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40年、セルフカットを続けてきて、学んだこと。

 もう40年、美容院も、理容院も行っていません。月に一度か二度、自分で髪の毛を切ってきました。普段会っている人でも、その話題にならないと、こちらからわざわざ伝えることもないので、たまにそのことを言うと、やっぱり驚かれ、「分からなかった」と言われるので、たぶん、仕上がりも、そんなにひどくはないのだと思います。

 ただ、これはあくまで個人的な習慣で、私自身は、ずっと美容院や理容院にとっては「敵」のような存在なのだろうな、と思ってきて、微妙に後ろめたく、それほど大勢の人に伝える価値はないと思ってきました。それが、今のような状況になり、外出もままならず、髪の毛を切ることもできない人が、どうやらいるらしいと知り、今だったら、自分の「セルフカット」で学んできたことを伝えてもいいのではないか、と思いました。

1 セルフカットを始めるまで(個人的な髪の毛史)
2 セルフカットを続けて(個人的な試行錯誤)
3 セルフカットの方法(あくまで素人としての)

 以上のような順番で、お伝えしたいと思います。

 もし、セルフカットに挑戦したいという方が、いらっしゃいましたら、1、2は飛ばして、3だけ、読んでいただければ、少しは役に立つかもしれません。ただ、3でも詳細に述べますが、セルフカットは失敗の確率がかなり高く、基本的にはオススメはできません。また、失敗されたとしても、申し訳ないのですが、私(おちまこと)は責任をとれません。ひきょうな言い方で、申し訳ないのですが、そのことをご了承の上、チャレンジしていただければ、とても有り難く思います。


1 セルフカットを始めるまで(個人的な髪の毛史)

子供時代

 美容院には、結局行った事がないのですが、小さい頃から床屋に縁が薄かったようです。母に聞いた話では、小学生に入る前に、床屋に行ったら、座るとすぐに眠ってしまい、頭が揺れて、理容師さんには、かなり迷惑をかけていたらしいです。ですので、母親も、どうにかしたいと思ったらしく、ありがちなことだと思うのですが、理容セットを買って、私の髪の毛を、母に切ってもらうようになりました。失敗した髪型を「とらがり」と言うのですが、その頃、同級生から、そんな言葉で言われたこともあったので、申し訳ないのですが、特に初期は、母親も、そんなにうまくできなかったのだと思います。それでも、小学生時代は、ずっと髪の毛を切ってもらっていたのは、床屋に行くのが、面倒臭かったようです。

 中学に入り、運動部のせいもあって、その頃の「スポーツ刈り」をしていました。床屋に通うようになりました。5ミリくらいに揃えると、坊主ですが、前髪あたりを1センチくらいの長さにするのを、確か「スポーツ刈り」と呼んでいたような記憶があります。前髪をやや立てていた同級生を見て、真似しようとしていたのですが、できなかったのは、髪の毛の質が柔らかかったせいでした。そのうち、先輩が試合に負けて、五分刈りにして、後輩の私たちも同じように五分刈りにしたあと、なぜか、私は、いわゆる「天然パーマ」になりました。

 高校に入り、2年生の時に「気合を入れるため」に坊主にして(運動部の悪い癖だと思いますが)、それが床屋に行った最後になりました。どうして行かなくなったのか、今ではすでにハッキリしませんが、思春期だから、変なことをしたかったかもしれません。だけど、自分で切り始めたのは、昔、母親が私の髪を切ってくれた時に、買い揃えた理容セットが家にあったことも大きい理由だったと思います。それに、小学生時代に、床屋に行っていなかったので、行くのがやっぱり面倒臭いこともあったのでしょう。

 それでも、やや強めに記憶に残っているのは、セルフカットを始めて、半年はひどかった、ということです。それは、自分自身が感じていただけでなく、周囲に「おかしい」と言われていたと思います。その時期を乗り切れるかどうかが、セルフカットを続けるには、もしかしたら、一番のポイントかもしれません。

 それを乗り切ったら、なんとなく、大丈夫になりました。ただ、髪型がかっこいい、みたいなポジティブな言い方もされたこともありませんでした。だから、本当に、よく見ると、ひどいけど、まあ、そんなに気にならない、という程度だと思います。(今も、基本的にはそうですが)。そして、大きかったのが、「天然パーマ」ということだと思います。多少のミスも、カーブしてくれて、なんとなく大丈夫に見えるからです。


2 セルフカットを続けて(個人的な試行錯誤)

髪の毛

 写真は、2020年4月現在です。この前、髪の毛を切ったのは、2週間くらい前だと思います。(正確な記憶ではないですが)。よく見ると、あちこちひどいですね‥。それでも、切り始めて、このくらいの仕上がりになるには、月に一度とか、二度のペースで、1年くらいはかかったと思います。その後も、長年、切り続けていますが、たぶん技術がそれほどあがることはなく、今も、失敗します。それをあまり気にしない、ということも大事なポイントのような気がします。そして、たぶん、これ以上、セルフカットがうまくなるような気もしません。これをご覧になり、これなら嫌だ、と思った方は、これ以上、読まない方がいいのかも、と思ったりもします。

 話は、セルフカットを始めた頃の、40年くらい前に戻ります。
今でも不思議なのですが、セルフカットのことを伝えたクラスメートが、俺も切ってほしい、と言ってくれたこともありました。彼は、ギターを始め、ロックスターのような長髪にあこがれていたようですが、高校生だと限界があり、だけど、床屋に行くと、きれいに切りそろえられてしまうし、お金もかかる。だから、長さはそのままで、すいてもらえないだろうか、と頼まれました。最初は、失敗もしそうだし、断りましたが、それでもいいから、と言われ、放課後の教室で、エプロンみたいなものを使って、切りました。床に落ちても大丈夫なので、教室は意外とカットするのに向いている、と感じたのは、覚えています。終わってから、ホウキではきました。仕上がりは、そんなにひどくなかったと覚えています。彼も、気に入ったと言ってくれましたが、再度のオファーもなかったので、やっぱり、思うことがあったのかもしれません。そう考えると、ちょっと申し訳なかったと思います。

 大学生の頃、パーマをかけるのが流行りました。
 安全地帯や吉川晃司の髪型を真似して、美容院に行く若い男性が増え、友達もパーマをかけたりしたのですが、戻ってくると、なぜか「おばさん」に近づく人が多かった記憶があります。そうしたチャレンジの結果を見ていたせいもあって、ずっとセルフカットを続けていました

 就職活動の時も、「リクルートカット」をして、きちんと切りそろえて、会社訪問をするのが常識でしたが、私は、あいかわらずセルフカットで面接に行っていました。表立っての非難はなかったのですが、バブル前夜で、大学生だと内定を一人で5つも6つももらうのが、それほど珍しくなかったようですが、一人で、ずっと就職が決まらなかったのも、そのことも関係しているのかもしれません。最初は夏用の紺色のスーツを着ていたのが、寒くなり、冬用のスーツも買いました。やっと就職が決まったのは、大学4年の12月でした。

 就職しても、自分で髪を切り続けました。不規則な生活だったのですが、あ、伸びたと思ったら、切っていました。海外出張が1ヶ月半続いた時も、自分のハサミを持って行って、適当な時に、切っていました。その頃は、スポーツ新聞社のゴルフ記者でした。海外取材を続けている時、取材相手の日本人選手に、頼まれたので、ハサミを貸したこともありました。

 結婚した時に、ハサミを買い換えました。
 20年くらい前ですが、普通のハサミで、約8000円。すきばさみが、約6000円くらいでした。確か、東急ハンズで、鍵であけるガラスケースの中に入っているハサミの中では、一番安いものだったと思います。ステンレス製なので、本当はもっと手入れが必要なのでしょうけど、そんなにきちんとしなくても、あまり劣化しなくて、ありがたいです。

 病院に入院していた母親の髪も切っていました。病院などで、専門家が切ってくれる時は、回数を少なくするため、切る時は、かなり短くなります。それは、仕方がないことなのですが、それを嫌がった母親の髪を、月に一度くらいは病室で切っていました。そのうちに、外出が難しくなった義母の髪も切るようになりました。

 妻の前髪を切ることもあります。今の状況ですので、外出を減らすため、妻の髪も、前髪だけでなく、もう少し多く切るようになっています。

 人の髪を切る時の方が緊張しますし、自分の髪を切る時のやりかたと、かなり違うような気がします。


3 セルフカットの方法(あくまで素人としての)

はさみ

(25年使っているハサミです。上がすきばさみ。下が通常のハサミ、です。すきばさみは、刃の部分が約7センチ。全長が約18センチです。通常のハサミの長さは、刃の部分が約8センチ。全長が約20センチです。ステンレス製です)。


 ここからは、セルフカットの方法を述べます。ただし、私という素人が、ただ独学で行ってきただけですので、何の裏付けもありません。そして、しつこくて申し訳ありませんが、チャレンジして、失敗したとしても、私は責任をとることができません。以上のことに、同意していただいて、この後を読み進めてもらえたら、幸いです。もちろん、自分ではセルフカットをする気はないけど、一応、知りたいという方でも歓迎です。ただ、ちょっと面倒臭いことを、ご了承ください。

① 最初に確認すること

●セルフカットをして、失敗したとしても、生活などに支障がない人に限ります。
●セルフカットをして、失敗が続いて、ある程度、形になるまでの半年を、覚悟できる方に限ります。
●セルフカットで失敗したとしても、(今、想像しているよりも、倍くらい失敗する確率が高いです)それほど落ち込まない自信がある方に限ります。
●セルフカットのために、ハサミを用意できる方に限ります。
●いわゆる「天然パーマ」の方のほうが、セルフカットに向いていると思います。失敗しても、髪の毛がくるっとしてくれて、カバーしてくれるからです。(脳科学者・茂木健一郎氏が、セルフカットのはずです)。
●失敗しても、私(おちまこと)が責任は一切とれないことを、ご了承ください。

以上の点をクリアできた方は、②に進んでください。


② ハサミを買いましょう
●できたら、ある程度、刃が長いものがいいと思います。刃の部分だけで、8センチくらいあると、切りやすいはずです。全長だと、20センチくらいが目安です。(ただ、絶対ではないので、店員さんに相談するのもいいかもしれません)。
●できたら、通常のハサミと、すきばさみの両方があると便利です。すきばさみだと、失敗が減ると思います。
●手入れを完全にできる自信がある方以外は、ステンレス製のハサミがオススメです。
●ただ、ハサミを買っても、実際にセルフカットを始めたら、すぐに無理と思って、やめてしまうこともありえます。その危険性も考慮して、購入してください。すぐに使わなくなることも覚悟して、その上で、購入した方がいいと思います。もし、ここで、すごく迷ったら、この時点で、セルフカットそのものは、やめたほうがいいかもしれません。
●もしも、どうしてもハサミが買えない。もしくは買いたくない、という方であれば、より失敗の確率が増えるという覚悟さえあれば大丈夫です。文房具のハサミでも、できないことはありません。ただ、髪は痛みやすいし、失敗の確率は、ぐっと上がってしまうことをご了承ください。また、私(おちまこと)は、責任をとれないことも、ご了承ください。(しつこくて、すみませんが)

 以上の点をクリアした方は、③に進んでください。

③ セルフカットの前に確認したいこと。
●改めて、半年は「変な髪型」を覚悟することと、それが許される環境にいることを確認すること。
●難しいのは、後ろではなく、実は前髪だと確認すること(これは、異論もあると思います)。
●最初は、少しずつカットしてみること。一度で決めようと思わずに、少しずつカットして、変だったら、修正する。を繰り返せる気力があることを、確認すること。
●セルフカットができる場所があることを確認すること。髪が散っても大丈夫な場所が確保できることを確認すること。両手が自由に動けた上で、髪が散っても大丈夫なことも、確認すること。
●とにかく安全第一。怪我などに十分に注意すること。
●風呂場でカットする人もいるかもしれませんが、その際は、排水口や下水がつまらないように、細心の注意を払うことを確認する。これも、詰まった場合などに、私は責任をとれません。
●セルフカットのあと、できたら、少なくともシャワーを浴びられる環境であること。特にすきばさみを使うと、いくらクシでとかしても、切った髪の毛が残っていることが多いです。
●自分で、長さがちょうどいいと思える髪型の時。鏡で前髪を中心に、どのような感じなのかを、よく覚えておくこと。さらに、両手で、その髪型を、まんべんなく触って、頭のどの部分が、どんな髪のボリュームになっているのかを、できたら、手で覚えておくこと。セルフカットは、視覚も大事ですが、大部分は鏡で見られない部分が多いので、両手のさわる感覚が、かなり重要になってきます。

細かくて、そろそろ嫌になってきたかもしれませんが、ここまでが準備で、クリアした方は、いよいよ実践の④に進んでください。


④ セルフカットを始めてみる
●自分が、今、気になる場所から切ってみる。前髪だったら、鏡を見て、ミリ単位で、少しずつ切った方がいいと思います。最初は、すきばさみを使ったほうが、安全かもしれません。本当に数ミリで、前髪の場合は、顔の印象が変わってしまいます。
●頭の横や後ろは、鏡はあまり頼りになりません。両手でさわって、ボリュームの変化に気をつけながら、少しずつ切ってください。ふつうのハサミを使う時は、より少しずつ切ってください。髪の量が多い方ほど、すきばさみを使う機会が多くなるはずです。両手で、さわって、左右のバランスに気をつけながら、少しずつ切ってください。
●初回は、何回か、カットして、こわくなったら、すぐやめたほうがいいと思います。
●一番、やっていけないのは、失敗したと思って、それをカバーしようと思って、さらにカットを何度もしてしまうことです。これをすると、ほぼ間違いなく、後悔します。
●一回で、髪型をキメようと思わないでください。カットして、シャワーをあびて、あとは下水や排水口がつまらないように、気をつけてください。
●次の日に起きて、失敗していても、あまりショックを受けないでくだされば、幸いです。失敗しても、髪は伸びます。
●もし、パートナーがいらっしゃって、お願いできる間柄であったら、後ろの部分は、修正を依頼したほうがいいと思います。

失敗して耐えられなかったら、我慢せずに、美容院などに行っていただきたいです。それから、再びチャレンジするかどうかは、ご自分で決めてください。ここで、挫折をしても、それは仕方がないことですし、チャレンジしたこと自体は、意味があることだと思います。
●とにかく、最初は少しずつ始めて、少しずつカットする分量を増やしていくのが、安全だと思います。
●失敗もそれほど気にせず、またセルフカットをできる方は、怪我にも気をつけて、続けていけば、半年間は、ちょっとした地獄かもしれませんが、それを乗り切れば、ある程度の形になってくる可能性が高いです。そこまで達した方は、素直にすごいと思います。ただ、決して無理をしないで、途中でやめても、そこまでやれただけで、素晴らしいと、私は思います。
●テレビや動画で、美容師の方などが、テクニックを見せている場面がある場合は、機会があれば見るといいと思います。そのままは、もちろん使えませんが、カットする時の髪の角度など、得るものもあります。


 長くなり、すみません。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 繰り返しになりますが、以上の文章は情報に過ぎません。読者が実際におこなったことで生じた結果に関しまして、私(おちまこと)は、一切の責任をとることはできないことを、最後にご了承ください。


 もし、セルフカットにチャレンジされるのであれば、ご健闘を祈っております。私も可能な限り、セルフカットを続けていくと思います。

 疑問点などありましたら、コメント欄に書き込んでいただければ、可能な限り、お答えしていきたいと思っています。


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