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読書感想(おちまこと)

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2025年1月の記事一覧

読書感想 『ブックオフから考える』  「存在への肯定的で豊かな視点」

 いつも当たり前のように目にするものに関して、大げさに言えば、そうしたものは空気のようになっているから、あまり意識することは少ない。  それは、とてももったいないことだし、何か面白いことは、遠くや知らないところへ行かなくても見つけることができる。  そんなことを教えられたのが、「ドン・キホーテ」について書かれた書籍だった。  すごく面白い本だった。  最近になって、情報としては遅めだけど、「ブックオフ」についての書籍が出たことを知った。「ドン・キホーテ」についての書籍

読書感想 『推し問答!あなたにとって「推し活」ってなんですか?』 「熱量と冷静さが見せてくれるもの」

 マニアから、おたくと呼ばれるようになり、社会から蔑まれるような時代があり、オタクと表記がかわっても、どこか排除されるような気配も続いていたのに、いつの間にか「推し」という言葉が一般的になって、「推し活」がまるでポジティブなこととして使われるようになった。  そんな流れを振り返ると、不思議な気持ちになる。  今は、まるで「推し」がいない方が少数のようになっているような気もするし、経済効果と共に明るく語られ過ぎていることに、微妙な違和感が出てきているような気もする。  そ

読書感想 『人生のレールを外れる衝動のみつけかた』  「想像以上に大事なこと」

 衝動は、いいものとは言われていない印象がある。  例えば、衝動に身を任せてはいけない、といった表現。  例えば、ドラマなどでよく使われる衝動的な殺人という言葉。  その一方で、さまざまな脳医学や心理学の研究から、衝動の重要性が分かってきたりしているらしい。  それでも、その衝動というものは、自分にとっては、実感としては、よく分かっていないままだ。だから、衝動のことを哲学者と言われる人が書いたとすれば、とても興味が持てる一方で、この本のタイトルは、どこかで聞いたような自

読書感想 『日本の最も美しい図書館』---「うらやましい場所」

 中年になってから、本を読む習慣がついた。それで、よく行くようになったのが図書館だった。12冊を借りて、二週間で返却する。その生活のリズムが自分の身になってきているような気がする。  地元の図書館では、サイト内に自分のマイページのようなものを設定できるようになっていて、そこから予約ができるようにもなって、12冊まで可能だから、それも上限まで使うことが多い。  その時、芥川賞などを受賞して話題になっている作品は、予約が殺到し、その待機人数は100を超えることも珍しくない。だ