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ラジオの記憶⑳TOKYO FM 「午後8時台の混乱」

 午後7時から夕食を食べ、午後8時台になると、台所で食器を洗っていることが多い。
 長く使っていたiPodが壊れてしまってから、非常時にも使える小ぶりなラジオをつけていることが多い。

「自室感」のある番組

 2022年の4月から新しい番組が始まっていたのだけど、その話し方のトーンで思い出したのが、この時間帯にやっていた色々な番組のことだ。
 
 考えたら、この3年ほど、この「TOKYO FM」平日午後8時の時間帯は、目まぐるしく番組が変わった印象があった。

ホメラニアン

 その混乱が始まったと個人的に感じたのは、2019年の4月からだった。唐突に違うカラーの番組が始まって、それは人によって違って感じるのだろうけど、私にとっては、とても甘く柔らかく思えた。ただ、少しの無理もあったよう聞こえていた。

“褒めていこう!”が番組のスローガンです。どんな些細なことでも、この番組では、全力でホメていきます。ホメラニアンは、あなたの味方です。1日が終わるすこし前の時間を、肩の力を抜いて一緒に過ごせたらと思っています。

 この番組の狙いは、とても伝わってきた。
 確かに、この通りのものだったと思う。

 だけど、ほめることは、まだ社会に根付いていないし、ほめる文化がない中では、パーソナリティにも荷が重いように感じ、かなり苦戦しているというか、不自然な空気を感じながら、9ヶ月後の12月に終わった。

 その後の番組も、似た空気感だった。だから、「ホメラニアン」が終わった理由も、リスナーにとっては、よく分からなかった。

 一日の仕事を終えて帰宅し、夕食を食べてほっと一息…自由な一方、ふと感じる静寂。自分の好きに過ごしたい、でも、誰かとつながっていたい。そんな東京の夜8時。寝る前の前の時間帯に、TOKYO FMのラジオが、それぞれのお部屋と、声でつながります。

 最初、「ねるまえのまえ」という番組タイトルが覚えられなかった。
 
 そして、どういう番組のカラーかはっきりとわかる前に(それは自分の理解不足もあるけれど)、3ヶ月後、2020年の3月に終わってしまった。

ニュース

 そして、2020年4月。すでにコロナ禍という言葉が一般的になってきた頃で、非常事態宣言が出され、緊張感に包まれていたから、そのときにニュース主体の番組が始まったのは、自然にも感じていた。

 SNS時代に氾濫する“フェイクニュース”の氾濫への対策として、“スローニュース”という概念に注目が集まっている。番組では毎日、あるテーマを深堀り取材するジャーナリストを呼ぶ。それぞれの取材を通じて得た知見をもとに、現代とシンクロさせ、現代で起こっている社会問題と対峙していく。

 面白い狙いだと思ったのだけど、その期待以上に、(自分が分からなかっただけかもしれないが)番組内容が面白い、というようなことがなかった気がする。リスナーとしては、番組時間ほぼ全てを、あるテーマを深掘りするくらいの思い切った時間配分にしてもらったら「スローニュース」という感じが強く出たのに、と思いながらも、1年で、番組が終わった。


 2021年の4月からの番組も、ニュース主体だった。

ひとつのニュースが歴史をつくり、
歴史はニュースを紡いでいく。
そのらせんを歩むサピエンスたちは、
どこに向かうのか?

 コロナ禍は終息する気配もなく、オリンピック開催の是非も議論になっていて、だから、テーマはたくさんあったはずなのに、急に人類のことを言われても、という気持ちになっていた。

 それでも、辻田真佐憲氏が出演する日は、よく聞いていたと思う。こうした新しい「話し手」を見出しただけでも意味が大きいのかもしれないとは思う。

 これだけニュースに困らない時期だったので、出来事に対する角度を変えることも、たくさんできたはずなのに、申し訳ないけれど、その特徴がよくわからないまま、2022年3月で番組が終わった。

午後8時台の混乱

 そして、2022年4月から「TOKYO FM」の午後8時台で始まったのが、3年ぶりに「自室感」のある番組だった。

 ラジオでは、3年間で5回、番組が変わるのは珍しくないのかもしれない。
 
 だけど「自室感」のあるリラックスを目指した番組が続いたあと、ニュース主体になり、再び「自室感」の番組が戻ってきたのは、混乱や迷走にも思えてしまう。

 だけど、それは、コロナ禍が続いていて、いい加減、日常を取り戻したい、という願いが込められている可能性もある。

安定

 どこまで関係あるのあるのかは分からないが、TOKYO FMの午後7時台は、2010年から2018年の9月まで、同じ番組が続いていた。ニュース主体だったけれど、曜日ごとにパーソナリティが変わると、その印象の違いも比較的強く、だから聞く曜日と聞かない日がはっきりしていた。

 その番組がなんだか唐突に終了した印象だったのが2018年の9月だったから、その安定感の影響がなくなり、それで午後8時台の混乱も始まってしまったようにも思う。


 今の午後8時台の「自室感」のある番組は、いつまで続くのだろうか。そして、次の番組が始まったとして、また「自室感」番組になるのだろうか。

 個人的には、この時間帯に「自室感」と「ニュース」が完全に融合したような番組が聞きたいと思っている(難しそうだけど)。




(他にも、いろいろと書いています↓。よろしかったら、読んでもらえたら、うれしいです)。




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