やさしい免疫細胞
病気になると耳元でやさしく呪文を唱え、治してくれる免疫細胞がいる。
産まれた時から耳元でやさしく、心地良く囁きが聞こえていた。
私が成長するにつれ、悩みや相談までも聞いてくれる存在。
免疫細胞から聞いた言葉は「危ないよ」の一単語だけ。
今では慣れっこになり、「危ないよ」と囁かれば止まるだけで良い。
友達たちそれぞれにも免疫細胞は居るらしい。
自由に飛び回りたいが、事故や失敗などを恐れ、免疫細胞から離れる勇気が出ない。
今では「危ないよ」「危ないよ」の囁きが、私を委縮させる。
後悔や反省などの自責の壁が邪魔をするが、勇気を出してやさしい囁きを振り切り自立を決断。
「ありがとう免疫細胞さん、お別れね」
やさしい免疫細胞はうなだれ泣いている。
歩き出し、暫くすると「頑張ってね」と最後のやさしい囁きが聞こえた。
自立して色々傷ついて泣いていると「頑張ってね」と囁きが聞こえてくる。