読書感想 『出世と恋愛 近代文学で読む男と女』 「社会の反映」
名作と言われている近代文学の多くは、例えば「夏休みの課題図書」だったり、教科書で出会ったせいか、大人になってから、なんとなく縁が遠くなってしまうことが多い。
それでも、思いついたように過去の文学を読むと、その凄さを感じることもある。
例えば、実は夏目漱石の「明暗」は、まるで見栄を張ってしあう現代の男女の気持ちの繊細な読み合いまで描かれているように感じて、やっとすごいのが分かったのが、自分が中年になった頃で、同時に、これは若い時よりも大人にならないと読んでも理解できな