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250128 ディストーションを使わなかったギタリストはもういない

今日のプレイ・リストから 101
テレヴィジョン
「看板の月」


2023年、2年前の今日、トム・ヴァーレインが73歳で亡くなりました。とても悲しかった。まだ若かったし。でも、それ以上に驚きました。訃報を発表したのがピアニストのジェシー・パリス・スミスでした。あのクィーン・オブ・パンク、パティ・スミスの娘さんですよ。

トムとパティは70年代NYパンクを象徴するカップルでした。二人は見つめあって立っているだけで絵になった。なのに、いつか別れてしまいました。その後、パティは別のギタリストと結婚し、生まれたのがジェシーです。その父はすでに20年以上も前に他界しています。それに対して、トムは、多分、結婚していません。

本名はトーマス・ミラー。あまりに陳腐だからなのか、Verlaineと名乗りました。フランス語ならヴェルレーヌと読みます。もちろん19世紀パリの象徴主義を代表する詩人から勝手に採った名前です。ことほどさように、NYパンクは青臭い。50年代から60年代の文学ムーヴメント、ビートニクを引きずっていましたからね。

テレヴィジョンを解散してからソロで何枚かアルバムを出しましたが、トム・ヴァーレインと言えば本曲です。結局、一発屋だったんでしょうね。でも、それは、あえて、泣くようなエレキ・ギターの美しさを追い続けたからではなかったか。そんなどこまでも青臭い、一途なギタリストは、最期に愛するパティやジェシーに囲まれて静かに息を引きとった、と思いたい。