『海をあげる』 上間陽子 「正確で切実で鮮やかな日常」
著者の本業(こういう表現も少し違うかもしれないが)は、大学の教員であり、研究者である。
同じ著者の別の著作(「裸足で逃げる」)を読んで、こんなに「見えている」人が、大学の先生でもあることに、今、もしも自分がノンフィクションの職業的なライターだったしたら、そんな比較は意味がないとしても、とても敵わないのではないかと感じたりもした。
そして、この本は、著者の「目の前の日々」のことを書いたものだけど、著者自身の気持ちの変化も正確に鮮やかに描かれていることで、読者にも、切実