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蒔倉 みのむし
2024年3月17日 18:59
今回の小説は上記の短編小説『居場所。』の後編となっております。===== 朧月が照らす夜。夜行バスの道中、休憩時間のパーキングエリア。微かな街灯の明かりの下、虚ろな目をしてベンチに座るケンに1人の男性が近づいてきた。男性はケンの様子を伺うように声をかける。 「あの、大丈夫ですか?バスで酔っちゃいました?」 ケンの顔を少し覗き込むように軽く腰を落とした。 「いえ、大丈夫です。少し考え
2024年3月16日 21:31
今回の小説は上記の短編小説『変わらないもの。』の続編となっております。===== 片付いた部屋、パソコンに向かいキーを叩く音。ケンは来週のプレゼンに向けて資料をまとめていた。一区切りつき、わきへ置いていたコーヒーカップへ手を伸ばす。 「もうこんな時間か。」暮れてきた窓を見てぽつりと呟いた。ミサキを失ってからというもの、一人の時間が増えた。以前よりは前を向いて楽しめる事も増えたが、それでも