皆は何を理解しているの。分かっているの。

 11月7日。9回目の受診へ行ってきた。相変わらず割と良い意識状態で過ごすことが出来ている。
 この日は、家を出る時に雨が降っていなかったのだと思うが、傘を持っていかなかった。
 駅から病院へと歩き出すと、急に雨足が激しくなった。駅から病院までは15分ほどかかる為、土砂降りの中を何かブツブツ文句を言いながら歩いていた。傘を持ってこなかった自分に対しての文句か。或いは、雨に濡れると困る靴を履いていたことへの文句か。どちらにせよ大差は無い。ただ、土砂降りの中を独りで話しながら歩いていた人間が居たというそれだけのことだ。
 今回の診察は朝の早い時間であった。診察室に入ると、先生の表情に疲れが出ているように感じた。昨日はあまり寝ていないのだろうか。口に出すことはせずに考えていると、びしょ濡れの俺を見た先生は「雨、大変でしたね」と言った。診察が終わる時には「傘をお貸しすることも出来ますよ」と言ってくれた。
 5分間という制約がある保険診療の限られた時間をそんな会話に使うのは勿体無いと感じる自分も居る。先生の優しさを無下にしているだろうか。
 しかし、5分というのはとても短い。今回に関しては、俺が傘を持っていなかったことが悪いだけなのだが。
 診察の内容は、次のようであった。
「メイラックスを徐々に減らしていきたいけれど、今、不安に思っていることはありますか?」そう訊かれた。
 以前にも同じようなことを訊かれたが、どう答えたら良いものかと悩んでいる。体調の良し悪しに関わらず、常に不安で仕方ないからだ。一体何に対しての不安であるのか自分でもよく理解していないが、とにかく不安なのだ。不安を抱いていない瞬間など無いような人間は、何と言ったら良いのだろうか。
 結局、喫緊の不安であり、且つ具体性を持つものとして、学校でのグループ研究が全く順調に進んでいないことを話し、メイラックスは1日1錠で続けることになった。どうやら依存性のある薬のようで、減らしていきたいらしい。
 診察はそのくらいであった。カウンセリングを辞め、体調も良くなっている為、書くことがあまり無い。まだ通院は続くが、この「通院日記?」はどのような形で幕を閉じるのだろうか。
 
 日付は変わって、2日後の11月9日。学校の医務室へ行ってきた。前回書いたことを明らかにする為に、学校に来る先生に話を聞いてきた。
 先生からの一報は病院に届いていたようで、俺が想像した通り、その連絡でカウンセリングのキャンセルが決まったらしい。らしいというか、「多分そうなんでしょうね」と先生は言っていた。
 ついでに何か聞きたいことは無いかと言われ、メイラックスについて少し尋ねてみた。どうやら、デパスと同じ類の薬らしい。デパスも1度飲んでみたかったのだ。デパスは更に依存性があるらしく興味があるが、何せ薬学の知識が皆無である為、服用して身体の感覚で感じることでしか理解出来ない。もし持っている人が居たら、是非分けて欲しいと思う。
 日曜日の早朝にこのような文章を書いているのだが、眠気で何を書いているのかがよく分からなくなってきた。いや、眠気など無くても、何を書いているのかなど分かっていないのだろう。
 俺が分かること。俺はつまらないということ。
 


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