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「コロナワクチン接種」に同行した話

 ワクチン接種を予約して、同行もすることになった。

 歩いていける病院、という希望にそうように、6月1日は、朝からサイトに入って、何とか予約も出来たのだけど、ワクチンを接種する今日まで、不安が大きかった、ということを聞いた。

ワクチン接種までの不安

 ワクチン接種をする本人は、なんだか体調が悪くなって、それは本当に悪くなった部分もあるのだけど、それが治ったとしても、何だか妙に不安のせいか体調がよくないように感じ、それが、1週間くらい続いた、という。

 ワクチン接種ができるのか。できないのか。
 場合によって、体調によって、キャンセルをした場合、私に予約を頼んだりしているので、また依頼することになるのは、そこでまた手数をかけてしまうことになるので、そんな思いによって、やっぱり負担になっていたらしい。

 もしも、予約制でなく、ワクチン接種を希望すれば、いつでもうてるような環境だったら、こんなに不安にさいなまれることはなかったはずなのに、と思う。

プレッシャー

 地元から歩いて15分くらい。

 歩くとすると、そこそこあるけれど、他の接種会場だと、電車に乗らないと行けない場所が少なくない。

 そうなると、高齢者ほど行くのが途端に面倒臭くなるだろうし、病院に行くのが、一仕事だった義母のことを思い出すが、あの時は、車イスでの移動だった。

 「こんなに不安になると思っていなかった。
  もっとワクチンくらい平気だと思っていた」。

 
 「今回、なんとかしないと、というプレッシャーがあった」。

 そんな話をしながら、病院へ向かう。途中にアジサイも咲いていて、少しピークを過ぎているものも目立つ。きれいに咲いている時間は短いことを改めて知る。

待合室

 予約時刻は、午後3時だけれど、届いた書類には、午後2時半くらいには来て欲しい、という注意書きのようなものがあったので、午後2時30分少し過ぎに病院に着く。

 このクリニックは、義母を連れてきていた場所でもあるけれど、亡くなった後、その報告と御礼を伝えるために来てからも、2年以上はたっていると思う。

 待合室は、少し暗く感じ、エアコンが入っているのと、広い道路に面しているせいか、窓は閉められている。

 すでに、一応は、「距離」をとって、5〜6人の人が待っている。
 当然だけど、全員、高齢者で、そうでない人は、付き添いだったりするのだろう。

 ツエの人も目立つ。

 窓口には、ビニールが吊り下げてある。そこで必要な書類を、見せている。

ゆっくりした時間

 問診票があり、そこの抜けている欄のことを、同行者は聞かれていて、「緊張のせいか、ちょっと今日まで体調が良くないので、どう書けばいいのか?」と言ったやりとりが聞こえてくる。検温をして、熱がないこともあり、大丈夫なことになっているようだった。

 『6月第2週からコロナワクチン接種が始まります。午後はワクチン接種優先になりますので、通常診療はその間になります。ご了承ください』。

 張り紙には、そんな言葉があって、ここに義母を連れてきていた頃だったら、色々な支障があったかもしれない、と思う。

 待っていると、入り口にツエをついた高齢者が入ってくる。

 みんなワクチン接種の人のように見える。

 午後2時50分になった。

 その間にも、名前を呼ばれて、奥の診察室がある方へ消えて、そして、少したったら、戻ってくるの繰り返しが、淡々と続いていた。

 ツエをついている人も少なくないし、付き添いが必要な人もいる。全体として、動きは早くない。

 ゆっくりした時間が流れているが、基本的に静かで、やや重い。

15分の時間

 名前が呼ばれ、立ち上がる高齢の女性。窓口で「15分経ちました。大丈夫ですか。これが二度目のクーポンと問診票です」という言葉が途切れ途切れに聞こえてくる。

 私たちは、午後2時35分にはここにいたけれど、まだ呼ばれない。

 午後2時57分。次に呼ばれた女性は、小さいショッピングカーに、かなり体重をかけて、進んでいった。
 
 午後3時。さっきまで、座っていたご夫婦らしき二人は、もう15分経ちました、とは言われていたようだったけど、まだしばらくいて、そして、立ち上がって出口から出ていった。

 待合室にあるテレビにはワイドショーが映っていて、ワクチン接種のニュースを流している。そこには注射する姿も映されているが、それを、ワクチン接種の現場の病院で、その注射を受ける人たちと一緒に見ているのは、ちょっと不思議な気持ちになる。

ワクチン接種

 午後3時9分
 30分待って、同行者の名前が呼ばれた。
 立ち上がって、診察室に向かっていった。

 その時、待合室のテレビ画面では、オリンピックによって感染のリスクがどれだけあるのか、という話をしていた。

 窓口でも人が呼ばれている。
 ツエをついた人が立ち上がって、15分たったことを告げられている。

 同行者は、3分後には、戻ってきた。

 診察室に入って、問診票を見て、確認をして、患部を揉まないこと。今日はお風呂は避けて、どうしてもの時はシャワーくらいにして欲しいこと。を医師から告げられた、という。
 それから、発熱の場合の薬をお願いして、ワクチン接種をして、すでに用意されていた発熱のための薬を、手渡されたそうだ。

 それは、今は薬局では不足気味になっているらしい。
 アセトアミノフェン。

青空

「打ててよかった。
 ほっとした。すごく」。

 同行者は、晴れやかな表情だった。

「こんなに、不安で、情けなかった」。

 これだけ、人を不安にさせるようなシステムは、やっぱり何とかしたほうがいいと思う。

 入り口から、高齢者女性と、明らかにプロの介護の専門家が付き添って、入ってきた。

 午後3時25分に、同行者の名前が窓口で呼ばれた。
 15分が経ちました。
 戻ってきた時から、考えると、まだ2分足りない、などと私は思っていた。

 少しだけ待って、出口から出た。

 空は青かった。

「本当に、ほっとした」。

 そんな言葉を、また聞いた。
 それだけ不安だったのを、改めて知った。

 こちらもほっとした。もしかしたら、キャンセルして、また予約することも考えていたので、ありがたかった。



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