読書感想 『ルポ百田尚樹現象』 「“ごく普通の人”の怖さ」
百田尚樹という人を、テレビ画面を通じて初めて見た時は、印象が強いわけでもなかった。文章について語っているけれど、それは、比べるのはおかしいのだけど、柴崎友香や保坂和志のように、予想もつかないことを言うわけでもなく、番組のホストである漫才師とタレントにも、ずっと自然に気を配っている姿があった。
ただ、あとになってみれば、誰かが言ったように、社会に一番多くいるような人たちと、同じ感覚を持っているとすれば、その人が「普通」に書くものが「普通の人」に最も受けるはず、を体現してい