見出し画像

あの日のトイザらスへ行こう

【登場人物】
「マオ」
社会人。
小さく豊かな生活をしたい。
『魔王』
マオのイマジナリーフレンド。
誰にも取られない自分だけの名前が欲しい。
《てるりん》
マオのイマジナリーフレンド。
もっと自分を好きになりたい。


死ぬほどヒマなある日の休日。
せっかくの2連休なのに予定がない。
昼間は暑いし出歩くには命が危ない。
そこで、ふと思い立って夕涼みがてら火葬場帰りに見かけたトイザらスへ行くことにした。
どうやらバスでなら意外とすぐ着くらしい。
私たちは再び市内の果てへと向かった。

バス停降りてすぐの坂をひたすら登る。
《桜並木だね。春はきっと綺麗だろうなぁ》
「ねー。10年前の秋に逝ったおじいちゃんの時は彼岸花もたくさん咲いていたよ。この前じーちゃんを見送った時にふと思い出したんだ。....じーちゃん亡くなって3週間だけどいまだに実感が湧かないよ。まだ家で高校野球見ている気がする。おかしいな、葬儀も収骨も終わったのに。」
『見て!シーソーがある!』
「え、マジ!?珍し〜」

最近見かけなくなりましたね
藤の季節には最高なことになりそうなベンチ

鬱蒼と茂った木に隠れた小さな公園を発見。
こういう発見があるから散歩って楽しいよね。

ズンズン登っていくぅ

『この坂ってさ、この前従姉妹が言っていた“冥土坂”?』
「そうだね。なんか昔近くに処刑場があったらしいからこの名前らしい。」
『そんなヤバそうな所を逢魔時に出歩いていいのか?我らこれ無事に帰れる?』
「真夏の17時は明るいから逢魔時じゃないっしょ。てか魔に遭うどころか常に憑いているし、お前が。」
『それはそう。』
《なんか...生暖かい風が吹いている?》
「真夏の夕方はまだまだ風が温いの!もう!やめてよてるりんまでさぁ!」
《えへへ》

なんかきれいな実
だだっ広い公園

坂を登り切振り返ると、

遠くの街まで見晴らせる。
『“見晴らしの丘”だって、ここ。そのまんまだな。』
《風が気持ちいいね〜》
「私たちあっちの方から来たんだね。」
しばらく3人でぼんやりと景色を眺めた後、駅の方へ歩いて行った。


『これが天国に一番近いトイザラスかぁ。』
「火葬場の前だからって言い方ー」
《マオたそはここ来たことあるの?》
「多分ないね。子供の頃よく連れて行ってもらった店舗は潰れているし。」
『トイザラスって意外と見かけないよな〜。車持っていたら別かもだけどさ。』

大人になってもやっぱりおもちゃ屋というものは楽しい。そして最近のおもちゃは色々と進化していてすごい。
液晶がカラーだし(当たり前か)キッズコスメとかデパコス並みに色んな種類があるし、本格的なバッグやアクセサリーを作れるキットや望遠鏡、顕微鏡までもが揃っている。一方でYoutubeでよく見るホラーゲームグッズもいくつか置いてあった。
《意外とヴィレバンで取り扱ってそうな大人向けグッズもあるのね。》
『いや、最近の子供はホラーゲーム見るぞ?ほらあの子。』
2、3歳くらいの男の子が“ポピープレイタイムだ!”とはしゃいで親にぬいぐるみをおねだりしている。
「あのゲームあんな幼い子にはまだ早くないか。なんで知っているんだ。」
『キャラは可愛いからいいんじゃない。お前だって小さい頃によくおもしろフラッシュ倉庫でホラー動画漁っていただろ?それと同じだよ。アクセスしやすくなっただけで。』
「なるほどね。めっちゃ分かりやすい。」

ひと通り眺めて楽しんだ後、ランダム植物ミニチュアキットを買って店を出た。マリオカートのバナナのぬいぐるみが連れて帰って欲しそうに見つめてきたけど我慢した。

駅を目指してさらに歩く。

ドライブスルー初めて見た
サンリオ?

ついでにカインズホームにも寄ってみた。
玄関用ブラシを探したけれど見つからなかった。
ここには小さい頃来た覚えがあるけれどこんなにオシャレだったっけ?
カフェがあったのでひと休みしていたらどんどん怪しい天気になってきたので帰ることにした。

プレーンマフィンといちごミルク
めちゃくちゃ美味しい!!

『今度はこの道をずーーーっと歩いて魔女がやっているらしい喫茶店へ行こうよ!』
「涼しくなったらね。」


【おしまい】


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?