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〇〇と僕『も』~ものぐさと僕~

僕はものぐさである。
ちょっとやそっとじゃどうにもならない、筋金入りのものぐさである。

もし可能なのであれば、毎日毎日なにもせず、朝から晩までベッドに寝転がり、ビールを飲んだり本を読んだり、さきさきチーズを食べたりシュークリームのことを考えたりしながら一生を暮らしたい。
しかしながら、それが不可能なことは重々承知している。

それでも、僕のものぐさは変わらない。
そして、そのものぐさのせいで、これまで幾度となくとんでもない事態に陥ってきた。
今日はものぐさが引き起こした悲劇の一部をご紹介しよう。


①がんばり帳改ざん事件
小学2年生、『がんばり帳』という宿題があった。
まっさらなノートを使い、1日1ページ勉強。それを週に1度先生に提出しなければならなかった。
内容は漢字の復習でも良いし、足し算引き算でも良い。
これが地獄だった。
終わるまで遊びに行くことを許されないし、日に日にネタはなくなる。
面倒くさい。
やりたくない。
そして、ある日、「うわぁぁぁ!!もうやだぁぁぁ!!」となった僕は、とんでもない手段に出た。
過去のノートの日付を書き換えて提出したのだ。

もちろんすぐにバレた。
しこたま怒られた。


②運転免許ギリギリ事件
22歳。
僕は運転免許を取得するため、自動車学校に通い始めた。
もちろん自らの意思ではない。
母ちゃんに行けと言われ続けて、仕方なくだ。
そんなんだから、やる気なんて全くない。
しかし、早く終わらせたい一心で、とりあえず仮免までは順調に進んだ。
そして、路上研修。
事前に予約をしなきゃいけないし、日によってはバイトのシフトを調整しなきゃいけないし、片手で運転するなと怒られるし。
そして、ある日「うわぁぁぁ!!もうやだぁぁぁ!!」となった僕は、翌日から自動車学校に行かなくなった。

バイトして、漫画読んで、酒飲んで、寝る、の繰り返し。
理想的な生活。
しかし、免許のことなど完全に忘れかけていたある日、自動車学校の担当の先生から電話がきた。
「仮免を取ってから半年以内に卒業試験に合格しなければ、もう一度お金を払って入学し直さなければならない。
そして、その期限が迫っている。1週間毎日授業を入れれば、期限の最終日に卒業試験を受けることができる。とりあえず明日来てくれ。」
あまりに必死の声で訴えられたため、翌日仕方なく学校へ向かった。
そして、1週間でなんとか残りの授業を終えて、いよいよ期限最終日。
1日に2回試験は受けられないため、不合格であれば終了。
母ちゃんに借りて払った大金も、今までクリアしてきた授業もすべてなかったことになる。
結果は、無事合格。
ギリギリセーフ!

ちなみに、免許を持っている人なら知っていると思うが、自動車学校卒業試験を合格後1年以内に運転免許試験場での試験に合格しなければ免許はもらえない。
さあ、もうお分かりだろう。
僕が阿呆ヅラ引っさげて運転免許試験場を訪れたのは、卒業試験からちょうど1年後の、期限最終日であった。


③禁煙成功
最後に、ものぐさが結果的に良い方向に働いた話をしよう。
僕は大学の頃に煙草を吸い始めた。
ロックスターを目指す者として、煙草は吸っていた方が良いと思ったからだ。
そして、当時は、大学の至る所に灰皿が置いてあった。
特に仕切りもなかった。
街にも灰皿はたくさんあった。
飲食店でも吸えない店はなかった。
喫煙者として生きていく上で、何も困ることがなかった。

しかし、改正健康増進法の施行による分煙化推進で、煙草を吸える場所が次々と減少した。
街中で煙草を吸いたいと思っても、喫煙所を探すのに一苦労。
だからと言って、平然と歩き煙草が出来るほど、まだ脳みそは腐っていない。
震える手で煙草の箱を握りしめ、目を充血させながら喫煙所を探す毎日。
そして、ある日「うわぁぁぁ!!もうやだぁぁぁ!!」となった僕は、あることに気付いた。
煙草を止めれば、喫煙所を探す必要がなくなる。
よし、止めよう。

そうして、10年以上毎日吸い続けた煙草を止めた。
流石に最初の1、2週間は吸いたくなる瞬間があった。
そんな時は落花生を狂ったように食べた。
日本から落花生が無くなるんじゃないかってくらい食べた。
今では落花生すら必要ない。
煙草を止めたことで、様々な変化があった。
寝起きが良くなった。
息が切れなくなった。
タンが出なくなった。
コンビニに行かなくなった。
しかし、禁煙成功者がよく言う「禁煙したらご飯が美味くなった」に関しては、よく分からない。
ご飯はずっと美味い。


僕の体を形成する細胞の一つ一つにしっかりと染みついたものぐさは、一生治らないだろう。
そんな訳で、僕は一生筋金入りのものぐさとして生きていくのだろう。
これからも困ったことがたくさん起こるだろう。
それでも、僕はものぐさとして生きていく。
ものぐさ、万歳。


さて、五十音順にエッセイを書くと宣言して始めた『〇〇と僕』も、いよいよ残すところ『や行』『ら行』『わ行』。
先は長い。
五十話もエッセイが書けるほど、物事について深く考えて生きてはいない。ある日、突然更新が途絶えた時は、「うわぁぁぁ!!もうやだぁぁぁ!!」となったのだと察していただければ幸いである。


『堂島孝平 / 葛飾ラプソディー』を聞きながら
FJALLRAVEN by 3NITY TOKYO  池守


『〇〇と僕』←過去の記事はこちらからお読みいただけます!是非!


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