸上競技のコース同様辿る距離が違って来ます。つまり左右で回転数に差が生じ

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試験中止は絶滅か?

試験中止は絶滅か?

シリンダー内で爆発した混合気はピストンをものすごい力で押し下げ、クランク軸を回すことで爆発力は回転力に変換されました。電気モーターなら、回転はすぐさま減速ギアに繫がれ、車軸の先のタイヤを回しますが、エンジンだとちょっと厄介です。

ところで教習所で半クラッチを習得する生徒って今どれくらいいるんでしょうか?ガソリン車ゼロ化をめざすわが国では、マニュアル免許教習そのものがいずれ存亡の危機に立たされます

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偉大なる第一号車はHONDAの……

クルマとは遠からず深い縁の二輪車、とりわけバイクの駆動系に注目してみます。
1976年のホンダロードパル発売はその後のバイク人口増加の端緒とも考えられる日本のバイク史の上でも記念碑的な、そして新大陸発見の様な重要な意味を持っています。

まず女性が乗りやすい車体を目指して小径タイヤと低いフレーム、それに何より始動が楽なようにキックスターターをゼンマイ式にして、脚力が弱くてもゆっくり何度か踏み込んで

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衝撃吸収バンパーが変えた顔

旧いアルファロメオやスカイラインGTーBなどがレースに出る時は重く頑丈なバンパーを取り外すだけでスポーティーな速そうな佇まいに変身しました。が、今のクルマで真似することは出来ません。

1970年代,ポルシェ911の顔立ちが大きく変わったのを覚えている人はどのくらいいるでしょう?ポンティアック・ファイアーバードもシボレー・カマロもバンパー・レスの彫りの深かったフロントグリルがバンパーで上下に分割さ

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日本車ターボ過給競争史

日本車ターボ過給競争史

1970年代,欧米車にはターボチャージャーで吸気を過給し大幅に出力アップさせるクルマが出始めます。その嚆矢はBMWやサーブにポルシェ930と言った小型車でした。

日本車で最初のターボは日産セドリック、グロリアのやや大ぶりなセダンに搭載されて登場しました。高性能車というよりは度重なる排気ガス規制で失われたパワフルさを取り戻す為という印象で出力も145馬力と控えめな数字です。しかし最大トルクで見てみ

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(昭和のうちに)みんな前へ〜倣え

昭和50年代の国産車はオイルショックを生き抜き厳しい排気ガス規制も乗り越えて世界に並ぶクオリティ獲得に躍起となっていました。その大改革の柱となったのがFF化。前輪駆動方式への転換でした。

スバルやシビックは当初からFFでしたが、大衆車クラスから2リッターまで、各社相次ぎプロペラシャフトがなく軽量化と室内拡大が図れるFFを取り入れます。お手本としたFFには幾つかの方法論があって英国ミニの二階建て方

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寝る?たたむ?シートと○は使いよう

寝る?たたむ?シートと○は使いよう

昭和52年に発売されたスカイラインの新型、ジャパン世代の大きなセールスポイントの一つはフル・フラットになる前席でした。
運転席のやや大きめのヘッドレストを外し、一番前までスライドさせて目いっぱいリクライニングさせると後席(座面)の前端と繋がり、フラットな仮眠スペースが生まれる!というもの。
それ以前にもフラットに出来る機構はありましたがリアシートの背もたれを手前に引き起こして(肩の上を支点にして)

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じっくり腰を下ろしてシートを考える

クルマをコントロールするデバイスのステアリング・ハンドル、各ペダルにシフト・レバー、ここまではすぐに思いつきますが体を委ねているシートだって重要なデバイスです。

高価なシートに交換するのはそれなりに理由があるからです。
毎回数十分程度のチョイ乗りが主体なら良し悪しは分かりづらいかも知れません。しかし長距離走行や長時間座ることを常としている人には時として死活問題でもあります。

私も年に数回は東名

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ブレーキペダルは左?中央?右足で?

アクセルとブレーキの踏み間違え。オートマチック車が日本でも当たり前に普及してきたここ30年くらい、常に大きなニュースとして伝えられる運転ミスです。
そもそも加速と減速を同じ右足を踏み込む動作で区別しようというところが根本的な問題なのであり、この構造を解消しない限りはまだ悲劇は無くならないでしょう。

AT車の普及黎明期にはシフト・レバーの誤操作事故がよく起きました。ニュートラルからドライブに引いた

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脊椎動物の最終形?クルマメカ絶滅期

自動車の有史以来長い間続いてきた基本構造にハシゴ型フレームの前にエンジンを置き、後輪を駆動するオーソドックスな方法をとり続けているのは今や大型トラックと高級四輪駆動車,それに軽トラくらいのものになりました。

半世紀前,大阪万博の頃までは建設現場でボンネット・バスのように鼻先にエンジンを載せたボンネット・タイプの大型ダンプを見かける事が出来ました。やがて映画のトラック野郎シリーズがヒットする頃には

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