歳差運動2-⑮
「あなたのような主義主張する先生は、私初めてです!なんなんですか…キュウケイジカン休憩時間と、そんなに連呼するなら自分で休憩時間つくってください…そうね、子どもたちが帰った後に堂々と休憩するか…なんなら退勤してもらっても構いませんよ」
怒りを一気に吐き出すような口ぶりで、職員室は水を打ったように静まりかえった。 特に女の先生たちは震え上がった表情をしていた。 俺はというと、彼女の声のトーンが琴線にふれた瞬間に知らんぷりを決め込もうと眼鏡を外した。
「ああ…集会の件ね、週1回なんでしょ!それくらいなら子どものためだと思ってがんばってください!当たり前ですよね…」
教頭の方に流し目を送った。 教頭はもちろん頷いた。
「種田先生は前の発言もそうですが、職員会議をなんだと思っているんですか!こんなに混乱させて…よく考えてから発言してください…ん-、学校というのは職員が一枚岩にならなければいい教育はできませんよ…だから学校という組織の一員という自覚を持って他の先生たちと協力してください…できますか?そうしてくださいね………私からは以上です」
俺は完全黙秘的態度をとっていたが、天見校長の話はガンガンと嫌合なしに耳の奥に到達していた。すぐさま、めまいと吐き気がしてきた。 周りを薄目で確かめた。 ほとんどの職員はたった今あなたの派閥に入りますよという態度があからさまだった。長いものには巻かれろ、触らぬ神にたたりなし、って顔をしている。 さっきまで俺の応援に回ろうとしていた職員は完全に俺を見捨てた。
孤立無援になったのは明らかだった。
だが、ひとつだけ収穫があった。
それは…
続く~