交換日記への返信。〜平和とモヤモヤの間で〜
久しぶりに開いてみたら、rとkが更新していたので私もしてみる。公開しているけど、どうせ私達以外読んでいるものでもないし。
私の近況はといえば、本日をもってパートから正職員になった。給料は変わらないし、なんなら新卒のときの給料よりも低く賞与も昇給もないが、人間関係がよいし、出勤時間が曖昧で、かつ週4日だけ働けば後は仕事のことを考えなくて済むのが魅力的な職場だ。
鬱の調子も、今のところ落ち着いている。もちろん、1日中何かしらイベントに出たりなどしていれば翌2日は寝込むことになるし、夜眠るのに薬は欠かせないけど。死の淵に立っているようなあの虚無感は、顔を潜めている。
けれども、この無事で平和な毎日とは逆に、以前は受け流せていた些細なことが、私の中でどんどん大きなモヤモヤになってきているのを感じる、、、。
kには直接言っていないが、昨年の年明けに、私は自分がセクシュアルマイノリティであることを公にした。上司にもカムアウトし、友人が誘ってくれるYoutubeの啓蒙活動で時折登壇したり、自分でオンラインイベントを打ってみたりもした。
公にしたことで、私に対してセクシュアリティに関する質問をしてくる人が増えたように思う。
以前、性暴力サバイバーであることを公表した時には、“実は自分もそうで、今まで誰にも言えなかったんだ”と打ち明けてくれる人が多かった。それに対して、セクシュアルマイノリティであることを公表した場合には、殆どの人が“自分は違うけど”と前置きをして、私のセクシャリティや私のセクマイ仲間のセクシャリティについて聞きたいとやってくる。
幸いにも、ヘイトやレイシズムをむき出しにやってくる人はまだいない。(とても嫌な顔をされたことはあるけど。)
彼らの多くは、私個人のセクシャリティや、性の多様性について知りたいと思いつつも、知識や想像力が欠如してる(または簡単に知りたいと近道をしようとしているのかもしれない)。
先週も、「"自分は違うけど"、性の多様性を理解したい。」という友人に、私のセクシャリティについて聞かれ、私はノンバイナリー(自分の性別が男性にも女性にも振り分けられないという性自認)でパンセクシュアル(相手の性自認に関係なく惹かれる性指向)だと答えた。そして、私は男か女かに振り分けられたり、女として扱われるのがすごく嫌なんだという話しをした。しかし、その後その友人が私に言ったのは、「でも、nってそこらのボーイッシュな女性より女性らしいよね(笑)」という言葉だった。
簡単に言えば、私はこの言葉に傷ついたのだけど、その場では何も返せず、どうやら私をデートに誘おうとしているらしきその友人にやんわりお断りをし、愛想笑いをして帰った。
確かに私の外見は女性的だ。胸はHカップ、ウエストは60cm、ヒップは90cm、声は高めで、服装は明るい色合いやポップなものが好きだ。そんな私を見て、大半の人が男女どちらに私を振り分けて見ているかなんて、誰に言われなくても私が一番分かっている。
それでも、私は私のジェンダーアイデンティティ(性自認)において、自分は男にも女にも振り分けられないと自認し、外見的には女として見られていると自覚し、この“私が性的に何者であるか”を規定しうる2つの内在的及び外在的要素の間で常に葛藤している。そして常に内在的要素に芯を置き、外在的要素を私に突きつける全てに耐えているのだ。
そもそも、カムアウトとは何なのか。それは、周りの状況が変わってほしいと願ったときに繰り出される最後の一手である。私は未だ、精一杯むき出しの自分を見せる以外に自己を表現する方法を知らない。しかしこれは捨て身である。
一昨日、既に全体へカムアウトしている教会で友人の結婚式の手伝いをした。お手伝いグループのリーダーの人は、私を含めた自分達を「おばちゃん達」と呼んだ。その人は私に新婦側の案内役をさせ(私は新郎の友人だったのだけど)、ピンクのカードを持たせ、ピンクの花がらのカードを飾るように指示した。他のメンバーは私を「彼女」と呼び、勝手に用意したお祝い代を要求し、スタッフの目印にとリボンを渡してきた(男性にはネームカードだった)。そんな些細なことの積み重ねに耐えられず、私は他のメンバー達に「私は、女性として扱われたくないので、今日はそういった面でとても疲れました。」と伝えた。メンバー達の応えは、「そんなことあった?」だった。そして私は、“些細なこと”について逐一説明することになった。
ちなみに、私にもしパートナーができたとしても、五分五分の確率で私達は日本において、カトリック教会において、“結婚”はできない。
平等に与えられない祝福など、あるだろうか?それは果たして祝福だろうか?
“些細なこと”に疲れた頭は、その日、友人への「おめでとう」の一言すら思い出せなかった。
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